【スズキ ジクサーSF250 試乗】この爽快感は単気筒ライトウェイトスポーツの「特権」だ…佐川健太郎

スズキ ジクサーSF250
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『ジクサーSF250』は、スズキ独自の249cc油冷単気筒エンジンを軽量コンパクトな車体に搭載した軽快な走りが魅力だ。2020年にデビューした当時は、MotoGPテクノロジーを投入した最新版の油冷エンジンとして話題になったことは記憶に新しい。

水冷エンジンのようにヘッドまわりにオイルを循環させる新方式や、ピストンに特殊コーティングを施すことで低フリクションを実現。高回転パワーと同時に優れた燃費も実現するなど、スズキ独自のハイテクが投入されている。スペック的にも26ps/9300rpmと単気筒でも十分にパワフルで、車重も同クラスの2気筒勢と比べて20kg近く軽いのが強みである。

スズキ ジクサーSF250スズキ ジクサーSF250

◆バイクにおける軽さとコンパクトさの意義

まず見た目がけっこう攻めていると思う。滑らかな流線型のフロントカウルや鋭いLEDヘッドライトがスポーティだ。スズキらしさ満点のカラーリングや洗練されたフォルムは乗るほどに愛着が湧いてきそうだ。

跨ると車体のスリムさに感動。単気筒ならではの細い車体は足つき性にも優れる。普段は大型バイクに乗ることが多いせいもあり、あらためてバイクにおける軽さとコンパクトさの意義を思う。ネイキッドの『ジクサー250』に対し、フルカウルとセパレートハンドルであるのが大きな違いだが、ハンドル位置も極端に低くないため街乗りでも丁度いい感じだ。

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エンジンをかけると、単気筒の小気味よい鼓動と共に弾けるサウンドが気持ちいい。スロットルを通じてバイクと自分がつながっているような一体感に包まれる。

信号ダッシュでも低中速トルクを生かした力強い加速に満足。街中ではクイックに反応する車体と軽やかなフットワークが心地よく、渋滞もストレスなく切り抜けられる。6速ミッションも節度感があり、小気味よくギアを刻みながら回転数をキープしつつ駆け抜けていく。この爽快感は単気筒ライトウェイトスポーツの特権だ。

◆風と一体化したかのような軽やかな走りが楽しい

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街の雑踏を抜けて、ちょっとだけコーナーを楽しんでみる。どんなコーナーでも軽快とともに安定感もあって、交差点を曲がるような低速域でも車体を寝かせながら曲がっていく大きなカーブでもまったく不安はない。まるで風と一体化したかのような軽やかな走りが楽しい。足回りもシンプルだが公道領域では必要十分なレベルだ。

前後サスペンションは正立フォークとリンクレスのモノショックの組み合わせで、4気筒GSXシリーズのようなどっしり感はないものの、荷重をかけずにさらっと乗っていても車体の動きが分かりやすいのが利点だ。

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また、フロントブレーキもガツンと効くタイプではないが握りのタッチが軽く、車重も軽いので速度コントロールが容易なのが良い。さらにABSのおかけで雨の日や滑りやすい路面でも安心。試しに安全な場所で思い切り前後ブレーキをかけてみたが、自然なフィーリングで安定した減速をサポートしてくれた。

◆日常の実用性とスポーツバイクの楽しさを両立させた一台

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フル液晶ディスプレイはバータイプの回転計と大きな表示の速度計も見やすく、距離やギアポジション、燃料計や時計などの情報がいっぺんにチェックできる。加えてABSの作動やシフトタイミングを知らせるインジケーターも装備され、積極的な走りに対するフィードバックもしっかり得られるのも良かった。

ジクサーSF250は日常使いの実用性とスポーツバイクとしての楽しさを見事に両立させた一台だ。乗っているだけで気分が高揚する単気筒エンジンの魅力も詰まっている。その意味で、ただの移動手段ではなく、日々の生活の中で自分を解放し、自由にしてくれる存在とも言えるだろう。スズキらしい良心価格(税込51万4800円)も大きな魅力だ。

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■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★★
扱いやすさ:★★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

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