RAYS(レイズ)を代表する鍛造ブランドである「VOLK RACING(ボルクレーシング)」。中でもブランドを代表する象徴的なモデルとなっているのが「TE37」だ。
そして最新世代の「TE37 SAGA S-Plus」に、待望の19インチモデルが追加された。そんなスポーツホイールの大定番となるTE37シリーズについて、時代に合わせた進化の歴史を紐解いてみた。
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“初代”TE37は安定の6本スポーク、伝統のデザインは信頼の証
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象徴的な6本スポークのデザインとスクエアで直線的なフォルムを基本とするボルクレーシング「TE37」。サーキットにおけるリアルレーシングの世界からストリートまで、幅広いユーザー層に高く評価されるホイールなのはみなさんもご存じの通り。そのバックボーンにはレイズがレースのフィールドで培ってきた技術を、時代に即してフィードバックし常に進化を続けてきた歴史があったのだ。
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鍛造による軽量・高強度であることを基本としつつ、頑なにベースとなるデザインを変えないこともTE37の安心感・安定感につながっているだろう。あの6本スポークをひと目見るだけでTE37だと認識できるのは、TE37を大切に育ててきたメーカー側の強い思い入れがあったからこそ。もちろんユーザーからの評価の高さも、長らくこのデザインをキープし続けてきた背景にはある。
さらにホイールショップなどに行って品定めするとわかるのだが、鍛造モデルとしては価格も比較的お手軽なのもTE37の魅力。大前提としてハイパフォーマンスなホイールであること、かつブランドもデザインも誰もが知る著名モデルを手軽に愛車に装着できることで、いまや国内外問わず世界中で支持されているのだ。
“意匠は変えず性能は進化させる“、リアルレーシングで培った軽量・高強度の最適解こそTE37シリーズの真骨頂
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そこでTE37の進化の歴史を振り返ってみよう。そもそもTE37が生まれたのは1996年のこと。発売当初からリアルレーシングの世界で通用する構造、強度、軽量を備えたモデルとして評価され、瞬く間に定番のスポーツホイールへと成長していく。
そして「TE37」という名前は、当時の15インチ6.0Jモデル1本の重さが3.7kgであったため、その軽さを表すホイール重量にちなんで名付けられたのも、クルマ好きに広く知られている有名な話だ。
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こうして定番化していったTE37は、2016年に初めて「TE37 SAGA」へフルモデルチェンジを果たす。大きなデザイン変更を加えることなく、初代のTE37のイメージをそのまま踏襲し、時代に合わせた進化を施したモデルとして新たに登場したのだ。このモデルチェンジにもTE37に対する強い熱意が込められていた。それが“意匠は変えないが性能は進化させる”だった。
当時は細身のスポークを使ったスポーツホイールも多くなっていたが、TE37 SAGAはあえて伝統になった“太いスポーク”を堅持する。しかし太いスポークと軽量化は本来は相反するのだが、同モデルはスポーク背面に肉抜き処理を加えることでデザインと軽量化の両方を実現することに成功する。そんな伝統のフォルムを造り続けるという思いが、TE37を定番デザインへと押し上げたひとつの理由だろう。
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そして2021年には現行モデルとなる「TE37 SAGA S-Plus」へと進化を果たす。ここでも見た目は従来のTE37 SAGAではあるが、車両のハイパワー化、重量増といった時代のニーズに合わせてホイール強度を高める進化が加えられた。
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少し話が逸れるが、レイズではJWL規格を超える強度を担保する独自規格を持っている、それが「JWL+R」と呼ばれる独自規格で、TE37 SAGA S-Plusはさらに上となる「JWL+R Spec2」をクリアする高い強度を誇る。ハイパワー化*、AWD化、重量化が進む車両などを含めて現代のスポーツモデルへの適性を備えたモデルに進化した。*2Lマシンで400馬力オーバーなど
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その結果、従来のSAGAに対してSAGA S-Plusは、質量増を約3%に抑えつつ持久耐力15~17%アップ。さらに剛性数値を約7%アップした。これは各部の厚み、肉抜き、リム形状などを徹底的に計算した上でなし得たスペックなのだ。
実際にスポークの裏側の肉抜きを見るとその違いは明らかで、ディスク面の細部にも細かな差異が見られるのは、全て強度を高めるための工夫だ。大きくデザインを変えることなく、強度をアップさせているのも、TE37の伝統を重んじる設計の工夫があったからこそだろう。
時代に合わせた進化の結果、ユーザーの声に答える形で19インチモデルを追加
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このような進化を続けてきたTE37だが、今回追加された“19インチ”も時代に合わせた進化だ。現代のスポーツ車両に19インチの装着頻度が増えてきた背景を受けて、TE37 SAGA S-Plusに新たに19インチモデルが追加されたのだ。
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19インチは従来「TE37 ultra」がカバーするサイズだったが、リバースリムを採用しているultraでは近年のビッグキャリパー化している車両には装着が困難な場合が出てきたのだ。
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そこでビッグキャリパーにも対応するノーマルリムを採用するTE37 SAGA S-Plusで、新たに19インチを開発することになる。リバースリムに対して理論上ノーマルリムは強度では不利だが、レイズでは特殊なリム形状を採用することで、ノーマルリムでリバースリムを上回る強度を達成したのも注目点だ。
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単なるサイズ追加に終わること無く、こだわりの進化を施す点こそがTE37のスピリッツだ。そんな進化があるからこそ、多くのユーザーが長くTE37を評価してきたのだろう。“TE37のライバルはTE37“というキャッチフレーズがあるが、まさにワンアンドオンリーの存在になっているTE37シリーズ。進化を続ける同モデルは、これからもパフォーマンスを高めるリニューアルを繰り返していくことになるだろう。
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土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。