【アクア vs フィット 比較】トヨタとホンダの人気コンパクトカーを掘り下げる

アクア vs フィット
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  • トヨタ アクア
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ファミリーカーとしても、社用車としてもよく利用されるコンパクトカー、トヨタアクア』とホンダフィット』の2車種。それぞれの魅力に触れながら、比較してみよう。

◆比較する車種のプロフィール

トヨタ アクアトヨタ アクアホンダ フィットホンダ フィット

アクアは直列3気筒1.5リットルエンジンをベースにしたハイブリッドのみを搭載する5ナンバーサイズのコンパクトカーだ。フィットは、アクアのライバル車で、直列4気筒1.5リットルを使うノーマルエンジンと、ハイブリッドのe:HEVを用意する。なおアクアはハイブリッド専用車だが、登録台数はフィットよりも多い。

◆外観デザイン&ボディサイズ比較

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アクアの全長は4050mm、全幅は1695mm、全高は1485mmになる。フィットは主力となるe:HEVホームで見ると、3995mm・1695mm・1540mmだ。全長はアクアが長く、全高はフィットが上まわり、全幅は同じだ。

このボディサイズの違いは外観にも影響を与え、アクアはフロントウインドーを大きく寝かせたこともあり、5ドアクーペ風になる。フィットは全長が短くて背が少し高いから、空間効率が優れている。コンパクトカーの主力になる合理的なデザインだ。

◆インテリア&居住性比較

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インパネの雰囲気は両車とも似ており、主力グレードでは、助手席の前側にソフトパッドを装着する。いずれも上質感を重視してデザインされた。

その上でフィットは、2本スポークのステアリングホイールなど、車内を開放的な雰囲気に仕上げた。ATレバーも、フィットはe:HEVを含めて前後に動かす馴染みやすいタイプで操作性を向上させている。フィットは開放的で、アクアは上質感や囲まれ感を重視している。

前席の座り心地は、両車ともに腰から大腿部をしっかりと支えて快適だ。フィットでは、売れ筋になるホームの場合、少しソフトな印象に仕上げた。アクアはさらにしっかりと体をホールドして、スポーティな雰囲気がある。

後席はフィットの足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、アクアが握りコブシ2つ弱、フィットは握りコブシ2つ半だ。アクアも快適に座れるが、フィットにはミドルサイズセダンのような余裕を感じる。

◆荷室などの使い勝手

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後席を使っている時の荷室長は、フィットよりもアクアが長い。フィットは全長が短いのに、後席の足元空間を広く確保したから、荷室長が短くなった。

その一方でフィットは、燃料タンクを前席の下に搭載したから荷室の床が低い。しかもフィットは全高が高いため、荷室高にはたっぷりした余裕がある。

さらにフィットは、車内後部の広さを生かして、後席の座面だけを持ち上げられる。この状態では、後席側のドアから、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。フィットなら後席をコンパクトに格納できて、ボックス状の荷室も得られる。多彩なシートアレンジが特徴だ。

◆運転のしやすさ比較

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先に述べた通り、フィットはアクアに比べて全長が少し短い。最小回転半径は、売れ筋の15インチタイヤ装着車で見ると、アクアが5.2mでフィットは4.9mだ。小回りの利きも良い。

さらにフィットは、インパネの上面をシンプルに仕上げて、前方視界を向上させた。フロントピラー(柱)の形状も工夫して、斜め前方も見やすい。サイドウインドーの下端を低めに抑えたから、後方視界も良好だ。

アクアはサイドウインドーの下端を後ろに向けて持ち上げたから、外観に躍動感が生まれた代わりに、斜め後方の視界が妨げられている。これらが車庫入れや縦列駐車を含めて、運転のしやすさに影響を与えた。

◆走行性能&乗り心地比較 

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アクアは直列3気筒1.5Lエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載する。販売の主力となるグレードは、バイポーラ型ニッケル水素電池の搭載で、実用回転域の駆動力を高めた。売れ筋グレードのWLTCモード燃費は、2WDが33.6km/リットルだ。 

フィットは直列4気筒1.5リットルのノーマルエンジンとハイブリッドのe:HEVを搭載する。e:HEVでは、エンジンは主に発電を行い、駆動は基本的にモーターが担当するから実用回転域の駆動力が高い。加速が滑らかでノイズも小さい。 

さらにアクセルペダルを踏み込んだ時は、発電用エンジンの回転数を高めるなど、ドライバーの違和感を抑える制御も組み込んだ。なお高速巡航時には、エンジンが直接駆動を行い、燃費効率を向上させる制御も行う。フィットのe:HEVは機能が充実している。 

走行安定性は、アクアの重心が低めだから、峠道なども軽快に曲がる印象だ。その点でフィットの売れ筋グレードは、ステアリングの反応が少し鈍いが、後輪の接地性は高い。峠道の下りカーブで危険を避ける操作も安心して行える。 乗り心地は両車ともコンパクトカーでは満足できる。その上で比べると、アクアは少し硬めの設定で、フィットは柔軟だからリラックスできる。

◆おすすめユーザー&買い得グレード 

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アクアは低重心で走行安定性も優れ、走りを楽しみたいユーザーにも対応できる。それに比べるとフィットは、車内が広くシートアレンジも多彩で、ファミリー指向が強い。ただしフィットにもスポーティなRSが用意され、足まわりの設定も異なるため、運転の楽しさも味わえる。 

推奨グレードは、アクアは中級のG(223万円)になる。100V・1500Wの電源コンセントなどの装備を充実させて、価格を割安に抑えた。 

フィットはe:HEVホーム(217万5800円)を選ぶ。1.5Lノーマルエンジンのホームに比べて価格アップが34万9800円に抑えられ、購入時に納める税額も8万2500円安いから、実質差額は26万7300円だ。フィットではe:HEVが割安で、特にホームが買い得になる。 

それでもクルマ好きのユーザーは、フィットe:HEV・RS(234万6300円)も検討すると良い。カーブを曲がる時には、外側に位置する前輪が踏ん張り、峠道を楽しく運転できる。危険を避ける時のボディがあおられる挙動も抑えたから、安定性も向上した。e:HEV・RSの価格は、e:HEVホームと比べて約17万円の上乗せに収まるから、走りの装備を充実させたいユーザーには買い得だ。

《渡辺陽一郎》

渡辺陽一郎

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト 1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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