完成車メーカーの再編は進むのか? トヨタ一強時代の業界勢力図大胆予測

トヨタ自動車 豊田章男社長
  • トヨタ自動車 豊田章男社長
  • 向かって左からトヨタ自動車の豊田章男社長、ダイハツ工業の奥平総一郎社長、スズキの鈴木俊宏社長、CJPTの中嶋裕樹社長
  • 豊田章男自工会会長

10年以上前から「日本は完成車OEMが多すぎるのではないか」という議論がある。国内外では主要サプライヤーの再編統合が進み、OEMもVWグループやステランティスなど資本提携に夜の再編の動きが顕著だ。日本もこれに近い動きが進んでいるように見える。

本稿は、思考実験でもあるが、完成車メーカーの再編シナリオについてひとつの考察を披露したい。

国内OEMの数は適正か?

軽自動車を含めると国内OEMは、トヨタ、ホンダ、日産、三菱自動車、スバル、マツダ、ダイハツ、スズキ主要8社。これにトラックなどの商用車4社(日野自動車、いすゞ、三菱ふそう、UDトラックス)を含めると合計12社となる。近年の中国市場を見れば特段多い数字ではないが、アメリカの2社、ドイツの3社(ともに商用車含まず)と比較すると多いと言えるだろう。

世界では、自動車完成車メーカーを持つ国はおよそ25か国と言われている。販売台数のトップ10に名を連ねる国は米独日中など3、4か国に過ぎない。このうち中国市場の躍進が目立つが、その一方で、エジプト、ウガンダ、ベトナムなどの新興国がEVを武器にメーカー保有国に名を連ねようとしている。

新興市場が立ち上がりつつあるが、日欧米など主要先進国での自動車販売数は頭打ちの状態だ。日本市場にいたっては、2007年に記録した940万台をピークに減少を続け現在500万台を下回っている。コロナや半導体不足、社会情勢などを考慮してもこの15年ほどでおよそ半減している。

縮小する国内市場において、主要OEMが8社という状況は確かに過剰かもしれない。

すでにOEMの再編は始まっている

すでに国内乗用車市場はトヨタ系と非トヨタ系に分離することができる。資本関係でいえば、ダイハツ、日野自動車はもとより、スバル、マツダもトヨタ資本が入ってお互いの関係を深めている。スバルはトヨタと共同でEVプラットフォームを開発している。マツダも北米工場を共同で稼働させたり、EUでのカーボンクレジットでもアライアンスを組みCAFE規制をしのいだこともある。


《中尾真二》

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