●新ルールに対応できなかったマクラーレン
2004年シーズンのF1も、いよいよ“第二の開幕戦”ヨーロッパラウンドに突入した。常勝軍団フェラーリの開幕4連勝というワンサイドな展開に「今年のF1もやっぱり……」と、嘆いているファンもいるだろう。しかし様々な新展開も見え隠れして、F1からはやっぱり目が離せないというのが実感なのだ。
まず、最初に2004年に導入された新レギュレーションの功罪を検証してみよう。なんと言っても“1グランプリ1エンジン制”である。これは、「金曜日のフリー走行から日曜日の決勝レースまでを1基のエンジンで戦いなさい」というルールなのだが、シーズン開幕前の予想に反してほぼ全チームが無難に対応してきたというのが印象だ。ただ、唯一のトップチームを除いては……。
もちろんそれはマクラーレン・メルセデス。開幕3戦を見る限り、予選・決勝ともに他のトップチームと比較してレヴ(最高許容回転数)が約1000回転も低い。肝心な場面で派手なエンジンブロウまで引き起こしている。
「何故マクラーレンだけが?」と首を傾げるファンも多いだろうが、その原因はエンジン単体の設計ミスというよりもクーリング(冷却)設計に無理が生じたと見る専門家も多い。現代のF1は空力性能が最重要。ただ、この空力を攻めすぎると、エンジンの冷却などが結果的におろそかになったり、ハンドリングがピーキー(過敏)になったりと、落とし穴が非常に多い領域となる。
すでに3戦連続リタイアのキミ・ライコネンに至っては「今年のチャンピオンシップは諦めた」という非公式なコメントまで流れ始めている。マクラーレンが本来のポジションに復帰するためには改良型の「MP4-19B」を投入するしか手は無さそうだ。
1/3●新ルールに対応できなかったマクラーレン
2/3●ウィリアムズの“牙”は重かった
3/3●信頼厚い、佐藤琢磨の開発能力