米国版スクラップインセンティブ、勝者と敗者は?

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米国で新車市場回復の起爆剤として7月下旬に導入された「CARS」(カー・アローワンス・リベート・システム)。制度開始から1週間が経過し、いわゆる「キャッシュ・フォー・クランカー」と呼ばれるスクラップインセンティブ特需の恩恵を享受できた自動車メーカーが明らかになった。やはり、燃費性能に優れる小型車をメインにそろえる日本メーカーが中心だった。

米国版スクラップインセンティブは、旧車(1984年式以降)から一定の燃費基準を満たした新車に代替する際に、政府が下取り車と引き換えに4500ドル(約43万円)分の金券を支給。金券支給の可否を判断する燃費基準は、現在所有する車よりも乗用車が10マイル/ガロン(約4.25km/リットル)以上、ライトトラック(SUV/ピックアップトラック/ミニバン)が5マイル/ガロン(約2.13km/リットル)以上、燃費が良ければOKというものだ。

また、この基準を満たしていなくても、現在所有する車よりも購入する新車の燃費が、乗用車で4 - 9マイル/ガロン(約1.7 - 3.83km/リットル)以上、ライトトラック(SUV/ピックアップトラック/ミニバン)で2 - 4マイル/ガロン(約0.85 - 1.7km/リットル)以上良好なら、3500ドル(約33万円)分の金券が支給される。ただし、車両価格が4万5000ドル(約428万円)以上の高額車は、インセンティブの対象外だ。

このCARSが大当たりし、当初予算枠の10億ドル(約950億円)は1週間ですぐに埋まった。そこで米下院は7月31日、20億ドル(約1900億円)の増額法案を可決。ペロシ米下院議長は「制度導入直後の6日間で、約25万台の新車が売れた」と語るなど、米国では今、スクラップインセンティブが思わぬ特需を生んでいる。

そして、このほど判明したのが、この制度を利用した顧客の下取り車ベスト10と、代替車の人気ベスト10。リストは以下の通り。

下取り車ベスト10
1位 フォード・エクスプローラー(1998年式)
2位 フォード・エクスプローラー(1997年式)
3位 フォード・エクスプローラー(1996年式)
4位 フォード・エクスプローラー(1999年式)
5位 ジープ・グランドチェロキー(年式不明)
6位 ジープ・チェロキー(年式不明)
7位 フォード・エクスプローラー(1995年式)
8位 フォード・エクスプローラー(1994年式)
9位 フォード・ウインドスター(1997年式)
10位 ダッジ・キャラバン(1999年式)

代替車の人気ベスト10
1位 フォード・フォーカス
2位 ホンダ・シビック
3位 トヨタ・カローラ
4位 トヨタ・プリウス
5位 フォード・エスケープ
6位 トヨタ・カムリ
7位 ダッジ・キャリバー 
8位 ヒュンダイ・エラントラ
9位 ホンダ・フィット
10位 シボレー・コバルト

下取り車リストで驚くのは、フォード『エクスプローラー』の多さ。同車は90年代の米国における大ベストセラーSUVだが、それにしても1 ‐ 4位、7 ‐ 8位に、1994 ‐ 99年にかけて生産された2代目エクスプローラーの全年式がランクしているのは興味深い。

ちなみに、米国版スクラップインセンティブでは、下取り車を再販売するのは法律違反となり、ディーラーには解体処分が義務づけられる。2代目エクスプローラーといえば、米国でファイアストン社製タイヤのトレッド剥離による横転事故が多発し、損害賠償を求める顧客による裁判、そして大リコールに発展したモデル。顧客も早く手放したかったというのが本音かもしれない。

代替車の人気ベスト10では、首位にフォード『フォーカス』が立ったものの、2位にホンダ『シビック』、3位にトヨタ『カローラ』、4位にトヨタ『プリウス』、6位にトヨタ『カムリ』、9位にホンダ『フィット』と、ベスト10の5台を日本車が占めた。

米国版スクラップインセンティブは、経営不振にあえぐGM、フォード、クライスラーの米国ビッグ3を支援する目的で導入された経緯がある。燃費基準が非常に緩いのは、そのためだ。しかし、いざ蓋を開けてみれば、そのメリットを享受したのは日本メーカーが中心という、なんとも皮肉な結果となった。

《森脇稔》

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