ヤマハ発動機は、29日に開幕した「ジャパンモビリティショー2025」に出展。AI技術を搭載し完全自立が可能な2輪モビリティ『MOTOROiD:Λ(モトロイド・ラムダ)』を筆頭に、電動バイクのコンセプトなど多数の初公開モデルをブースに並べた。設楽元文社長は「私たちヤマハ発動機は『感動創造企業』。これからも人々の楽しむ意欲を刺激する存在であり続けたい」と最新の技術や製品をアピールする。
ヤマハ発動機ブースでは、前回のモビリティショーから引き続き音響システムや楽器メーカーである株式会社ヤマハとコラボレーション。バーチャルアイドルの「初音ミク」をブースのエバンジェリスト(伝道者)とし、プレスカンファレンスではその歌声とともに両ヤマハのものづくりの現場と、伝統あるクラフトマンシップを映像と迫力の立体音響で紹介した。
Wヤマハと初音ミクとのコラボレーション(ジャパンモビリティショー2025)設楽社長は、ヤマハが2025年に創立70周年を迎えたことを紹介し、「創業者の川上源一は、人や社会に生活を楽しむことを広げたいという強い信念を持つ人物でした。人々の人生を楽しむ意欲をかき立て、挑戦する心を後押しする当社の歩みは、製品やサービスを通じてその実現に取り組んできた70年と言えます。私たちヤマハ発動機は『感動創造企業』です。これからも人々の楽しむ意欲を刺激する存在であり続けたいと願っています」と語る。
その実現に向けて、人間研究に基づく知能化、エネルギーマネージメント、ソフトウェア、サービスに磨きをかけて、人と社会のより良い未来づくり取り組む。今回ヤマハが展示する製品群やコンセプトモデルはそうした技術や「感動創造の源となるヤマハブランドの感性」(設楽社長)を具現化したものだ。
3輪オープンEV『TRICERA proto』(ジャパンモビリティショー2025)
世界初公開の『TRICERA proto(トライセラプロト)』は3輪パッケージのフルオープンEVで、前回ショーで展示したコンセプトをアップデートしたもの。乗用車のように前2輪で操舵するだけでなく、後ろの1輪も手動で操舵することが可能な画期的なモビリティで、圧倒的な旋回性能とオープンエアの気持ちよさをEVで表現。設楽社長は「後輪がこれほど積極的に操舵に関与する構造は、既存のロード界にはない。3輪操舵がもたらす、わくわくドキドキするような操縦感覚。それをとことん楽しむためにはドライビングの習熟も必要だが、そのプロセスさえ楽しいと感じていただけるモビリティを目指している」と、実現に意欲を見せる。
同じく世界初公開となったのが「MOTOROiD:Λ」で、これまでのモトロイドシリーズ同様、車体のみで完全に自立することが可能なことが特徴。今回のラムダでは「AI技術によって学習し、自ら成長する」とし、強化学習を用いて仮想環境で学習し現実世界での動作を実現する。従来のものは大きな電池をフレームが抱えるような形状で、その電池がバランスをとることで自立していたが、ラムダは前輪に相当する部分の操舵と、人間で言う“腰”の部分と前後輪のアクチュエーターで完全自立を実現した。
ヤマハ MOTOROiD:Λ(ジャパンモビリティショー2025)デモンストレーションでは、地面に倒れた状態から単独で起き上がり、その場で旋回、走行する様子を披露。現段階では人間が乗ることはできないが、「できることはまだ3歳の子ども程度かもしれないが、経験を重ね、学習していくことで、社会性や協調性を身につけ、心まで通い合うパートナーに成長していく。学習、チャレンジ、実現。その成長のプロセスが、ライダーとの絆を深めていくはず」と設楽社長は語る。
さらに、「大型バッテリーEVならではのFUN」を体現する大型EVスポーツバイクの『PROTO BEV(プロトバッテリーイーブイ)』を初公開。ヤマハはシリーズ・パラレル・ハイブリッドを搭載するプロトタイプや、プラグインハイブリッドを搭載する大型バイクのプロトタイプも用意しており、バイクの電動化も全方位で対応する構えだ。さらにトヨタとの共同開発による水素エンジンを搭載した配達用バイクのコンセプト『H2 Buddy Porter Concept』も公開し、「マルチパスウェイで研究開発を進めている」(設楽社長)。
大型EVスポーツバイクの『PROTO BEV』(左)など電動バイクを披露(ジャパンモビリティショー2025)このほかにも、カスタマイズの楽しさを提案するeバイク(電動アシスト自転車)のコンセプトや自動車用電動駆動ユニットのe-Axle、ヤマハの電動アシストユニットを搭載した車いすのコンセプトのほか、株式会社ヤマハの楽器なども展示し、ワクワクを求めて訪れる来場者を迎える。
設楽元文社長は「楽しむ意欲、挑戦する勇気、成長の喜び。私たちはそうした活力を常に人や社会に発信する存在であり続けます」と話し、社会課題解決とワクワクを作り出す楽しさを追求する技術ビジョンをアピールした。
ヤマハブース(ジャパンモビリティショー2025)









