やっぱりクルマは広いに限る!? Responseでは国産160車種の室内長×室内幅×室内高から独自の「室内空間指数」を算出。軽自動車からSUVまで9ジャンルで室内の広さを比べてみた。
総合ランキングTOP30もちろん今回の指数は、あくまで室内長×室内幅×室内高というそれぞれのピーク値を掛け合わせたものであり、実際の室内容積そのものを比較しているわけではない。そのため実際に乗ったときに感じる広さとは差が生じる場合もある。とはいえカタログスペックから室内空間を比較するひとつの目安にはなるはずだ。果たして気になるジャンルの状況、そして気になるあのクルマの実力は?
◆軽自動車の室内はここまで広い! スーパーハイトワゴンの実力
軽自動車部門
軽自動車は小さいから室内が狭い……なんていうのは過去の話。たとえば軽乗用車の中心となっているスーパーハイトワゴンのホンダN-BOXやスズキ・スペーシア、ダイハツ・タントなどは、コンパクトカーのハッチバックより計算上2~3割ほど広いケースもある。
その秘密は天井が高いことに加え、短い全長ながら荷室の奥行きを重視せず後席を車両最後部ギリギリまで寄せていること。ただし後席にはシートスライドを組み合わせているため、必要であれば前後席間距離と引き換えに後席を前へスライドして荷室の奥行きを拡大できる。普段は後席スペースを広く確保しつつ、必要に応じて荷室を広げられるフレキシブルなパッケージングが軽スーパーハイトワゴンの強みだ。
おもしろいのは日産ルークス、三菱デリカミニ、eKスペース連合に対し、タントやスペーシアだけでなく、王者N-BOXまで“計算上の室内”では狭くなること。ただし筆者計測によれば、前後席間距離、つまり後席ひざまわりのゆとりはN-BOXのほうが広い。これはカタログスペックから読み取れる広さと実際に感じる広さとの差といっていいだろう。「それを言ったら……」ではあるのだが、この企画における指数はあくまで計算値なのである。
スーパーハイトワゴンに比べればハイトワゴンの室内が狭くなるのは当然と思いきや、健闘しているのがスズキ・ワゴンR。同門のスーパーハイトワゴンであるスペーシアに対して、計算上の室内空間ではわずかながら上回るのだから驚きだ。その理由はスペーシアより長い室内長。まさに計測のマジックである。
人気のスズキ・ジムニーは2.80m3で、スズキ・アルト(3.16m3)などのセダンタイプよりさらに狭い。ただ世の中にはもっと狭い軽自動車もある。それがダイハツ・コペン(1.18m3)だ。「2シーターのスポーツカーだから当然じゃん!」という声もあると思うが、そんなことを言っていたらこの企画は成り立たない。
そしてひとつだけ言わせてもらえば、コペンはオープンカーなので屋根を開ければ室内高は無限大。ある意味、広さは青天井だ!
軽自動車総合ランキング◆ミニバンの室内空間を比較 ハイエースとセレナの数字に驚愕
ミニバン部門とんでもない怪物を発見した。トヨタ・ハイエースのグランドキャビンは9.35m3もあり、今回リストアップした全車種の中で断トツの広さ。軽スーパーハイトワゴンの2倍以上を誇る“ダンチ”な存在だ。
たしかに室内は広い。大人10人が無理なく乗れる余裕は伊達じゃない。……のだが、一般的な乗用ミニバンとは少し立ち位置が異なるので、参考値として見るに留めておくことにしよう。
ラージミニバンの定番であるトヨタ・アルファード/ヴェルファイアはやっぱり広い。しかし今回の計算では、それを上回る数値を記録したのが日産エルグランドだ。ボディサイズだけを見ればアルファード/ヴェルファイアが優位に思えるが、室内寸法を掛け合わせた計算上の容積ではエルグランドが上回る結果となった。室内幅ではアルファード/ヴェルファイアのほうが広いものの、室内長の数値がエルグランドの追い風となっている。
一方、ひと回り小さな車体の日産セレナも依然として驚異的だ。計算上の容積は6.80m3に達し、ラージミニバン勢に迫る数値を記録している。もはや奇跡といっていいクルマである。もちろんこれはあくまで数字のマジックで、実際の室内ではアルファード/ヴェルファイアやエルグランドのほうが広く感じられるのは言うまでもない。室内幅では上級ミニバン勢が有利だが、室内長と室内高の数字がセレナの追い風となっている。
そして注目なのは、新型エルグランドが計算上ではアルファード/ヴェルファイアを上回ったことだ。「それでいいのかトヨタ!」……というのはもちろん冗談で、あくまで今回の計算方法による結果だからこそのおもしろさ。カタログ寸法を掛け合わせてみると、クラスや車体サイズのイメージとは少し違った順位が見えてくる。
