少し前から、レトロなデザインのモーターサイクルが目につくようになってきた。代表格は、2017年に発表された川崎重工業(カワサキ)の『Z900RS』だろう。1970年代に一斉を風靡した大型バイク「Z1」「Z2」を連想させるスタイリングで、いまなお根強い支持を受ける。
『Z900RS』のライバルとなるか、『ホーク11』と『XSR900』
ホンダ ホーク11(東京モーターサイクルショー2022)3月下旬に開催された「東京モーターサイクルショー2022」では、本田技研工業(ホンダ)がライバルになりそうな新型車を出展してきた。『ホーク11』だ。
ホークは1970年代から80年代にかけて250/400ccクラスに投入された車種に使われたネーミング。それを『CRF1100Fアフリカツイン』や『レブル1100』と基本的に同じ1100cc並列2気筒エンジンで蘇らせた。
排気量はZ900RSより大きいが、レブル1100に匹敵する価格が実現できれば競合になるかもしれない。
ヤマハ XSR900(東京モーターサイクルショー2022)ヤマハ発動機はスポーツヘリテージというカテゴリーで『XSR900』と『XSR700』を販売している。今回のショーではZ900RSと同排気量の3気筒エンジン搭載車のXSR900がモデルチェンジ。1980年代のレーシングマシンが取り入れていた「ゴロワーズカラー」を連想させるブルーをまとってきた。
「Z」50周年を祝うファイアボールカラーの“復刻ザッパー”
カワサキ Z650RS 50thアニバーサリー(東京モーターサイクルショー2022)迎え撃つカワサキはZ1デビュー50周年ということで、当時を象徴する「ファイアボールカラー」をZ900RSに加え、昨年秋に発表した弟分の『Z650RS』にも展開してきた。
Z650RSのモチーフは「ザッパー」の愛称で親しまれた1970年代の「Z650」だが、エンジンは並列2気筒としている。4気筒のZ900RSとの差別化を図るためもあろうが、軽快なハンドリングが期待できる。
2021年秋に発売された『メグロK3』もレトロモデルになる。こちらは1924年に創業し、1960年にカワサキに吸収されたメグロブランドの復刻だ。ベースは『W800』だが、Wシリーズの祖先は「メグロ・スタミナK1」に行き着くので、ルーツを辿ったモデルでもある。
レトロスタイルに舵を切ったBMW
BMW R18(東京モーターサイクルショー2022)輸入車はハーレーダビッドソンのローライダーやトライアンフ・ボンネビルのように、長年同じスタイリングで作り続けできたモデルが多いが、一方で明確にレトロ方向を向いた車種もある。
BMWモトラッド(モーターサイクルを示すドイツ語)の『Rナインティ』と『R18』はその代表格で、創業以来使い続ける空冷水平対向2気筒エンジンを積むヘリテージシリーズとして位置付けられている。
Rナインティは2013年発表。排気量は1100ccで、4つのスタイルから選べる。2年前に登場したR18はその名のとおり、BMWモトラッドで最大の1800ccとなるクルーザーで、4タイプを用意している。
バイクは「乗り物らしさ」が堪能できる存在
ホンダ ダックス125(東京モーターサイクルショー2022)プジョー ジャンゴ(東京モーターサイクルショー2022)小排気量のレトロモデルはホンダが充実。『モンキー125』、『ハンターカブCT125』に加えて、『ダックス』も125ccで復活した。輸入車ではイタリアのランブレッタ、フランスのプジョーといったスクーターが目をひいた。
四輪車同様、二輪車も社会環境の変化で、パワーやスピードをストレートに追求するのが難しくなってきた。それでも電動化や自動化の影響を大きく受ける四輪車と比べると、乗り物らしさが堪能できる存在であり続けている。レトロバイクの人気は、そんな部分に惹かれるユーザーが増えているためもあるだろう。