●信頼厚い、佐藤琢磨の開発能力
フェラーリは昨年の「F2003-GA」の弱点(空力特性が若干ピーキーだった)を潰す方向で「F2004」を設計した。これが今のところは成功しているといえるだろう。ただしマクラーレンもウィリアムズも地力のあるトップチームだ。反攻の時期は必ず訪れる。打倒フェラーリの目標を達成すべく諦めずに開発を進めた場合においてだが……。
さて、トップを悠々と行くフェラーリを追いつめられるチームとして、B・A・R・ホンダとルノーの存在が興味深くクローズアップされている。ルノーは非常に巧みなトラクションコントロールシステムと優れた空力特性を武器に戦いを進めているが、ここはナショナリズム丸出しで佐藤琢磨もドライブするB・A・R・ホンダの活躍にスポットを当ててみよう。
まずポジティブな要素を挙げると、タイヤテストで琢磨に対する評価が非常によいということ。特にミシュランのタイヤエンジニアからの信頼感は抜群で、こうなるとB・A・Rのタイヤ選定は非常に有利に働く。
そしてとにかく今年のホンダエンジンは素晴らしい性能を誇っている。パワーではBMWにまだ少しだけ後れをとっているという噂もあるが、何よりも低重心化と軽量化が一気に押し進められた点が好成績を支えていることは間違いない。さらに言えば、2001年にB・A・Rとタッグを組んだ時から目標としていた車体技術へのホンダの関与が、やっと今年になって花開いたという事実もある(要は、外国人の信頼を得るのは大変だったということらしい)。
また、今や巨大な自動車メーカーの後ろ盾無くして戦えないF1の現実として、ホンダの緻密かつ壮大なコンピュータシミュレーション技術が大きくモノを言っているのだそうだ。
最後に、ホンダファン待望の「Vデー」を予告しよう。通算73勝目達成の最初のチャンスはゴールデンウィークが明けたばかりの、5月9日、スペインGPに訪れるかもしれない。ホンダの某エンジニアが語ったところによると、「レースシミュレーションではバルセロナで勝てる可能性あり」と判断できたという(!)。
1/3●新ルールに対応できなかったマクラーレン
2/3●ウィリアムズの“牙”は重かった
3/3●信頼厚い、佐藤琢磨の開発能力