【トヨタ アルファード / ヴェルファイア 試乗】3.5リットルV6モデルは買いか?…青山尚暉

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新型『アルファード』&『ヴェルファイア』の大きな特徴が、ハイブリッドと3.5リットルモデルにのみ設定される、新設された2列目席「エグゼクティブラウンジ」である。

ひじ掛けを含むシート総幅を、先代エクゼクティブパワーシート比で100mm広げ、 広くゆったりとした専用のラウンジシートを採用。ふんわりと沈み込むソファのような座り心地を実現したほか、伸縮量140mmのパワー オットマン(伸縮機構付)、快適温熱シート、ベンチレーションシート、格納式テーブル、AC100V 100W(ガソリン車)~1500W(HV)コンセントなどを装備し、航空機のアッパークラスを思わせる豪華さと快適性を実現しているのだ。

ところで、そのエグゼクティブラウンジのみ、全高が1900mmと、他グレードの1895mmより高いのは、エグゼクティブ用だから室内高に余裕がある…わけではない。エグゼクティブラウンジのみシャークフィンアンテナがそそり立つぶん、高くなっているだけだ。

豪華さ極まる室内を見渡せば、インパネなど多くの部分がソフトパッドに覆われ、金属加飾の質感も高級感たっぷり。カップホルダーや小物入れのふた、エグゼクティブラウンジ専用の納式テーブルの動きの滑らかさにも感動できる。

ただ、超高級ミニバン、いや、大空間高級サルーンにして、ステアリングの調整が手動だったりするのは要改善点だと思える。

それはともかく、後席に大切な人を迎え入れる「もてなし」感は、もう完ぺきだ。先代よりスライドドア開口幅が70mm広がり(開口高は先代同等)、1段目のステップ は50mm低まり、ステップの奥行きも広がっているから、乗降はよりスムーズかつ 快適になっている。

さらに世界初の、クルマに近づくだけでスライドドアが「開けゴマ」のように開くウエルカムパワースライドドアも設定されているから便利このうえなし。また、全長 5m近いボディーサイズだけに、縦列駐車などで気をつかいがちだが、これまた世界初の超音波センサーとカメラを使う最新のインテリジェントパーキングアシスト2を採用。面倒な駐車目標位置設定が不要になり、前進誘導、後退時自動ブレーキ制御(勢いよくバックするのを防止)、出庫誘導機能まで完備する。

しかし、運転慣れした人にとってかえって煩わしく感じるのがパーキングアシストだが、”頭を降ってから”の上級車向け誘導モードもあるから着実に進化している。

さて、先代からのキャリーオーバーとなる3.5リットルV6、280psモデル(ZA) の走りは、新開発2.5リットル直4、182psモデルで感じられる、車重を意識させられがちな出足のゆったり感、加速の重さ感とは無縁。操縦感覚の軽快感では鼻先の軽い2.5リットルモデルが上だが、スルスル滑らかに走りだす感覚は2.5リットルをしのぎ、トルク感、加速の力強さ、中間加速の伸びやかさ、濃厚なパワーフィールに至ってはもう圧巻。車格にふさわしい動力性能であり、アクセルコントロールもよりしやすいから走りやすい。

実際、メーカーデータの0-100km/h加速タイムは2.5リットルの11.3秒に対して8.5秒と、格段に速い。先代の8.3秒より落ちているのは、同エンジン、スペック で先代より車重が増しているためだが、その0.2秒差など、現実的にはほぼ同等の感覚だろう。

ちょっとややこしいのは、3.5リットルV6モデルには2種類のサスペンションセッティング、乗り心地がある点だ。実はHV全車と、3.5リットルモデルのエグゼクティブラウンジのみ、より乗り心地を重視した特別なサスペンションを組み合わせているのだ。

とはいえ、試乗した3.5リットルモデルはヴェルファイアのZAグレードのリラックスキャプテンシートだったから、標準サスペンション+18インチタイヤ装着車。それでも、荒れた路面や段差越えをまずまずしなやかに重厚にいなす、大空間高級サルーンとしてふさわしい乗り味を示してくれた。ただ、3列目席では、路面によってフワフワする上下動に見舞われるシーンもあり、それは1/2列目席では感じられない現象である。

16~18インチがそろう新型ヴェルファイア、アルファードのタイヤの基準サイズは 、唯一新開発した17インチである。乗り心地に優位で、3.5リットルモデルのZ、 ZAグレードならダウンOPとして17インチタイヤも選べるから一考したい(価格も、交換時の費用も安くなるメリットあり)。

では、3.5リットルV6モデルは買いか?と問われれば、「ちょっと待った!」である。たしかに圧倒的な加速性能、アクセルコントロールのしやすさ、巡行時を含むより高い静粛性はさすがだが、2.5リットルと3.5リットルモデルの価格差はヴェルファイア標準 系のV/VLで約85万円、ヴェルファイアのエアロモデルZAエディションとZAで約 40万円と小さくない。

仮にエアロモデルのZA、車両価格約415万円を基準にすると、ハイブリッドのベースグレード「ハイブリッド X」とほぼ同価格になる(タイヤが16インチになるなどな装備差は少なくないが)のが悩ましい。

とすると、VIP送迎車として使うならともかく、一般ユーザーにとっては、動力性能に不足なく、モーターのみのEV走行が可能で、100V/1500Wコンセントが使える便利さがあり(上位2グレードに標準。ほかは64800円のOP)、モード燃費で倍近い性能を誇る(3.5リットル 9.5km/リットル、ハイブリッド18. 4km/リットル)ハイブリッドを薦めたくなる。もっとも、理想的なのは操縦安定性と乗り心地のバランスに富む17インチタイヤを履き、装備が充実した「ハイブリッド V」(約480万円)になるんですけどね…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
ペットフレンドリー度:★★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車雑誌編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に執筆。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がける。現在、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーとしての活動も広げている。
《青山尚暉》

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