なぜ? 未来の『デリカ』がPHEVの理由…ジャパンモビリティショー2023で世界初公開

ミツビシD:Xコンセプト(ジャパンモビリティショー2023)
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  • 三菱自動車(ジャパンモビリティショー2023)
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三菱自動車は10月25日、ジャパンモビリティショーで電動クロスオーバーMPV『ミツビシD:Xコンセプト』を世界初公開した。未来の『デリカ』をイメージしたコンセプトカーで、パワートレインはプラグインハイブリッド(PHEV)を採用している。

未来のデリカであればピュアEVの方が先進的で未来感も一層強まるが、あえてPHEVを選択したのには三菱自動車ならではの電動化戦略がある。

まずは初公開されたミツビシD:Xコンセプトについて、三菱自動車広報部の木内隆部長は「未来のデリカをイメージした冒険心を呼び覚ます三菱自動車らしい電動クロスオーバーMPVとして企画し、日常から休日の冒険まで良き相棒としてアクティブなモビリティライフをサポートするスタディモデル」と紹介。

その上で「技術提案としてはSUVならではの走破性、行動範囲を広げるPHEVシステムを採用している。状況に応じてEV走行とハイブリッド走行を選択することができ、走る歓び、ワクワク感を提供する。そして電動4WDシステム、走る、曲がる、止まるを統合制御する独自の4輪制御技術『S-AWC』を進化させ、ワンボックス車でありながら乗用車ライクな乗り味を実現する」と述べた。

ではなぜPHEVなのか。三菱の電動パワートレイン開発を担当する白河暁執行役員は「当社の強みはPHEVなので、これを今後真の意味で地球にやさしいパワートレインにしていきたい」と語る。

脱炭素に向けてEV化の流れが一層加速している中、あえてPHEVに注力すのは「タンクツーホイール(燃料タンクから車輪まで)とウエルツーホイール(油田から車輪まで)、ライフサイクル(生産から廃棄まで)で各パワートレインのCO2排出量をみると、当然ながらタンクツーホイールではEVはCO2ゼロだが、ウエルツーホイールでみると石油や化石燃料由来で造っている電気がまだまだ多いので(他のパワートレインとの)差がかなり縮まる。さらにライフサイクル全体でみると、バッテリーやモーターは製造時にかなり電気を使用するので2030年時点での日本の発電状況でもPHEVが一番CO2排出量が少なく、EVは最も排出量が多くなる。完全に電気がカーボンニュートラルで造られればBEVが最も良いが、その途中の過程ではPHEVもしくはハイブリッド車の役割があると考えている」(白河執行役員)からだ。

さらに白河執行役員は「EVの航続距離を決める8割がバッテリーの容量で、それはすなわちクルマのコストに響く。例えば電池容量40kWhと90kWhのEVでは値段が400万円も違う。航続距離を求めれば値段がどんどん高くなるというジレンマがある」と指摘。

その上で「アウトランダーPHEVは20kWhの電池を積んでいて、WLTCモードで80km強のEV走行が可能で普段の日はそれで用をたして、遠くに行く週末や長期休暇の時はハイブリッド走行で1000kmは走れるので、こちらの方が合理的ではないか」とも。

「それを証明するデータとして、日本におけるアウトランダーのお客様の走行状態を1年間調査したところ、お客様の8割が1日の走行距離が65km未満で、十分カーバーできている。またお客様の8割が5割から6割くらいをEV走行のみで走行している。では残りの4、5割は何かというと、実は冬場に走行前にあらかじめ車内をエアコンで暖めるためにエンジンをかけているから。先にエンジンをかけて暖かくしてからEV走行している。これはPHEVならではのメリットで、EVで同様に事前に暖房するとあっという間に電池残量が減ってしまって走れる距離が短くなってしまう。PHEVの場合、そこがひとつの強みでもある」と白河執行役員は強調する。

「電動化技術ではPHEVをコアとして、これに当社のS-AWCを電動車向けにアップグレードすることで、背の高いクルマや悪路用のタイヤでは車体がふらふらしたり、重くて回らないという課題を電動化技術によって、安心して運転ができるようにしたい」という考えが、ミツビシD:Xコンセプトに込められているというわけだ。

《小松哲也》

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