ホンダe は長丸がモチーフ、生活用品の親しみやすさを取り込んだ…東京モーターショー2019[デザイナーインタビュー]

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東京モーターショー2017でコンセプトモデルが発表され、その後市販化が予定されている『ホンダe』の量産直前モデルが公開された。そこでどういう思いでデザインされたのか、担当デザイナーに話を聞いた。

クルマに興味のある人もそうでなくても

このモデルの開発責任者である本田技術研究所オートモービルセンター商品企画室LPL主任研究員の人見康平さんは、「35年の仕事人生をかけた最高のクルマに仕上がった。まさに集大成。そして、デザインはクルマを見るうえでも、買うときでも最初に目を引く部分。その重責を2人にお願いし、見事に仕上げてくれた」と満足そうに語る。

そこでエクステリアデザインを担当した、同社オートモービルセンターデザイン室プロダクトデザインスタジオ研究員デザイナーの佐原健さんに、どういう思いでデザインを始めたかを聞いてみると、「2017年の東京モーターショーでコンセプトモデルを発表したときには、既にこのクルマは水面下で進んでいた。それをベースにコンセプトモデルはより誇張してお披露目したのだが、非常に評判が良かったので、デザインの方向性に間違いはないと判断した」と当時を振り返る。

このクルマで実現したかったことは、「小さなバッテリーEVでキビキビ走る。そして愛らしいキャラクターを持っているクルマなのだが、そこにハイテク技術をこれでもかと投入した。それが使い難くならないように、普通の人が購入後、すぐに親しみやすく使えるように感じるキャラクター、存在感にしたかった」とのこと。

また佐原さんは、「今の時代、どのクルマを見ても結構難しいことをやっていて、非常に凝っている。しかしそういったクルマを、一歩引いて、クルマの興味のない人が見ると、どれも一緒といわれることもある。そこで、初心に立ち返ったデザインによって、クルマ好きじゃない人も、クルマが好きな人も、どちらからも愛されるようなクルマを作ることが大きなチャレンジだった」と述べる。

そこでホンダeでは、「あまりクルマに用いられないような、長丸のモチーフをありとあらゆるところに使うことで、全ての印象をクルマではなく、プロダクトデザイン、家電や生活用品に近い存在感にしている。これが新しいところだ」とコメント。

仮に正円や直線を使うと、「クルマがスタティックに見えてしまう。そこで今回の長丸のモチーフをうまく消化していけば今のクルマとは違った存在感になれると信じていた」とその思いを語った。ホンダ eホンダ e

シームレスにつながるように調整

では、インテリアはどうか。同デザイン室1スタジオ研究員の明井亨訓さんは、「見た感じの印象が、ホンダも含めて今までのクルマとはだいぶ変わっている。このクルマ自体が、生活と移動とが密接に、シームレスにつながるよう乗車体験を表現している」という。

例えば見た目として、「木目やシートのファブリックといったものは、部屋のリビングにあるようなしつらえにしたいと考えながら素材感を表現している」

また、特徴的な横長のディスプレイとCMSと呼ばれるカメラモニターについて、明井さんは、「あたかも先進装備をつけたという感じではなく、自然に部屋にテレビが置いてあるような空間にしたくてデザインした。また、ディスプレイは横長にすることで、コンパクトだが空間が広がって見えるような表現だ」と述べる。

ではなぜこのような横長のディスプレイを採用するに至ったのか。明井さんは、「このクルマはEVなので、止まって充電している時間がある。そのときにこのディスプレイを使って楽しんでもらうことも考えた。普通であれば大型ディスプレイを中央にドンと置けばいいのだが、アシスタント側にも同じようなパネルを置いて、左右別々に操作して、それをお互いに送り合うことも可能だ。そういう新しい使い方もできる」と新たな提案について語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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