【ホンダ Eクラッチ vs ヤマハ Y-AMT】大きな違いは「クラッチのつなぎ方」! 初心者ライダーにオススメなのはどっち?[後編]

ホンダ Eクラッチとヤマハ Y-AMTの魅力を試乗&解説
  • ホンダ Eクラッチとヤマハ Y-AMTの魅力を試乗&解説
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  • クラッチレバーのないヤマハ MT-09 Y-AMT(左)と、クラッチレバー付きのホンダ CB650R E-Clutch(右)
  • ヤマハ MT-09 Y-AMT
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  • ホンダ CB650R E-Clutch
  • ホンダ CB650R E-Clutch(左)とヤマハ MT-09 Y-AMT(右)
  • ヤマハ MT-09 Y-AMT(左)とホンダ CB650R E-Clutch(右)

話題となっているバイクの「自動変速」。代表的なホンダの「Eクラッチ」とヤマハの「Y-AMT」を搭載する最新モデルを、MOTOR STATION TVのプロレーサー丸山浩氏とチャレンジ女子アナ7期生の本川まあさ氏こと“まあさ”がインプレッション。

Eクラッチはホンダが開発した二輪初の技術で、マニュアルトランスミッション(MT)車ながらクラッチレバー操作なしシフトペダルでの変速が可能となり、「操る楽しさ」を求める幅広いライダーにワンランク上の走りを提供するというもの。ホンダは大型バイク向けに用意するデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)とは異なり、Eクラッチはあくまでクラッチ操作のみをシステム側が担うものであることがポイントだ。

クラッチレバーのないヤマハ MT-09 Y-AMT(左)と、クラッチレバー付きのホンダ CB650R E-Clutch(右)クラッチレバーのないヤマハ MT-09 Y-AMT(左)と、クラッチレバー付きのホンダ CB650R E-Clutch(右)

対するY-AMTは、クラッチ操作をせずとも変速(シフトチェンジ)が可能という点ではホンダのEクラッチと同様だが、Y-AMTはクラッチレバーとシフトペダルそのものが存在しないのが大きな違いだ。代わりにシフトアップ&ダウン操作をハンドル左のスイッチ操作のみでおこなう。またスポーツバイクでありながら自動変速をおこなう「ATモード」も搭載し、ライディングにより集中できるスポーツ性と、イージーライディングによる快適性を提供するというものだ。

前編・クラッチ操作不要の『CB650R Eクラッチ』はナナハンCB乗りにどう映る?」ではCB650R Eクラッチを、「中編・「AT免許」で3気筒スポーツを楽しめるという魅力!『MT-09 Y-AMT』にはMT派も納得?」ではMT-09 Y-AMTをそれぞれ解説。最終回となる後編では、それぞれの個性と魅力を徹底比較する。

◆Y-AMTにはAT限定免許でもマニュアルの良さ、スポーツ感あるサウンド

ヤマハ MT-09 Y-AMTヤマハ MT-09 Y-AMT

丸山浩(以下、丸山):これまではホンダCB650R EクラッチとヤマハMT-09 Y-AMTそれぞれの全体的な感想を聞いてきたね。まあさから見たら、CBは思ってたよりもスポーツバイクになっていて元気よく走った方が面白い、MTは見た目は大きいけど実際は街中も操りやすいオールマイティなバイクになっていたって感想だったね。

まあさ:はい。

丸山:まずは、“Yamaha-Automated Manual Transmission”の略であるY-AMTの方から聞いていこうか。

まあさ:AT限定免許でも乗れるけれどマニュアルバイクの良さを教えてくれるというのがY-AMTの一番の特徴だと感じました。完全なオートマチックのATモードとマニュアルのMTモードがあって、切り替えながらいろいろ試せるのが楽しかったです。ATモードに切り替えると、シフトダウンは自分の感覚に近いところでしてくれるけど、シフトアップはある程度の速度まで上げてから行うんだとか新しい発見もありました。

ヤマハ MT-09 Y-AMTヤマハ MT-09 Y-AMT

丸山:ATモードにしておくとバイク自身が選んだ回転数でシフトチェンジしていくからね。僕としては回転を引っ張ってからのシフトアップはMTモードでできるから、ATモードではもうちょっと早めにしてくれないかなと思ったんだけど。

まあさ:私の場合、そこはATモードなので、今のタイミングなのねとそのまま従ってあげればいいやと慣れてしまいました。

丸山:一番気に入ってたのはサウンドだったね。

まあさ:ATモードでもMTモードでもシフトアップしていくたびの“ガチャッ、フォーン、ガチャッ、フォーン”という音の響きが最高に気持ち良かったです。特にATモードはオートマチックでもマニュアル的なスポーツ感をサウンドで味わえるようにしていたところが素晴らしいと感じました。

◆Eクラッチは初心者に優しく、ベテランにも満足出来る余地を残す

ホンダ CB650R E-Clutchホンダ CB650R E-Clutch

丸山:では、ホンダのEクラッチはどうだった?