ちなみにセレナのライバルであるホンダ・ステップワゴンは計算上だとセレナより狭いことになっているが、実際にはステップワゴンのほうが広く感じられる部分もあることはお伝えしておこう。この企画はあくまで実際の室内容積ではなく、カタログ数値から導き出した“計算上の広さ”がベースなのだ。
ミニバン総合ランキング◆国産ハッチバックはわずか5車種 室内の広さはインプレッサがトップ
ハッチバック部門それにしてもビックリだ。コンパクトカーを除くと、国内で買える国産ハッチバックが5車種、実質4車種しかない。マツダ・マツダ3、ホンダ・シビック、トヨタ・プリウス、スバル・インプレッサ、そしてシビックをベースにしたカスタマイズカーのミツオカM55である。
この中でもっとも広いのはインプレッサだ。たしかにマツダ3はデザインコンシャスで狭そうな印象があるし、ここだけの話だがプリウスはさらに狭い。ちなみにクラス2番手はシビックとM55。これは偶然の一致? いやいや、同じ車体がベースなのだから当然だ。
ただトップのインプレッサと最下位のプリウスに大きな差があるかといえば、そこまででもない。そして間違いなく言えるのは「軽スーパーハイトワゴン」どころか、ワゴンRやムーヴなどの「軽ハイトワゴン」よりも狭いということである。
えっ「このクラスは誰も広さなんて求めないよ」って? その認識でいいだろう。室内の広さを最優先するならワゴン系の軽自動車やコンパクトミニバンを買ったほうが幸せになれる。全長4mに満たないスズキ・ソリオの指数がこれらより大きいのだから驚くしかない。ただしラゲッジスペースはマツダ3やプリウスのほうが広いことは付け加えておこう。
ハッチバック総合ランキング◆国産セダンの室内比較 センチュリーとレクサス勢が上位を占める
セダン部門ボディサイズを問わず「セダン」とまとめているため、クルマによって大きな差が出る……と思いきや、意外とそうでもないのがおもしろい。もっとも指数が大きいのはトヨタ・センチュリー。さすがである。ただしセンチュリーはどう考えても別格だ。次点はレクサスES、そしてレクサスLSと続く。トヨタ&レクサスの大型セダンがトップ集団を形成している。
その下にはホンダ・アコード、トヨタ・クラウンと続くが、数字を見ると“センチュリーを除くトップ”であるレクサスESが3.88m3なのに対し、クラウンは3.57m3。車格のイメージほど極端な差ではない。
一方でもっとも狭いのはカローラで、容積は3.21m3。同クラスのマツダ3セダンは3.27m3で、カローラを僅差で上回っている。
室内長はカローラのほうが10mm長く、室内高もカローラのほうが5mm高いが、マツダ3の勝因となったのはカローラより45mmワイドな室内幅だ。
光岡Ryugiのベースとなっているのは、すでに新車販売を終了したひと回り小さな5ナンバーサイズのカローラセダン「カローラアクシオ」。にもかかわらず、車体サイズで勝る本家カローラより計算上の室内が広いのは興味深い。どんなマジックを使っているのか? 実はカローラより室内長が長いのが勝因だ。つまりボンネット長を抑えたパッケージングの賜物なのだが、これは下剋上といっていいのではないだろうか。
ちなみにスバルWRX S4をスポーツカーではなくセダンとしてこのジャンルに置けば、日産スカイラインと同格になる。
セダン総合ランキング◆スポーツカーは狭くて当然? ロードスターとフェアレディZがワンツー
スポーツカー部門スポーツカーの定義はボディ形状ではないため、この企画でカテゴライズした9台の顔ぶれを見るとパッケージングはさまざま。マツダ・ロードスターのような2シーターオープンカーもあれば、トヨタGR86やスバルBRZのようなクーペもある。ホンダ・プレリュードや日産フェアレディZのような流麗なモデルがある一方で、トヨタGRカローラのような実用性を備えたハッチバックやスバルWRX S4のようなセダンも存在する。まさに百花繚乱だ。
スポーツカーなら「狭いことに価値を感じる」という人もいるだろう。そこで、もっとも狭いほうから紹介すると容積は1.41m3。軽スーパーハイトワゴンの3割ほどしかない!……いや「3割もある」というべきか? しかしこれが断トツかと思えば、フェアレディZも僅差。2シーターの2台がめでたくワン・ツー達成だ。2台を足しても居住空間はスーパーハイトワゴン1台の6割ほど。これなら文句なしに“狭さ自慢”を語っていいだろう。
その次となるとGR86やBRZで、室内はかなり広くなる。プレリュードやGT-Rならさらに余裕が増す。もっとも広いのは3.51m3のWRX S4だ。実用セダンのパッケージングがベースなので、実用性と走りの両立を求める人には都合がいい。
