サムスンディスプレイ(Samsung Display)は、フェラーリ初のEV『ルーチェ』」向けに4枚のOLEDディスプレイを独占供給すると発表した。
フェラーリ・ルーチェの革新的なインテリアデザインは、サムスンディスプレイの先進OLED技術によって実現されているという。
■3つのデジタル表示ゾーンに計4枚のOLEDを配置
ルーチェのインテリアには、ドライバー席前方のバイナクル、空調・メディア操作用のセンターコントロールパネル、後部座席用リアコントロールパネルという3つのデジタル表示ゾーンが設けられている。
サムスンディスプレイはこれらのエリアに、12.9インチ・12インチ・10.1インチ・6.3インチの4枚のOLEDディスプレイを独占供給する。
■業界初、多層構造のバイナクルディスプレイ
フェラーリ・ルーチェ最も特徴的なのがドライバー前方のバイナクルだ。従来のバイナクルは速度計などの計器類をまとめたクラスター構造で、機械式の針が物理的に動いて速度情報を表示するものだった。
ルーチェのバイナクルディスプレイは業界で初めて、12.9インチと12インチの2枚のOLEDパネルを重ねた多層構造を採用した。上層パネルには3つの円形の穴(カットアウト)が設けられており、下層のディスプレイが透けて見える仕組みだ。
下層の12インチOLEDパネルは背景とゲージのインデックスを表示し、上層の12.9インチOLEDパネルはリアルタイムのトルクシフトインジケーターやポップアップ、警告表示などを担う。2枚のパネルの間には物理的な機械式の針が配置され、ドライバーに立体的な操作感を提供する。
この多層構造により、従来の平面的なデジタルディスプレイとは一線を画す、アナログ計器のような奥行き感と自然な情報の読み取りやすさを実現している。
■独自のHIAA技術が大型穴加工を可能に
フェラーリ・ルーチェ
フェラーリの独自デザインを支えたのが、サムスンディスプレイ独自の「HIAA(ホールインアクティブエリア)」技術だ。
一般的なスマートフォンのフロントカメラ用穴の直径が5mm未満であるのに対し、ルーチェのバイナクルに施された穴の直径は約100mmと、約20倍の大きさに達する。
サムスンディスプレイは、切断面のOLED有機材料を水分や空気から守る薄膜封止(TFE)技術に加え、HIAA技術に基づく設計によって大型穴周辺での安定した信号伝送を維持した。大きな穴の周囲で駆動信号を迂回させると、画像の均一性や画質に影響する歪みや遅延が生じる恐れがあるが、各信号の特性に合わせた設計の最適化により、これらの課題を解決している。
サムスンディスプレイは2019年に業界初のホールディスプレイを発表して以来、HIAA技術の開発を積み重ねており、現在500件以上の関連特許を保有する。
■センターパネルとリアパネルにも応用
フェラーリ・ルーチェHIAA技術は10.1インチのセンターコントロールパネル用OLEDにも応用されている。パネル上部のマルチグラフは時計・ストップウォッチ・コンパスなどのモードをデジタル表示し、小さな穴を通して物理的に取り付けられた3本の機械式の針がリアルタイムで360度回転する。センターコンソール後方のリアパネルには6.3インチのOLEDが組み込まれ、後部座席の乗客が走行情報の確認や空調操作を行える。
■OLEDがプレミアム車載デザインに最適な理由
フェラーリは、周囲のバイナクルモジュールとシームレスに一体化するディスプレイを求めていた。サムスンディスプレイはOLEDパネルを直線と曲線を組み合わせた自由な形状に加工することでこの要望に応えた。
OLEDはバックライトユニットが不要でLCDより薄型・軽量なため、設計の自由度が高く、プレミアム車載デザインに適した技術といえる。










