隣を走っているクルマが「レベル3」かどうか、どうやって見分ける?【岩貞るみこの人道車医】

自動運転の実現「省庁が障壁に」なったわけではない

2021年3月4日、世界初の運転自動化レベル(以前は自動運転レベルと言っていたもの)のレベル3を搭載した、ホンダ『レジェンド』が登場した。なにかにつけ「一番」が好きな私としても、わくわくが止まらない。日本人として誇りに思う。

ホンダが世界初を成しえた背景には、国交省と警察庁が世界に先駆けて整備した道路運送車両法と道路交通法の存在が欠かせない。このふたつが整わなければ、車両にどんな安全装備を搭載しなければいけないのか、ドライバーはどんな責任を負うのかが決まらず、市販することができないからだ。

日本ではよく、省庁が障壁になると言われてきた。しかし実は、自動運転に於いてはもう何年も前から関係省庁が連携し、世界的に一番実験しやすい環境が整えられているのである。

ついでに改めてもう一度書くけれど、メーカー技術者や一部メディアからよく「国交省が許してくれなかった」というセリフを聞く。でもこれも、ひとつずつ国交省に確認すると「問い合わせがきたこともない」(驚!)とか、「やりたくないと言っているのはメーカーの方」という話がほとんどだ(控えめに書いたけれど、全部だった気がする)。

もちろん、基準として許可できない部分はあるけれど、それは「国交省が聞く耳を持たない」わけではなく、国連基準でNGというものが多いと思う。

「レベル3」のクルマ、どうやって見分ける?

国交省が作成した自動運転車であることを示すステッカー国交省が作成した自動運転車であることを示すステッカー
さて。3月5日から、発売(リース)になった新型レジェンドである。価格は1100万円だし、限定生産の計画販売台数は100台ゆえ、だれでも簡単に買えるわけではない。ただ、出くわす機会はきっとある。高速道路の渋滞時に出会えばレベル3で走行しているシーンが見られるというわけだ(高速道路の渋滞時のみ、トラフィックジャム・パイロットが機能してレベル3で走れ、ドライバーは周囲監視義務から解放される=テレビやスマホを見ていい)。

でも、渋滞しているときに前後や隣のドライバーが、テレビを見つめて笑っていたら慌ててしまう。そのクルマがレベル3の技術を搭載しているかどうかは、どうやったらわかるのか?

今は世界のなかでもレジェンドだけなので、新型レジェンドであることを確かめるしか方法はない。国交省では、自動運転車であることを示すステッカーを作成し、車体後部に貼ることを要請しているけれど義務ではない。貼ってあったとしても後ろだけなので、ルームミラーに映った場合や、横並びになったときにはわからないのだ。

ここは、落ち着いて新型レジェンドであることを確認しよう。

新型レジェンドに出くわしても「試さない」ように!

レベル3運転のイメージレベル3運転のイメージ
私にはもうひとつ懸念がある。渋滞時、新型レジェンドの前に車線変更したときに、ちゃんとシステムは反応してくれるのか、ということだ。というのも、以前、BMW『3シリーズ』のハンズフリー機能(レベル2)を首都高速の渋滞で試したら、目の前で強引に割り込んでくる車両に対応できず怖い思いをしたからだ(正しくはぶつかるんじゃないかと怖くて、自分でハンドル&ブレーキ操作で対応した)。

なにせ渋滞のときは、速度が低いこともあってぐいぐい車線変更をしてくるクルマが多いのだ。なので、ホンダに「どうなの?」と確認してみた。すると、「そこは検証済み」と頼もしい返事が返ってきた。

かといって、新型レジェンドに出くわしたとき、強引な車線変更をして試さないように! 

道路交通法第26条の2には「車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度または方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない」と明記されている。新型レジェンド(に限らないけれど)の前にオラオラ状態で車線変更をして入ってはいけません、ということだ。

もうひとつ。レジェンドがからむ事故の場合も不安があるだろう。事故の瞬間、ドライバーが運転していたのか、システムが運転していたのか、はたまた、システムが限界を感じて「運転代わって」と呼びかけていたのか、ドライバーがそれに応じたのか応じなかったのか、わからないのでは? ということだ。

そこは大丈夫。事故時の責任の所在をクリアにするため、車両には作動状態記録装置=DSSAD(Data Storage System for Automated Driving)が搭載されている。すべての状況が明らかにできるのである。

ホンダ レジェンド 新型の「渋滞運転機能」動作時のディスプレイホンダ レジェンド 新型の「渋滞運転機能」動作時のディスプレイ

レベル2までは自動運転ではなく「運転支援車」

また、国交省ではレベル3の登場を前に、2020年12月に、運転自動化レベル(レベル2とか3とか)の呼称を整理した。目的はもちろん、ユーザーが機能やその限界などを正しく理解し適切な運転操作を行うためだ。そのほか、広報宣伝や広告、テレビCMへの活用のためもある。

そこでは、運転自動化レベルについて、
レベル1とレベル2は「運転支援車」。
レベル3が「条件付自動運転車(限定領域)」
レベル4が「自動運転車(限定領域)」
レベル5が、「完全自動運転車」
となっている。

レベル2までは、「自動運転」ではなく「運転支援車」なのである。

……。

今後の日産の広告が、どう変化するのか期待しつつ見守りたい。というか、ユーザーが混乱するから本当に日産の「自動運転!」と言いまくる広告はJAROに訴えたいくらいですよ。

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家。
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

《岩貞るみこ》

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