【レンジローバー 新型試乗】一頭地突き抜けた存在、これ以上何を求める?…中村孝仁

一頭地突き抜けた存在に再び帰って来た

このスムーズさは正直お目にかかったことがない

2240万円が飛ぶように売れている

レンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィー
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◆一頭地突き抜けた存在に再び帰って来た

初代『レンジローバー』をその昔、ランドローバーのテストコース、ソリハルで試乗した時、その優雅な動きと卓越した走破性に舌を巻いた。

その後2代目、3代目と進化したはずのクルマだったが、初代の強烈な印象を凌駕するモデルは現れず、その後メーカーはBMW、フォード、そしてタタと親会社が点々とする渦中でどうも筋の通った開発姿勢が見えなかったというか、正直言うと一頭地突き抜けた存在ではなくなった印象が強かった。

レンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィーレンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィー

ところが、SUV全盛時代になって、ロールスロイスやベントレーと言ったイギリスを発祥とする超高級車メーカーまでSUVを作り始めるに至り、元々一頭地突き抜けた存在だったレンジローバーが今回の5世代目で再び覚醒した印象である。

個人的な印象を述べさせて頂けば、初代から一気にワープして5代目のモデルが再び一頭地突き抜けた印象だ。その乗り心地、その優雅な動き、その贅を尽くした内外装、そして佇まい。どれをとっても超が付く一級品である。残念ながらロールスロイス『カリナン』には試乗したことがないが、ベントレー『ベンテイガ』よりはその乗り味という点で間違いなくこちらが上である。そして、この領域に迫るライバルのSUVはズバリ存在しない。まさに一頭地突き抜けた存在に再び帰って来た。

◆このスムーズさは正直お目にかかったことがない

レンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィーレンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィー

今回試乗したモデルは「P530 オートバイオグラフィー」というグレードのLWB(ロング・ホイールベース)版。レンジローバーとしては初となる7シーターを持ったLWB版であると同時に、そのパワーユニットを従来のジャガーソースのAJユニットからBMWソースのP530(N63B44T3)ユニットに代えたことが大きな変化であろう。

果たしてこの変更がどうして行われたのか想像するに、2020年にフォードからジャガー・ランドローバーがV8エンジンの生産工場を買い取った際にEU7の排ガス規制に向けた開発のし直しをしている最中で、恐らくはAJエンジンが間に合わなかったと見るのが妥当だと思う。

そのBMW由来のV8エンジンとZFソースの8速ATの組み合わせが織りなす滑らかで力強い走りも新しいレンジローバーの良さを引き立たせているが、それ以上に凄みを感じたのはその卓越した「揺れなさ」である。走行モードをいくつか選べるが、やはりこのクルマに似合うのはコンフォートである。だからAUTOにセットしておけばよい。こいつを選んでいる限り、そのフラットな乗り心地はまさに絶妙。

レンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィーレンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィー

レンジローバーは以前からエアサスペンションを採用してきたが、今回のモデルは新たに初の5リンクリアサスを導入し、さらにエアに加えて5ミリ秒で反応するツインバルブダンパーを備える。そして日本のモデルがそれをやっているかどうかは定かでないがeHorizonというナビゲーションデータを使用して前方の道路を読み取り、サスペンションを反応させる機能も持っているという。

そんなわけで、とにかく揺れない。というか極めてスムーズ。このスムーズさは正直お目にかかったことがない。このスムーズさこそ新しいレンジローバーの真骨頂で、走行モードをダイナミックに変えてみると確かに力強さは増してハンドリング性能は向上するのかもしれないが、それは他のブランドでも体験できることなので、正直要らないと思った。

◆2240万円が飛ぶように売れている

レンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィーレンジローバー P530 LWB オートバイオグラフィー

それにしても全幅は2mを超えるし、LWBの全長は5265mmである。まあ、デカいことこの上ないのだが、物理的に入らないところは別として比較的狭い道や、駐車の際などにあまり苦労しなかったことだけは確か。これもレンジローバー初採用の4WSの効果だと思う。

内装及び外装の仕上げはこれも上質の一言である。因みに試乗車には合計160万2702円分のオプション装備が追加されていたが、センターコンソールにはかなり強力に冷える冷蔵庫(500mlのボトル4本が収納できる)が付いていたり、リアゲートに装備できる二人分のアディショナルシートがあったりとこちらも至れり尽くせり。チビにはとても乗降に便利なディプロイアブルサイドステップキットという、ドアを開けるとステップが飛び出す仕組みがあったり、一度乗ってしまうと保有したい欲求は頂点に達する。

しかしながら「V8モデルについては既に3年分の生産予定の受注台数に達してしまいました。」という記述と、オーダーを制限する旨の但し書きが添えられ、残念なことにこのオートバイオグラフィーというグレードは注文ができない。車両本体価格2240万円が飛ぶように売れているという現実があるということだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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