2番目に広いGRカローラの容積は3.12m3。ここまでくるとロードスター+フェアレディZの合計よりも広い。実はGRヤリスでもその合計を上回る。つまり2シータースポーツカー2台分の価値があるのだ。広さでいえば……だけど。
スポーツカー総合ランキング◆国産ステーションワゴンは2車種 レヴォーグとカローラツーリングを比較
ワゴン部門トヨタ・カローラツーリングとスバル・レヴォーグの一騎打ちとなったステーションワゴン対決。気が付けば国産で選べるステーションワゴンはたった2車種となってしまった。しかもどちらもCセグメントなのは偶然なのか、それとも必然なのか。謎は深まるばかりだ。
さて本題に戻ろう。両者の広さを見るとカローラツーリングは容積3.14m3で、対するレヴォーグは3.47m3。すなわちレヴォーグのほうが広い。
内容を見ると室内長、室内幅、室内高のすべてでレヴォーグが勝っているが、もっとも差が大きいのが室内高。1160mmのカローラツーリングに対し、レヴォーグは1205mmと45mmも高い。これが明確な差となった。
参考までにレヴォーグの指数は、軽自動車なら日産デイズや三菱eKクロス、ダイハツ・タフトに相当する。ダイハツ・ミライースとも指数はほぼ変わらないことに驚く。軽自動車、凄すぎ! ハッチバックではスバル・インプレッサと同等だが、これは兄弟といっていいほど基本設計が近いだけに当然といえば当然か。
ちなみにホンダ・フィットや日産ノート、ダイハツ・ブーンは、いずれも計算上ではレヴォーグ以上となる。コンパクトカーより車体サイズが大きく荷室も広いカローラツーリングやレヴォーグだが、居住空間までコンパクトカーより広いかといえば、それはまた別問題のようだ。なかなか奥が深い。
ワゴン総合ランキング◆コンパクトミニバンの広さはシエンタが首位 ソリオの効率にも注目
コンパクトミニバン部門いまや飛ぶ鳥を落とす勢いの人気カテゴリーとなったコンパクトミニバン。ミニバンは一般的に3列シートモデルを指すが、今回はトヨタ・ルーミーやダイハツ・トール、スズキ・ソリオなど2列シートのスライドドア付きハイトワゴンも含めて集計してみた。
もっとも広いのは容積5.06m3のトヨタ・シエンタ3列車。コンパクトな車体ながらこの広さはさすがだ。次点はホンダ・フリードの3列モデルで容積4.98m3。それらに比べると車体はひと回り小さいものの、容積4.85m3のスズキ・ソリオが3位にランクインする。小さな車体かつ2列シートながらフリードに肉薄しているのだから驚くしかない。
計算上ではシエンタやフリードの2列車よりソリオの居住空間が広いことになる。ただしシエンタやフリードの2列車はソリオより大幅に荷室が広いため、これはパッケージングの考え方が違うということだ。
というわけで、ルーミー(トール&スバル・ジャスティ兄弟)とソリオ(&三菱デリカD:2)の対決は“大差”でソリオの勝ち!
室内幅はルーミー兄弟のほうが60mmワイドだが、室内長はソリオ兄弟のほうが320mm長い。この圧倒的な室内長が勝敗を決めたといっていいだろう。兎にも角にも、ソリオのパッケージングは侮れない!
コンパクトミニバン総合ランキング◆コンパクトカーで室内が広いのは日産ノート ブーンも上位
コンパクトカー部門もっとも広いのは同率で日産ノートとノートオーラの容積3.64m3。次点にダイハツ・ブーンで3.56m3の3位となっている。ここまでトヨタ勢がまったく絡んでこないのが実に興味深い。
あくまで筆者の考えだが、トヨタはコンパクトハッチバッククラスでライバルと並ぶ居住性を最優先せず、代わりに燃費性能を重視したのではないだろうか。トヨタの2台、ヤリス&アクアは室内高を低く抑えているが、これは前面投影面積を減らすことにつながり、空気抵抗を抑えて高速燃費を向上させるうえで有利に働く。室内の広さは同じコンパクトクラスでも、背の高いルーミーやコンパクトSUVのヤリスクロス、ライズに任せていると考えれば納得がいく。
順位に戻ると4位はホンダ・フィットで容積3.55m3、5位のスズキ・スイフトで容積3.33m3、6位がマツダ・マツダ2で3.16m3。そしてヤリス(3.14m3)、アクア(3.10m3)が続く。ちなみにカスタマイズカーであるミツオカ・ビュート ストーリーのベースはヤリスだ。
さてコンパクトハッチバックの中でもっとも室内が狭いのはホンダSuper-ONEだが、これに関しては誰からも異論はないだろう。車体は軽自動車であるホンダN-ONEがベースで、キャビンスペースもそれに準じる。だからこそ片側5cm張り出したあのワイドフェンダーが実現できたのだ。Super-ONEの車内が狭いからといって文句を言う人なんて、地球上にはいない……と信じたい。