まあさ:一言で言うと、「クイックシフターの進化版」です。これまでどおりシフト操作は必要だけど、スタートから一切クラッチレバーを使わずに済むのが嬉しかったです。最初はマシンが半クラッチしてくれるんだよって言われても、頭の中はハテナマークだったんですよ。でも、クラッチレバーを使わずにUターンしてみて、なんでこんなに回りやすいんだろうって。そのときシステムからウィーンってモーター音が聞こえたんですよ。そこでEクラッチが半クラッチを頑張って使ってるんだ、だからギクシャクしないで済むんだって理解できました。

丸山:そう、とにかくEクラッチはどんな回転数や速度域でも半クラッチの制御が素晴らしいのが最大の特徴なんだ。それこそ峠やサーキットを攻めるときにも、昔のバイク乗りはこの半クラッチを如何に使いこなせるようになるかが、気持ちよく走るための必須条件だったんだよ。

ホンダ CB650R E-Clutchホンダ CB650R E-Clutch

まあさ:たぶん今、普通バイク免許を取りに行ってる最中の子たちは半クラッチを覚えるのに苦労していると思うんですよね。私も合宿免許に行っていた時はクランクとかS字、スラロームで半クラッチができなさすぎて、どうすればいいかYoutubeとかで調べまくりましたもん。Y-AMTも含めてそんな苦労をしなくてもいいような時代が到来したってことなんですかね。

丸山:でも、EクラッチはレバーがあるからAT限定免許で乗れないんだよね。そこがY-AMTとの決定的な違いなんだけど、これはレバーを残すことで、我々ベテランが磨きぬいた半クラのテクニックを使うことでマシンを寝かせながら超小回りのUターンもできる余地を残してくれている。初心者だけでなくベテランも満足させようとしているためだと思うよ。結局のところ、アプローチの仕方が異なるけどEクラッチもY-AMTもどちらもスポーティに走ってもらいたいってところから始まっているんだよね。

◆クラッチのつながり方でも性格が違う両者、まあさのオススメは?

ホンダ Eクラッチとヤマハ Y-AMTの魅力を試乗&解説ホンダ Eクラッチとヤマハ Y-AMTの魅力を試乗&解説

まあさ:ATモードもあるMT-09 Y-AMTの方は、それこそマニュアル操作は難しくて分かんないよって子に乗ってもらって、それでマニュアルの楽しみを知ってほしいバイクだなって感じでした。EクラッチのCBの方はシフト操作が必須だけど、その際のクラッチのつなぎ方が高回転でも丁寧で安心。だから、あまりスポーティな走りに興味が無かった私でも山に行って挑戦したくなるような気にさせてくれるバイクでした。

丸山:まあさがオススメするとしたら、どちらのバイク?

まあさ:これからバイク免許を取りたいって人にはAT限定免許でも乗れるMT-09の方が簡単な気もするんですけど、クラッチのつなぎ方やシフトチェンジの時のフィーリングがCBよりちょっとワイルドな感じなんですよね。それに対してCBのEクラッチの方は、優しい半クラッチでとにかく安心させてくれる。子供がどうしてもバイクに乗りたいって言い出した時に私が超過保護な親だったら、安心できるEクラッチのCBを勧めちゃうかな。

丸山浩氏(左)とまあさ(右)丸山浩氏(左)とまあさ(右)

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー
1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

本川まあさ|愛称:まあさ
MOTOR STATION TVのチャレンジ女子アナ7期生。アナウンサーをしながら普通2輪免許から、大型2輪にチャレンジ。現在は、叔父から受け継いだCB750Fourをレストアしながら乗っています。

《丸山浩》

丸山浩

丸山浩|プロレーサー、テストライダー・ドライバー 1988年から2輪専門誌のテスターとして活動する傍ら、国際A級ライダーとして全日本ロード、鈴鹿8耐などに参戦。97年より4輪レースシーンにもチャレンジ。スーパー耐久シリーズで優勝を収めるなど、現在でも2輪4輪レースに参戦し続けている。また同時にサーキット走行会やレースイベントをプロデュース。地上波で放送された「MOTOR STATION TV」の放送製作を皮切りに、ビデオ、DVD、BS放送、そして現在はYouTubeでコンテンツを制作、放映している。また自ら興したレースメンテナンス会社、株式会社WITH MEの現会長として、自社製品、販売車両のテストライド、ドライブを日々行っている。身長は168cm。

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