新型ハイブリッドミニバン『プリウスα』を富士五湖周辺でドライブする機会を得た。あらためてある程度の距離を走行したさいのドライブフィールや燃費スコアなどをチェックしてみた。
今回ドライブしたのは、7人乗り3列シート車の「G」。先に試乗した5人乗り2列シート車の「S」はパワートレインやインバーターのノイズレベルが結構大きかったが、Gのほうはぐっと静かで、とりわけ電子部品からのノイズは格段に小さかった。グレードによって遮音材の質や配置に違いがあるものと思われる。
5人乗りがニッケル水素電池を使っているのに対し、7人乗りはパナソニック製のセルを用いたリチウムイオン電池パックが採用されている。量産ハイブリッドカーへのリチウムイオン電池の採用は、日産『フーガハイブリッド』に続いて2車種目。リチウムイオン電池は高性能というイメージが強いが、プリウスαの場合、「ニッケル水素電池モデルとリチウムイオン電池モデルの間でスペックに差が出ないよう特性をチューニングした」とのトヨタの説明どおり、両者のドライブフィールの違いはまったく体感できなかった。
トータルの燃費は23.2km/リットル。同じ7人乗りの小型ミニバン、トヨタ『ウィッシュ』やホンダ『ストリーム』をドライブした経験に照らし合わせると、5割ほどの燃費アドバンテージが期待できる。多人数乗車ミニバンとしては文句なしに燃費のトップランナーと言えよう。
次に樹脂パノラマルーフを装備した7人乗り『Gツーリングセレクション・スカイライトパッケージ』にも乗った。大面積ツインサンルーフの素材はガラスではなくポリカーボネート。「技術革新によって、今や長年使用しても傷や白化などの劣化はほとんど無視できるレベルになった」(プリウスαの開発を手がけたエンジニア)ことを受け、軽量化のために採用したとのこと。
スカイライトパッケージ車はサンシェードを開けると、室内が非常に明るく、開放的な雰囲気になる。2列目シートにも乗ってみたが、視界は側方、前方ともに実に良い。またプリウスに比べて頭上、側方のスペースも豊かで圧迫感がなく、ファミリードライブ用途の資質はかなり高いと言える。小さな欠点としては、前席が滑らかな乗り心地であるのに比べて、2列目、3列目はやや突き上げ感が強いことが挙げられる。この部分を改善すれば、コンパクトミニバンとしては文句のつけどころがなくなりそうだ。ドライバーチェンジし、コースを変えて河口湖方面をドライブしてみたところ、燃費は実に28.8km/リットルであった。
最後に7人乗り『G』で少し意地悪なドライブを試みてみた。2.4リットル級エンジンと同等のパワーを発揮するパワーモードで遠慮なく加減速。さらに勾配のきつい山道をハイペースで走った結果、トータル燃費は15.7km/リットル。実際のドライブでこの燃費を下回るのはかなり難しいと思われる。誰が運転しても一定以上の経済性を発揮できるのも、これまでのミニバンにないプリウスαの特長と言えよう。