日本自動車工業会(自工会)の二輪車委員会は11日、国内での二輪市場活性化に向けた意見交換をおこなうメディアミーティングを開催。ライダーたちの憩いの場として親しまれる「宮ヶ瀬ヴィレッジ」を会場に、自工会副会長で二輪車委員会委員長の設楽元文氏を囲み意見を交わした。
メディアミーティングの開催は今回で12回目。ヤマハ発動機社長の設楽氏が委員長に就任してから2回目の開催となった。これまでも二輪車の交通安全、事故ゼロに向けた課題や対策などを中心に、二輪市場の活性化に向けた意見交換が積極的におこなわれてきた。今回は原付一種免許で運転できる排気量が125cc以下まで引き上げられたものの、その内容について一般への認知が十分に浸透しておらず誤解が生じている現状や、二輪市場の活性化と同時に駐輪場の整備も進めるべきといった内容などが話題となっていた。

原付一種については125ccクラスのバイクすべてが運転できるようになる、といった誤解が生じているという。実際には最高出力を4kW以下に抑えた125cc以下の車両に限り、原付一種免許や普通自動車免許で運転できるようになるもので、この基準を満たした「新基準原付」が対象となる。ホンダが現在開発を進めている『スーパーカブ110 Lite』などがこれに該当する。これについては、自工会や各メーカーだけでなく、メディアとも連携し周知を図っていくとした。
設楽氏はこの3月にヤマハ発動機社長に就任、二輪車の商品企画をはじめ、インド事業の最高責任者などを歴任した経歴の持ち主で自他ともに認めるバイク好きだ。社長就任以来、また二輪車委員会委員長に就任以来、「世界各国の二輪市場を回りながら、日本の位置付けを考えつつ、どうやって日本を活性化しようかなと考えている」という。その中で、改めてバイクの魅力に気付かされたという。

「いろんな社会環境が変化する中で、やっぱり心の豊かさとか人生の豊かさを享受するためのツールとしては、バイクというのはやはり非常にいいアイテムだなと、改めて感じている。そういう中で普及をさせていく、健全な乗り物、安全な乗り物であり、それで憧れの存在である。そういう位置づけでバイクを理解して頂きたいという風に切に願っている」
「日本ではバイクがトレンドになって浮き沈みがある。が、私自身は『文化』にしてみたいという風に思っている。文化というのが何かというと、やっぱり普遍的な価値観。お客さんが知っていただきながら、それをちゃんと後世に伝えていけるような状況。日本はやっぱりリーディングの立場で世界を引っ張っていく国だと思っているので、短期的な思考にとらわれず、長期的な視点でバイクが日本に根付くことを私は皆さんと一緒にやってみたいと思っている」(設楽委員長)

自工会は同日、毎年恒例となっている8月19日の「バイクの日」イベント『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY』の概要も発表。1989年に政府が二輪車の交通事故撲滅を目的として制定した「バイクの日(8月19日)」に合わせ、二輪車ユーザーだけでなく広く一般に対して交通安全意識の啓発と「バイクの日」の認知度向上を図り、バイクの有用性・利便性を訴求するイベントだ。昨年に引き続き、東京秋葉原のアキバ・スクエアで開催。今年は初めて開催時間を14時00分~19時00分とし、就業後のビジネスパーソンも訪れやすい時間帯の開催とした。イベントの内容は、特別サイトで同日より公開されている。