注目SUV 6車種、どんなスタイルを選ぶ?…デザイン比較

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日産 エクストレイル 改良新型
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  • 日産エクストレイル 20X
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  • マツダ CX-5 2.2リットルディーゼル
日本では今年、クロスオーバーSUVのカテゴリーがさらに賑やかなものになりそうだ。ニューヨークモーターショー2018で発表されたスバル『フォレスター』とトヨタ『RAV4』、それに海外ではすでに発売中のホンダ『CR-V』など、いくつもの新モデルの投入が控えているからだ。

気づけば海外では、先進国も新興国もクロスオーバーSUVが市場の主流となって久しい。SUVが好まれている理由はさまざまだが、デザインの面では大きなロードクリアランスによる走破性能や高いアイポイントによる取り回しのよさ、大柄なボディがもたらす使い勝手のよさ、それに存在感や安心感といった点が魅力といえるだろう。

つまりクロスオーバーSUVはどの国でも、特別な車種として意識されるものではなく、高い実用性を備えた乗用車として人気を得ているということだ。そしてそのスタイリングやキャラクターも、実にさまざまなものが登場している。

そこで先に挙げた3車種のほかに、日本市場で根強い人気を誇る日産『エクストレイル』とマツダ『CX-5』、それに新顔ながら存在感を見せる三菱『エクリプスクロス』を加えた6車種の魅力を、デザインの面から考察してみたい。

■日産 エクストレイル…普遍性の高さでロングヒット
日産 エクストレイル 改良新型
エクストレイルといえばソリッドで無骨とも言える、シンプルなスタイリング。しかしそれは初代と2代目についてのものであって、現行モデルにその面影はない。それでも広く使い勝手のよい荷室を持つ「SUVとステーションワゴンのクロスオーバー」というキャラクターを、しっかりと踏襲しているのが現行エクストレイルの美点だ。

面が大胆にうねるエクステリアは、旧型の直線基調のスタイリングを好感していた人にとっては敬遠したくなるものだったかもしれない。この大胆な変化の背景には、スタイリングの優先順位が変わったということがある。以前は、エクストレイルという車種の個性を重視したスタイリングを持っていた。しかし現行モデルのスタイリングは、まず日産というブランドの表現を重視し、そこにエクストレイルとしての個性を盛り込むというもの。

グリルの「Vモーション」や前後ランプの「ブーメラン・シグネチャー」は、日産がまずSUV系列の車種に採用し、続いて他の車型にも展開した共通要素。大きくうねったキャラクターラインや肉感的な面構成も同様だ。日産車としての正統性と、クロスオーバーSUVとしての高い資質を兼ね備えた普遍性の高さが、デビューから5年目を迎えても堅調なセールスを続けている要因ではないだろうか。

いっぽうインテリアも、2013年のデビュー時から大きな変更はない。そのためセンタークラスターに配置された液晶ディスプレイの位置やサイズに時代を感じる。それでも時代遅れという印象にまで至らないのは、インパネ全体がシンプルにまとめられているおかげだろう。初代のカジュアルなイメージは存在しないが、車格が上がっても華美な装飾にはしっていない。エクステリアと同様に、見た目はまったく異なっても初代の精神を踏襲していることを感じる。この意志の強さがエクストレイルの魅力といえそうだ。

■マツダCX-5…乗用車としての上質感を追求
マツダ CX-5 2.2リットルディーゼル
「魂動デザイン」の第1弾として登場したCX-5がフルモデルチェンジされたのは、2016年末のこと。現行モデルのエクステリアを一見して感じるのは、旧型よりもさらに堂々とした、それでいて落ち着いたスマートな雰囲気を持っていることだ。簡単に言えば、大人びたたたずまいが現行CX-5の魅力ということになるだろう。

現行モデルと旧型では、2700mmというホイールベースと1840mmの全幅は変わらない。全長も先代の4540mmにたいして4545mmと、わずか5mmの増加にとどまっている。それにもかかわらずエクステリアのイメージが変わったのは、全高を15mm低くした影響だ。これによってプロポーションがわずかに変化し、全体のボリューム感はそのままに、落ち着いた印象を増す効果をもたらしている。

前後ランプやグリルなどのディテールは、水平基調で細身のグラフィック。また魂動デザインの特徴でもあるボディサイドのキャラクターラインも、カーブを弱めつつ伸びやかさを強調するものとなっている。旧型と比べて跳ねるような躍動感はやや控えめとなったが、その代わり疾走感が増している。旧型がデビューしたころはまだ、クロスオーバーSUVというカテゴリーはやや特別な存在感があった。しかし現在は普通の乗用車のひとつとして、すっかり浸透している。この状況に合わせて正常進化、洗練させたのが現行モデルと見ることができる。

