【マツダ CX-5 ブラックセレクション 新型試乗】マツダ最高の傑作車の一台だ…中村孝仁

マツダ CX-5 ブラックセレクション
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今から2年前に、果たしてマツダ『CX-5』は存続するのか…というタイトルでレポートを書いた。結論から言ってそれは存続が現実となった。既に覆面車がアメリカでは次期モデルがスクープされていて、それはかなりアメリカでも大きな関心事となっているようである。

注目しているのは何もアメリカだけではなく、オーストラリアや南アフリカなどでもモデルチェンジのスクープ情報がネットを飾っている。現行モデルは2017年に登場だが、2012年に誕生した初代から2代目は、ガラリと変わったという印象が無いので、実質的にはビッグマイナーと言っても過言ではないものであった。

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しかし、年次改良と称するマツダ独自の進化を遂げ、2017年に誕生した現行型も、年を追うごとに熟成を重ね、ほぼ完成の域に達していると言ってよい。しかもアメリカでは今もCX-5の人気はすさまじく、後発で投入されている『CX-50』を販売面でも上回るほどの勢いを持つから、マツダとしても黙っているわけにはいかなかったのだと思う。

昨年暮れに新たなグレードを追加するなど、今も販売にてこ入れをする状況の日本でも、CX-5の人気は衰えていない。理由として個人的に思うことは、価格とサイズ感、それに性能と質感のすべてのバランスが素晴らしく良いこと。特にこのサイズで、上質な内装を持ち、さらにライバルと比較しても極めてリーズナブルな価格設定がなされていることが、人気の秘密だと考える。

◆最終版「ブラックセレクション」に試乗

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そんなCX-5の、ある意味最終版ともいえる「ブラックセレクション」に試乗した。昨年暮れに追加された新グレードである。

搭載エンジンは2リットルのガソリンユニット。4WDの駆動方式を持つその価格は337万1500円である。『CX-60』と比較すれば少しはコンパクトなボディだが、それでも3サイズ全長4575×全幅1845×全高1690mm。日本の道路では堂々たるサイズと言っても過言ではない。おかげで室内寸法もラゲッジ寸法も全く難点が無い。

人気は2.2リットルのディーゼルエンジン搭載車で、多い時は販売の7割程度はディーゼルだったはずである。とはいえ、ガソリン車と比較しておよそ30万円弱は高く、相当な距離を乗らいないと、燃費でこの差を取り戻すのは難しいから、ガソリン車と言うチョイスも間違いではない。

マツダ CX-5 ブラックセレクションマツダ CX-5 ブラックセレクション

このブラックセレクションについて説明すると、ブラックアウトしたホイールや、赤いステッチの入ったシート、黒のドアミラーなどで精悍さを演出したモデルだが、メカニカルトレーンには何ら手が加えられていない。

というわけで円熟味を増したCX-5の◯と×について話をしたい。

◆CX-5の「◯と×」

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◯に関しては前述した通り。コストパフォーマンスが抜群に高いこと。そしてガソリンエンジン搭載ということも影響していると思うが、PHEVを除けばディーゼルのみの設定となる『CX-60』と比較した時、その走りは軽快さが売りとなる。

例えば素のディーゼルのCX-60とガソリンのCX-5で走りの質を比べると、CX-60はよく言えば重厚で上級車の印象を醸し出しているが、特に街中でのスピードレンジでは鈍重さを感じさせる時がある。もちろん踏み込んでいくとトルクフルなエンジンが俄然力を発揮して、特に高速でのゆとりははるかに大きいが、新東名の120km/hがmaxと考えれば、2リットルガソリンでも性能的な不満があるわけではない。

一方で、ディスプレイは前後方向で特に小さく、最近のトレンドにはマッチしていないし、依然としてアナログのメーター(スピードメーターはそうではないが)も少し時代にはアンマッチかもしれない。

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もう一つの×は軽快で十分に快適と言える乗り心地だが、さらに深堀すると軽快さの演出ゆえか、フラット感に乏しく不正路面では揺れの収まりがあまり良くない。正直言ってマツダのクルマは乗り心地の味付けが上手ではないと感じる。ただ、こうしたネガ要素もコスパの前では十分に納得のいくもので、FWDで良ければ、その価格は314万0500円まで下がるから、本当に良いコスパだと思うわけである。

初代から既に13年が経過して依然として第一級と言って過言ではない性能やスタイルを持っているのだから、やはりこのクルマはマツダ最高の傑作車の一台である。

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◆スモールアーキテクチャの傑作車は健在

余談ではあるが、次期型の海外情報をまとめると早いところでは今年9月にもニューモデルがお目見えするという。外観は現代風にライトまわりやグリルなどがアップデートされ、エンジンは24VのMHEV 2.5リットルユニットが追加されるそうだ。もちろん日本市場は未知だが。

気になるインテリアもやはりメーターを含むディスプレイがこれもアップデートされるようだ。また、リアのカーゴスペースが拡大しているという情報もある。トランスミッションは残念ながら6速ATのままのようである。一部にはリアサスペンションをマルチリンクからトーションバーにダウングレードさせるという話もある。

そしてデビューから1年後にはSKYACTIV-Zのエンジンが搭載され、燃費の向上が見込まれる。というわけでスモールアーキテクチャの傑作車は健在。願わくば価格はあまりアップデートして欲しくないものである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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