新型『レクサスLS』が6輪のミニバンになった理由をデザイナーに聞いてみた…ジャパンモビリティショー2025

レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)
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レクサスは「ジャパンモビリティショー2025」で『LSコンセプト』を世界初公開した。ショーファーカーのニーズを満たす新たな提案で、6輪を採用したミニバンとなったことが大きな特徴だ。ではなぜ「6輪」なのか。トヨタ『アルファード』やレクサス『LM』のような従来の超高級ミニバンとは何が違うのか。デザイナーに話を聞いた。

【画像】モビリティショーで初公開となった『LSコンセプト』

◆ショーファーカーのニーズ

レクサス LSコンセプトレクサス LSコンセプト

レクサスLSコンセプトは次世代のショーファーカーだ。「従来のショーファーカーはセダンが多くありましたし、最近では超高級ミニバンもショーファーカーとして使われてきてます」とデザイナーは現状を説明する。

ではショーファーユースのニーズはどうか。セダンは、「格式に沿った座り方やマナーが求められ、それが成り立ちでもあり求められる大事な点」とし、ミニバン系がショーファーカーに変化してきた理由は、「使い勝手や広さが欲しいといったニーズが大きいですね」としながらも、「元々ショーファーカーとして作られたクルマではない」とする。

そこで、「ゼロから本当のニーズに向き合って作ったら、本当の嬉しさを提供できる空間ができるのではないかという試みでこのクルマを提案しました」と述べる。

レクサスの新たな世界観レクサスの新たな世界観

「本当の嬉しさ」とは何か。超高級ミニバン系は、マッサージ機能や立派なアームレストなど装備を充実させて豪華になっていった一方で、「シートそのものが大型であったり、ホールド性が高いのでスマートに乗り降りしにくいという意見があった」という。

またVIPの場合、秘書や多人数乗車のニーズが多くある。そういった場合、先に秘書を乗せてからVIPが乗ったり、雨が降っているのにまごまごしてしまったりするシーンが出てきて、スマートではないといった意見もあったそうだ。

そこでこのLSコンセプトは、ドア全体の7割が開口部という巨大なスライドドアが用意された。その結果、2列目と3列目に同時に乗り込めるようになった。ここにパッケージの重要なポイントがあり、乗降時のスマートさを実現した。

◆6輪になったワケ

レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)

ではなぜ6輪なのか。「4輪だとタイヤが四隅に配されますので、開口部の広いスライドドアにすると大きなホイールハウスが邪魔をしてしまいます」。また、「2人ぐらいはゆったりとシートに座れるかもしれませんが、3人以上で座れるくらいの広さを求めると、(タイヤハウスがあるために)スペースが限られ難しくなってしまいます」という。そこで、リアタイヤを小さくすることで間口が広くなり、中のホイールハウスも小さくすることができた。

しかし、小さいタイヤが1輪だけだとバランスが悪く、車重への耐久性、駆動力の確保という観点から「もう1輪足すことでしっかり支えて走らせるようにと考えた結果」6輪になったという。

「使う人を中心に考えた際に、その周りの機械たちはそれに合わせて自ら変革を遂げなくてはならない。そういう姿勢で開発すべきなんです」と説明した。

◆「ただのお部屋」が移動するのではない

レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)

6輪のLSコンセプト。そのデザインの特徴を語ってもらおう。「レクサスにはディスカバー、発見するというテーマがあり、このクルマは“ディスカバーサンクチュアリー”という言葉を使っています」。このサンクチュアリーとは「聖域とか自分だけのお部屋という意味です。そのお部屋は、日々業務に追われているVIPが自分だけの本当に落ち着ける隠れ家のような、まさにサンクチュアリー、聖域になる部屋という思いを込めています」とのこと。従ってインテリアは、「自動車ライクな意匠ではなく、あくまで隠れ家、書斎といったテイストのシンプルなお部屋をイメージしています」と話す。

一方のエクステリアは、「プライバシーを守りたいというコンセプトからスタート。窓ガラスのエリアを極端に広くせずに、外からは室内が霞みがかって見えにくいような印象で、ボディ色の部分を大きめに設定しています」。しかし、室内側からは外を見たくなるだろう。そこで、「(外観の)スリットのようなところの室内側は竹材でブラインドのような意匠です。そこから外が透けて見えるようになっているので、非常にリラックスできる空間になっています」。

レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)レクサス LSコンセプト(ジャパンモビリティショー2025)

サイドにあるフロントタイヤに向かう斜めのキャラクターラインと、リアタイヤ手前のラインは特徴的だ。「レクサスは楽しい走りを体現していますが、このクルマのドライバーはプロのショーファードライバーですから、走りを楽しむことよりも、お部屋にいる方が乗り心地良くということになります。そういったことを象徴するようにクルマ屋がデザインするわけですから、クルマとして格好良くなければいけないんです」という。

「そうすると、力強く引っ張ってくれる、そして転がってくれるタイヤが重要になります。ボディのサイズに対してしっかりと大地を踏みしめるタイヤであれば、心地よく走ってくれる印象を与えますし、颯爽とこのクルマから出てくるスタイルにもマッチします」。そこで、「フロントタイヤは立派にして、それとバランスを取るようにリアタイヤを配しました。そしてプロのショーファードライバーがいるキャビンのところに斜めにキャラクターを入れて、それと呼応するように後ろの特徴的な二輪のところもスパッと切っています」と説明。その結果として、「全体が箱なのにしっかり駆け出しそう、走りそうな動きを生み出しているんです」とこの部分がデザイン的に最も特徴的だと明かした。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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