インテリアもまた、エクステリアと同様に上質感を追求している。水平基調でワイド感と伸びやかさを強調しつつ、風格ある構えにするというインパネのスタイリングの方向性もエクステリアと同じ。内外での造形イメージが統一されているというだけでなく、『CX-8』の内外装ともイメージを統一して上級感を漂わせているという点も、乗用車としての進化の一端といえるだろう。

■三菱 エクリプスクロス…三菱車の魅力を再定義
三菱 エクリプスクロス
今回紹介するなかでは唯一、スペシャリティ感覚を売り物にするクロスオーバーSUVとなる。言ってみれば「スペシャリティクーペとSUVのクロスオーバー」ということになるのがエクリプスクロスだ。広い荷室が必要だったり、後席にも人を乗せて長距離移動するような人には『アウトランダー』を、という割り切りのよさがエクリプスクロスのキャラクターを明快にし、それがエクステリアでも表現されている。

ホイールベースはアウトランダーと同じ2670mmだが、全長は290mm短く、全高も25mm低い。それでも競合車種となりそうなトヨタ『C-HR』やマツダ『CX-3』よりは若干大柄。これによる寸法の余裕が、キレのよいスタイリングを実現できた要因だ。サイドウィンドウのシンプルな台形グラフィックは、かつての初代『ミラージュ』や『コルディア』を思い出す、というのは言いすぎだろうか。

現在の三菱車に共通したフロントエンドの造形テーマ「ダイナミックシールド」は、見る人によって好き嫌いがはっきり分かれる部分かもしれない。しかし今後はSUVを主力とするブランドの決意は充分に伝わってくるもので、なおかつボディ全体の造形と調和していることには注目すべきだろう。

またパッケージレイアウトやシートのデザインも「三菱らしさ」を感じる部分だ。乗員の着座姿勢は前後ともヒップポイントが高めで、バックレストも立ち気味。SUVというよりも初代『パジェロ』のようなクロスカントリーモデルを思い起こさせるもので、これが高いアイポイントによる取り回しのよさや、後席の広さ感の向上に貢献している。

ただしダイナミックシールドという共通要素を備えるエクステリアとは異なり、インテリアのスタイリングにおける「三菱らしさ」はまだ見えてこない。『RVR』の発展形のようには思えるが、アウトランダーとは明らかに異なっているからだ。ここは、今後登場してくる新型車がどのようなインテリアデザインを採用してくるかで、評価が決まってくるものなのだろう。

■トヨタ RAV4…元祖ライトクロカンの大胆な変身
トヨタRAV4新型(ニューヨークモーターショー2018)
日本ではカタログ落ちして久しいRAV4だが、北米市場では使い勝手のよい乗用車として支持され続け、好調なセールスを続けてきた。トヨタによれば、2017年には「アメリカで最多販売台数のSUV」となったという。それなのに新型では、あまりに大胆な路線変更をしたことに驚かされる。

エクステリアのスタイリングは、SUVというよりも本格オフローダーを思わせる要素に満ちている。競合モデルの多くが「普通の乗用車」としての資質をどんどん高めていることと正反対の路線だ。フロントエンドには巨大な台形のグリルが鎮座しているが、これは『ハイラックス』などのピックアップトラックと共通したグラフィック。「キーンルック」に従ってスリット状に見える開口部の現行モデルとは、まったく異なった表現だ。

他にもサイドウィンドウやリアのグラフィック、ホイールアーチ形状などさまざまな部分に台形あるいは多角形が反復され、ボディ全体でゴツゴツとした無骨なイメージを醸し出している。比較的スマートな面構成の現行モデルとはまったく異なり、別の車種だと言ってくれたほうが納得できるスタイリングとなっている。

思えば初代RAV4は、本格的なクロスカントリーモデルと乗用車の間に位置して「ライトクロカン」と呼ばれるようになった車種の先駆けだった。いわば現在、世界的な流行となっているSUV、そしてそれよりさらに乗用車的なクロスオーバーSUVの始祖とも言っていい。

そんな車種が、今度はフォロワーで溢れかえるようになったクロスオーバーSUV市場からいち早く脱出。逆に「本格クロカンとSUVのクロスオーバー」というポジションを確立することで個性を際立たせ、新しい市場を生み出そうとしている…という想像が正しいかどうかはわからないが、少なくとも既存の枠組みにはおさまりたくない、という意思を感じる。

