子供ができたら大きなクルマに乗る、というのは確かにいろいろと便利だ。一方で、税金やガソリン代といった維持費や、市街地での運転しやすさなど気になる部分も多いもの。とくに、普段はママと子供で乗ることが多く、家族みんなで使うのは休日だけ…というファミリーの場合は、維持費が抑えられて運転もしやすい、コンパクトカーや軽自動車を選ぶケースも増えている。
そこで、今回は新しくなった『パッソ』をはじめ、大人気の『シエンタ』、『ピクシススペース』の3台をピックアップし、1歳2ヶ月の娘とともに“ファミリーに嬉しいポイント”をチェックしてみた。
◆車内空間&乗降性は?…子供の乗車時も想定
まず気になるのはやっぱり、後席を中心とした室内空間だ。とくに小さな子供がいるファミリーは、広さだけでなく乗降性や、チャイルドシートや着替えなど子供の面倒が見やすいかどうかも気になるところ。
新型のパッソは、ボディサイズの全長・全幅はそのままにホイールベースが長くなり、その分、前後乗員間距離が先代比で75mm広がっている。前席はクラス唯一のベンチシートで、身体を締め付けないリラックス感がありつつ、骨格から見直したシート構造でフィット感もアップ。後席に座ってみると、足元は足を組んでもまだ余裕のゆとり。すべすべとしたシートの肌触りやクッション性も心地よく、子供と一緒に座っても快適だ。また、大きく開くドアと、ルーフぎりぎりまでえぐれた大きな開口部で、大人の乗降性はもちろんチャイルドシートの使用シーンでもとてもスムーズ。これなら子供からお年寄りまで、便利に使えそうだ。
ピクシススペースを見てみると、1655mmの全高を活かした室内空間は、頭上のゆとりなどさすがの広さ。ジャージー素材のようなシートは、子供の食べこぼしも気にせず使えそうで、厚めのクッションが座り心地もアップ。窓ガラスが大きめで、開放感いっぱいなのも嬉しい。高さのある開口部はやはり乗降性に優れ、大人が腰を曲げず、チャイルドシートを着用できるところが優秀だ。
そしてシエンタは、両側スライドドアの採用と、地上からわずか330mmという低くフラットなフロアのおかげで、子供を抱いたままでも乗り降りがラク。3列シートなのに、2列目シートの足元の広さも充分にあり、これなら子供の多いファミリーにもピッタリだ。またシートは5:5分割でスライドとリクライニングができ、前席から2列目へのウォークスルーができるのもポイントだ。
◆小さいながら、充実のラゲッジや収納力
次にファミリーがチェックすべきなのは、ラゲッジや収納の使いやすさ。
パッソは横幅がしっかりあるラゲッジで、日常の買い物などには充分なスペース。6:4分割で簡単にパタンと前倒しできるアレンジで、ベビーカーや大きなスーツケースも積むことができる。収納ではインパネのオープントレイや蓋付きポケット、前席アームレストのポケットなど、細々した物が仕分けできて便利だ。
ピクシススペースは、なんといってもラゲッジ開口部の890mmという高さが魅力。ベビーカーを立てて積んだり、子供用自転車などを積むのもラクラクだ。さらに、収納スペースはドリンク用も小物用もあちこちに充実。フックも前後にあり、吊るす収納ができるのも使いやすい。
シエンタでは、2列目シートをタンブル機構で折り畳み、その下に3列目シートをダイブダウンして格納するという、スペースを有効活用できるアレンジでラゲッジを多彩に使い倒せるのが魅力。ラゲッジフロアも地上から505mmと低いので、重たい荷物や大きな荷物が積みやすいのも特徴だ。また収納は、前席まわりには小物用ポケットがたくさんあり、2列目、3列目にもドリンクとちょっとした小物が置けるトレイ(※1)があって、家族それぞれが使いやすくなっている。
◆コスパも重要! 車両価格や燃費は?
実際に購入を検討する際には、燃費や価格のコストパフォーマンスも大事なポイントになる。
パッソは115万円台から揃い、先進安全装備の衝突回避支援システム(スマートアシストII)など、装備が充実するX“S”でも121万5000円からとリーズナブル。そして燃費はガソリン車トップの最高28.0km/リットル(※2)と、割高感のあるハイブリッドに迫る低燃費で、かなりコスパは高いといえる。
ピクシススペースは、115万円台のベースグレードからバランスよく実用的な装備が揃うため、初期費用が抑えられる。燃費も最高27.6km/リットル(※2)と優秀で、軽自動車のため税金も節約でき、購入後のコスパが高いのはコレだ。
そしてシエンタは、ガソリンモデルとハイブリッドモデルがあり、年間の走行距離が多く、長い年数を乗りたいという人にはハイブリッドをお薦めするが、そうでない場合は181万円台から揃うガソリンモデルでも充分。燃費も最高20.2km/リットル(※2)と、このクラスとしてはかなり優秀だろう。
◆シーンに合わせて選べる“小さいクルマ”たち
こうしてファミリー目線で3台を見てくると、それぞれに楽しいカーライフが浮かんできた。
新型パッソでは、座り心地のいいゆったりとしたシートで、後席の足元も広々とした空間、スムーズな乗降性で小さな子供がいるファミリーはもちろん、お年寄りを乗せることが多いファミリーにも向いている。軽快かつ上質な1.0リットルエンジンと、最小回転半径4.6mの小回りの良さ、視界や車両感覚の掴みやすさも考慮されており、運転が苦手な人にも乗りやすいコンパクトだ。
ピクシススペースは、高い天井で開放感いっぱいの広々空間が魅力。多彩なシートアレンジで様々な荷物が積みやすく、スリム&スクエアボディは小回りも運転しやすさも抜群。購入時のコスパや購入後の維持費が抑えられるため、チョイ乗りや街中メインで乗るファミリーにお薦めだ。
シエンタは3列シート・7人乗りと両側スライドドアで、子供が2人以上のファミリーにも快適。3列シートを格納すればフラットで大容量のラゲッジとなり、キャンプやアウトドアスポーツなど、多趣味なファミリーにもピッタリだ。
また3台とも、いちいち鍵を出さなくていいキーレスエントリーや(※1)、紫外線からお肌を守るUVカットガラス(※1)といった、快適・便利機能がしっかりあるのもファミリーに嬉しいポイント。これからは、便利に使えて賢く維持できるコンパクト&軽自動車で、カーライフを楽しむファミリーが常識になりそうだ。
※1 グレードによって装備が異なる場合があります
※2 燃費は全て、JC08モード燃料消費率・国土交通省審査値