【BMW Z4 新型試乗】完璧なオープン2シータースポーツになった…中村孝仁

究極のオープン2シータースポーツ

7シリーズと同じプラットフォーム

リアルスポーツと呼ぶに相応しい走りに

BMW Z4 新型(M40i)
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究極のオープン2シータースポーツ

ラテラルシェイクと呼ばれる言葉がある。意味としては横方向の振動のことを言うが、自動車業界では多くの場合、オープンカーのフロントウィンドーの横揺れを指す。

このラテラルシェイクという言葉を昔はよく使った。まだオープンボディの剛性が乏しく、路面からの揺れを拾った振動はボディ各部に伝わり、最終的にはフロントウィンドーフレームのてっぺんを揺らす。この揺れが大きいと、ボディ全体が不自然な揺れ方をする。結果的に剛性に乏しく、このラテラルシェイクの大きなクルマはステアリングポストまで揺らし、走りは何とも心もとない。だから、オープンカーに乗って一番に試すのは、少し荒れた路面でのハードコーナリングだった。(少なくとも以前は)

例えば4シーターのオープンモデルや2シーターでもスポーティーという表現にとどまるクルマなら、その部分を攻め込まなくても、ある程度は許容範囲としてこのラテラルシェイクに目をつぶったものだが、これがスポーツカーとなるとやはりそうはいかない。こいつを少なくして、剛性を高めたクルマの代表例はやはりポルシェだ。

しかし、今回新しいBMW『Z4』に乗って、究極のオープン2シータースポーツはこのZ4なのではないかという思いを強くした。

7シリーズと同じプラットフォーム


まあ、そもそもこのラテラルシェイクをドライバーが不快と感じるほど出しているようじゃ、スポーツカーを名乗れないから、世界のオープン2シータースポーツは、おおよそこのラテラルシェイクのほとんど出ないクルマが多くなっている。だからある意味ではこのラテラルシェイクという言葉は死語になりつつあるのだが、それにしても今回のZ4ほど、ウィンドフレームの揺れないクルマに乗ったことはこれまでなかった。

このクルマに使われているプラットフォームはCLARプラットフォームと呼ばれる、BMWが作り上げたモジュラー型プラットフォーム。スチールやアルミ、カーボンなどを組み合わせて製作されたもので、最初に使ったのは2015年に登場した現行『7シリーズ』と言われている。

えっ?7シリーズと同じプラットフォーム?と思われる読者もいらっしゃるだろうが、近年のクルマ作りはこのプラットフォームあるいはアーキテクチャなどと呼ばれる車両の基本骨格をベースにして、それを伸ばしたり広げたりする構築方法が確立されているので、駆動方式さえ同一ならば、大きくしたり小さくしたりは如何様にも出来てしまうようだ。

リアルスポーツと呼ぶに相応しい走りに


冒頭でかつてオープンカーを試すのに「少し荒れた路面でのハードコーナリング」と書いたが、今回それを試したのは箱根ターンパイク。下から登っていくと、2本目のほおづき橋を超えた先に、大きく左に曲がるコーナーがある。奥に行くにしたがって曲率が強くなる複合コーナーだ。路面は適度に荒れていて、バウンドするたびに荷重が抜けるので、それがもろにステアリングに伝わってくる。ラテラルシェイクのひどいクルマだとそれが顕著なのだが、このZ4、驚くべきことにピクリともしない。こんなオープンモデルは初めてだ。

先代のZ4と比較してボディは全長、全幅ともに拡大されているが、ホイールベースだけは短縮されている。運動性能を向上させようという意図だろうが、こうした荒れた路面に来るとその意図が良く分かる。

今回トップに使われている素材は先代と違いソフトトップだ。この幌、50km/h以下の走行中にもオペレートできるというのでやってみたが、さすがに50km/hでは難しく、まあ40~50km/hの範囲内で開閉が可能である。しかも開閉時間僅か10秒。開けていようが閉めていようが、その剛性感にほとんど差がないというオープンモデルにも初めて出会った。

3リットルの直6ユニットはB58を名乗るこちらも気筒当たりの排気量が500ccのモジュラーユニット。先代のN系と比べて若干排気量が大きくなっているほか、約20%もターボブーストプレッシャーが増加しているという。スムーズネスに関しては相変わらずで、こと直6エンジンを作らせたらやはりBMWの右に出るものは無い。

オープン2シーターというと、どうも少し軟派でハードなイメージの薄いクルマを連想しがちだが、このZ4、リアルスポーツと呼ぶに相応しい走りのイメージの強いクルマだった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める

《中村 孝仁》

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