自動車メーカー各社のインテリアデザイナーの作品が集う「1kg」展開催 1月25日まで

1kg展
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国内自動車メーカー8社のインテリアデザイナーとカラーデザイナーによって立ち上げられたJAID(Japan Automotive Interior Design)は、1月12日から1月25日にかけてGOOD DESIGN MARUNOUCHI(東京都千代田区丸の内)とDIGITAL ARTISAN(東京都目黒区大橋)の2会場で“1kg展”を開催している。

オールジャパンで新しいことを

JAIDがスタートしたのは2015年。そのきっかけはある雑誌のインテリアデザイナー同士の対談だった。日産自動車グローバルデザイン本部第2プロダクトデザイン部クリエイティブデザインマネージャーの野口懇人さんは、「日本の自動車会社の内装について語るという企画で、国内4メーカーのインテリアデザイナーが初めて集まった。取材後に、このように集まる機会はめったいないことからこのままで終わってはもったいない」とその時の心境を語る。

また、その取材時に司会者側からなぜ欧州車の内装が良いのかという理由が話され、本当にそうなのかと疑問に思ったという。その点を他の参加者にメールをしたところ、「全員そういう思いだった。そこで、オールジャパンで何か新しいことができないかということで始まった」とJAID設立のきっかけを話す。

その後何度か集まりを持ったが、「ライバル会社なので、なんとなく距離感がある。しかし少しずつ信頼関係を築きながら仲間になり、自然に皆で一緒に何かをやったら楽しいのではないか、ものづくりを一緒にしてみようということになった」と今回の1kg展に至る経緯を述べた。

kg単価にどれだけ価値を見出せるか

では、なぜ1kgなのか。トヨタ自動車トヨタコンパクトカーカンパニーデザイン部第一デザイン室室長の中嶋孝之さんは、「クルマの素材や材料でよく使われる値段の単位“kg単価”。デザイナーのアイディアで色々なストーリーを考えどれだけ面白いことができるのか。普段はkg単価を1円でも下げるように努力をしているが、今回はどれだけkg単価、言い換えれば価値が上がったかを見てほしい」と語る。

野口さんも、「いま、自動車業界はかなり大きな転換期に来ており、電動化や知能化といわれ、クルマをどれだけ軽く作れるかが非常に重要な課題。したがって、その重さに対してどれだけバリューを作れるかがデザイナーの力が問われるところ。そういったところからも1kgにチャレンジしてみようとなった」と説明した。

樹脂だからこそできる世界

また、今回の素材を樹脂にしたことについて、ホンダ技術研究所R&Dセンターデザイン室1スタジオ主任研究員の山崎雄一さんは、「樹脂は欧州でフェイクを作る素材にもなっているが、実は全く違う世界もある。そうであればもっと違う表現につながるのではないかというのが、今回の作品につながっている」と話す。そして、「欧州車は革や木などの素材が良い。しかし日本車にも良さもあると思っており、樹脂が本当に否定的なものなのか、それをもう一度改めて自分たちの中で問い直し、そこにポテンシャルを見出すことができるのではないか。それが目的でもある」という。

野口さんは、「いずれはこのメンバーでミラノサローネに出てみたい」と将来を見据えながら、「真面目禁止がコンセプト。辛いとかやらされているとかではなく、スタンスとしてはとにかく楽しくやっていきたい。上からいわれてやっているのではなく、各デザイナーからやりたいと会社に申告してそれを許容してもらっているというところが良い」と自主的に、かつ積極的に活動していることを語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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