【ヤマハ XSR900 試乗】しなやかさが進化! ハンドリングのヤマハの「王道」が味わえるネオレトロ…伊丹孝裕

ヤマハ XSR900
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888ccの直列3気筒エンジンを搭載するヤマハのスポーツヘリテージ『XSR900』に試乗。上品で落ち着いた佇まいとは裏腹に、ワインディングで披露するハンドリングにはスポーツネイキッドらしい軽快感があった。

【詳細画像50枚】ヤマハ XSR900

XSR900の初代モデルは2016年に登場した。2022年にはエンジンもフレームも刷新され、2代目へと進化。現行モデルはそれをベースにしたマイナーチェンジ版で、2025年にTFTメーターの大型化、前後サスペンションの仕様変更、電子デバイスの充実、操作環境の最適化(ハンドルやステップ、シートなど)といった多岐に渡る見直しを受けている。

◆SSやストリートファイターとは違う「軽やかさ」

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さて、そんなXSR900。ワインディングを走らせると、ともかく軽やかだ。直立した車体を45度ほど傾ける。そこから真逆側にまた45度ほど傾ける。そのプロセスになんの引っ掛かりもタイムラグもなく、コーナーの曲率が大きくとも小さくとも、それが単独であっても連続して切り返すようなレイアウトでも、流れるような軌跡を残すことができる。

軽やかと言っても、それはスーパースポーツのようなシャープさでも、ストリートファイターのようなソリッドさでもなく、すべては手の内にある。レーシングスーツで身をかためて挑んだり、フロントにガツンと荷重を掛けるような乗り方は求められず、ただ素直にシートに座り、ステアリングに軽く手を添えて舵を当てればヒラヒラと反応。俊敏過ぎず、もちろん緩慢でもない、ちょうどいいリズムで、車体の鼻先を曲がりたい方向へスイスイ向けることができる。

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こうした素性のよさは、マイナーチェンジ以前のモデルから引き継がれている。とりわけハンドリングに大きく貢献しているのが、2022年から採用されているスピンフォージドホイールの影響で、この時にもたらされた前後合わせて約700グラムの質量低下によって、運動性は明らかに向上した。

ただし、今にして思えば、まだ全体の動きにソリッドさのようなものが残っていたが、既述の通り、現行モデル(2025年~)は純粋に軽やかさを楽しめる。それはスッを寝かせて、ピタッと止められる意のまま感であり、ではなにが異なっているのかと言えば、フロントフォークのバネレートとセッティング、リアサスペンションとリンクの設計、そしてタイヤの変更(ブリヂストンS22 → S23)などが複合的に作用。ざっくり言えば、全体的にしなやか方向に振られ、挙動や姿勢変化がより分かりやすくなっている。

◆「しなかやさ」を実現した2つのポイント

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ちなみに、KYB製のリアサスペンションはフルアジャスタブル化されただけでなく(しかも圧側減衰は高速/低速の2WAY)、別体式のサブタンクとリモートアジャスターを装備するなど、機能面だけでなく、利便性や所有感も向上。この部分だけでも結構別モノと言っていい。

しなやか方向に関しては、もうふたつ。足まわりに加え、シートとステップも見直されている。シート内部のウレタン材がソフトになり、お尻をホールドする部分が拡大したことがまずひとつ。もうひとつはステップのフットペグ上面にラバーが配され、防振性が向上したことだ。これらの効果も含め、車体全体の当たりが柔らかくなっている。

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シート高は2022年モデルが810mm、現行モデルが815mmになった。スペックだけを見ると、乗り心地と引き換えに座面が高くなったように思えるが、シートもリアサスペンションも乗車1Gでの沈み込み量が増しているため、足つき性は実質プラマイゼロ、感覚的にはよくなっているように感じられる。ハンドリングに重きを置くヤマハは、必要とあらば情け容赦のない位置にシートをレイアウトすることをいとわないが、ことXSR900に関しては日常性と運動性がバランス。上体に前傾を強いられないことも手伝って、街中でもストレスなく走行することができる。

◆888cc・3気筒を操る醍醐味

とはいえ、完璧でもない。ここで指摘しておきたいことはふたつ。まずひとつは、ハンドルの切れ角が少ないこと。そしてもうひとつが、バーエンドミラーの幅だ。そもそも、ハンドルバー自体が一般的なネイキッドと比較すると、少し幅広なのだが、そこへ長めのバーエンドとミラーの張り出しが加わるため、気を遣う場面は多い。街中の走行もさることながら、たとえば広くはない駐車スペースを利用する環境では、取り回しや切り返しに注意が必要になってくる。

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もっとも、そこから脱した後は、既述のハンドリングにエンジンの魅力が上乗せされ、ビッグバイクを操る醍醐味を堪能することができる。888ccの水冷直列3気筒は低回転域の扱いやすさ、中回転域のリニアさ、高回転域の刺激的なフィールといった様々な表情を見せ、電子制御スロットルのきめ細やかなセッティングと高度な電子デバイスによって、それらを自由に引き出すことができる。

CP3と呼ばれるこのエンジンは、他にも『XSR900 GP』、『トレーサーGT/GT+ Y-AMT』、『MT-09/SP/Y-AMT』、『YZF-R9』といったモデルに搭載されている。カテゴリーを超え、多種多様なモデルを支えるヤマハの主力のひとつだが、その中でもど真ん中に位置するのが、このXSR900だ。ヘリテージを纏い、一見変化球に見えるものの、その作りもフィーリングもヤマハが送り出すスポーツバイクの王道を走っている。

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■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★
快適性:★★★
オススメ度:★★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

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