コンパクトカー総合ランキング◆SUVの室内空間をクラス別比較 ランクルからWR-Vまで意外な結果に
SUV部門いまや日本でも乗用車のメインカテゴリーとなったSUV。そんな背景もあり、大きなモデルから小さなモデルまで数多くのSUVが用意されている。あまりにも車体サイズの違うモデルを同じ土俵で比べても仕方ないので「ラージ」「ミドル」「コンパクト」の3クラスに分けて見ていこう。
まず頂点となるラージクラス。文句なしのトップに君臨するのはトヨタ・ランドクルーザー300と、その兄弟であるレクサスLXの3列車だ。その実力は容積5.38m3。車体サイズを生かした力技といっていいのかもしれない。
ただランクルやレクサスLXも安泰かといえば、そうはいかない。なぜなら2027年からの発売が公式アナウンスされている日産パトロールが刺客となりそうだからだ。パトロールの車体はランドクルーザー300よりひと回り大きく、もちろん3列シート。現時点では室内寸法が公表されていないため判断できないが、ランドクルーザー300を超える可能性もある。実に楽しみだ。
さて現行車種に話を戻すと、ランドクルーザー300&レクサスLXに次ぐのはまたもやランドクルーザー。ランドクルーザー250の容積は5.20m3で、さすがのラージボディである。以下、マツダCX-80、レクサスGXの3列車と続く。ランドクルーザー250とレクサスGXは基本設計を共用する兄弟だが、室内寸法は微妙に異なる。
ちなみに多くの人が注目しているであろうランドクルーザー70の容積は3.14m3に留まる。こちらは2列シート車だ。
ミドルクラスのトップは日産エクストレイルの3列シート車。ちなみにメーカーオプションでナビを付けると室内長が15mm伸びて指数がアップする。実際の広さが変わるわけではなく、計測ポイントが変わるためだ。
そして三菱アウトランダーの3列車がそれに続く。2列車のトップはマツダCX-5で容積3.91m3。ライバルを見るとスバル・フォレスターは3.81m3、ホンダCR-Vは3.69m3、トヨタRAV4は3.50m3、トヨタ・ハリアーは3.47m3となる。マツダCX-60は3.64m3で、実はCX-5未満。ここにも下剋上が……。
コンパクトクラスはちょっと驚く。最上位のホンダWR-Vはなんと3.64m3。ヴェゼルも3.58m3で、どちらもふた回りほど車体が大きなRAV4やハリアーを上回っている。一体どうなっているの?
しかし筆者がもっとも驚いたのは、国産最小クラスのトヨタ・ライズ&ダイハツ・ロッキー+スバル・レックス連合。全長4mに満たないながら容積は3.47m3を誇る。あの小ささでハリアーと同等だなんて、一体どうなっているの? これぞパッケージングの妙である。
加えてSUVに含めていいのかどうかは筆者としても微妙なところだが、スズキ・クロスビーはまさかの3.89m3。SUVとして考えれば、もはや奇跡。もしくは手品としか言いようがない。パッケージングの実態は背の高いハイトワゴンとはいえ、なんという室内の広さだろう。
SUV総合ランキング◆国産160車種を比べてわかった 室内が広いクルマの共通点
総合ランキングやっぱりクルマの車内空間は広いほうがいい。しかし160車種をリスト化してみると意外や意外、軽自動車の健闘が目立つことがよくわかった。そしてコンパクトミニバンのスペース効率の高さも素晴らしい。
間違いなく言えるのは3列シートモデルが強いということ。逆にいえば、すべて2列シートである軽スーパーハイトワゴンの健闘ぶりは、軽自動車のパッケージング効率の高さを炙り出したといっていいのではないだろうか。
そしてもうひとつわかったのは、やはり背の高いクルマが有利だということ。軽スーパーハイトワゴンをはじめ、ミニバンもコンパクトミニバンも背が高ければ室内高を稼げるため指数は高くなりやすい。それは巨大な車体×3列シートというパワープレイで指数を上げたランドクルーザー300や250の3列モデルだけでなく、コンパクトボディの2列モデルながら健闘したWR-Vやヴェゼルにも共通する。CR-Vの高い実力も含め、ホンダSUV軍団のパッケージング能力の高さがひしひしと伝わってきた。
というわけで、大勢はイメージどおりでありつつ、なかには予想を裏切る展開もあったResponse独自指標による国産車の室内広さ比較。クルマ選びの参考にしていただくのは大いに結構だが、あくまでカタログスペックから算出した計算値であり、実際に感じる広さとは異なる場合もある。だからこそ車両購入時にはしっかり実車をチェックし、自分の使い方に合った広さなのかを確認してほしい。