おそらく日本では、かつてのような乗用車感覚で購入する人は少ないだろう。むしろ『FJクルーザー』のような、スペシャリティ感覚のSUVとして評価されることになるのではないだろうか。

■スバル フォレスター…現行モデルのイメージを踏襲しつつブランド戦略に従って変化
スバル フォレスター 新型(北米仕様)
新プラットフォームを採用していながら、はじめて画像を見た時の印象は「現行モデルからどこが変わったのがわからない」というものだった新型フォレスター。エクステリアの面構成こそ、新型『XV』と同様に華やかさを増したように感じられたものの、ボディの基本形状は同じなのではないかとさえ思ったものだ。

しかし実車を肉眼で見た瞬間に、その評価は一変した。現行モデルのスタイリングの特徴を継承していながら、ボディの造形はまったく異なっていたのだ。端的に言えば、シルエットがいっそう箱型に近づいている。これはフロントエンド形状の変化が大きく影響している。グリルやヘッドライトが現行モデルよりも立ち気味となり、またバンパー形状も変更されたことでボリューム感がアップ。どっしりとした印象を受けるものになっているのだ。わずかに各部のバランスを変化させただけで、こうも見た目の印象が変わるものなのかと驚かされた。

リアもまたハッチゲート開口部を拡大しつつ、ランプをゲート側にも配置。前後とも左右方向の線が強調されたことでワイド感がアップしていることに加え、水平対向エンジンを暗示しているのではないかとさえ思えるグラフィックとなっている。

いっぽうボディサイドでは、キャラクターラインがドアミラーの下あたりから後方に向かって、跳ね上がってゆくデザイン。直線的な現行モデルよりも躍動感やダイナミックさが増している。新型のスタイリングは、現行インプレッサとXVで採用がはじまった「ダイナミックxソリッド」というデザイン・フィロソフィを持ち込んでブラッシュアップしたものということなのだろう。

また主力市場のアメリカでは、先にデビューした7人乗りの『アセント』がある。新型フォレスターはこれにイメージを合わせ、スタイリングもやや上級にシフトしたと考えれば、納得のゆく仕上がりだ。

上級感がアップしたことを明確に感じるのはインテリアも同様だ。インパネのスタイリングや全体のトリムは基本的にXVと同じ。それでも丁寧な作りこみによって、現行フォレスターよりも品質感は明らかに向上している。内外装とも、旧来のスバルファンだけでなく、顧客層をより幅広くしようという意気込みが見られる。

■ホンダCR-V…乗用SUVとしての正常進化
ホンダCR-V
アメリカや中国ではすでに販売されている新型CR-V。都市部の路上ではしばしば見かける存在で、それぞれの市場で好評を得ていることがうかがえる。初代モデルがデビューしたのは1995年のことで、新型は5世代目。おもしろいのはエクステリアのスタイリングが、4回のフルモデルチェンジを経るごとにどんどん「普通のクロスオーバーSUV」に近づいてきている、という点だ。

新型でも、それまで4世代にわたって採用を続けてきた縦型リアランプも踏襲されている。しかし全体的には、ガラス下の水平方向に配置された部分のほうが目立つランプデザインを採用している。いわばCR-V特有の個性を弱めているわけだが、これは必ずしも心変わりや退化を示すものではない。クロスオーバーSUVのラインナップが増えてきたことに対応する、当然の選択だろう。

グローバル視点でホンダのラインナップを見渡すと、海外では『HR-V』の名で販売されている『ヴェゼル』や、それをベースにした『XR-V』、そしてMPVとのクロスオーバーとなる『BR-V』が加わっている。これらのスタイリングに「ホンダのクロスオーバーSUV」としての共通性を持たせるには、CR-Vだけの個性を強く前面に出すわけにはいかない、となるのは自然な流れなのだ。

フロントエンドの造形も、ホンダ車に共通するグラフィックを車両のコンセプト、ボディの形状やサイズに合わせてアレンジすることが主眼。そしてそれは破綻することなく、自然にフィットしている。つまりホンダの主力モデルとして、きわめてまっとうにデザインされているということだ。そしてそれが海外では支持されているが、日本ではどのような評価を受けることになるだろうか。

ちなみに全長4587mm、全幅1854mmという寸法は、旧型と比べてそれぞれ52mm、34mmの増加。写真で見るとそれ以上に大きくなっているように感じるのは、前後フェンダーとフロントバンパーが、ふくよかに張り出した造形になっているからだろう。
《古庄 速人》

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