何しろ走りがいい。『フォーカス』(最新型は日本未導入)由来のSUVだけあり、走りっぷりは、とにかくスカッ!と爽快。コンパクトなボディサイズで、着座位置は適度な高さながら、クルマの重心が低く安定した印象で、高速走行時の直進性の高さもシッカリと感じられた。
ダッシュボード中央にある「フォードパワー」スタートボタンを押してエンジンスタート。Dレンジに入れて走り始めるとすぐに、しっかりしたサスペンションで走りやすいことが判る。
最新モデルの、それも自動化を導く安全先進装備や複雑なエコ系システム、目には見えない電子制御装置などではなく、純然たるパフォーマンスで、まだまだ“驚かされる”余地があったとは…。
このクラスの欧州製コンパクトクロスオーバーSUVの中でも、『クーガ』はなかなか特徴的な存在だと思う。
シートベルトが黄色いというだけで、人はどうしてこんなに興奮するんだろう。いや、グラマラスなボディラインを見た段階から、脈拍は2割くらい早くなっているんだけれど。
フォードというと、背景に星条旗がはためいているようなイメージがある。だが、同じフォードでもヨーロッパ生まれのモデルは背景が異なる。広大な北米大陸を突き進むというよりも、アウトバーンを疾走しアルプスを駆けぬけることも求められている。
左右のドアは従来のモデルからの流用ながら、新しい『ゴルフ』顔を採用し、ボディパネルのほとんどや内装デザインも変更するなど、大幅な改良が行われた。機能的なインテリアデザインはフォルクスワーゲンらしい機能性に好感が持てる。
アストンマーチンばりにセンターに設えられたプッシュボタンを押すと…、意外と聞こえてくるサウンドは静かだったりして。飛び出し感もカッタルさもなくスルリと走り出す、いかにもイマドキっぽいSUVという感じ。
特筆すべきはシャシー性能の高さである。(そういう場面が多いか多くないかは別にして)コンパクトSUVのなかで、最も気持ちのいいハンドリングカーだ。自然な早さと深さでロールし、コーナーを抜ける姿勢がたまらなく気持ちいい。
フォードのSUVの中でも『クーガ』はヨーロッパ生まれで、日本でもジャーナリストの評価の高かった『フォーカス』のプラットフォームを使ったSUV。欧州フォードらしいがっちりとした車体としっかりとしたステアリングフィールが大きな魅力になっている。