ランボルギーニが世界最高峰の耐久レースへ初参戦、ハイブリッド『SC63』を投入 ヴィンケルマンCEO「史上最大のエンゲージメントだ」

ランボルギーニのLMDhマシン SC63
  • ランボルギーニのLMDhマシン SC63
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  • ランボルギーニCEO ステファン・ヴィンケルマン氏
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ランボルギーニは7月13日、イギリスで開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードで、初のハイブリッド型耐久レースマシン『SC63』を発表した。ルマン24時間レースを含む世界最高峰の耐久レースに本格参戦する。

この発表に合わせ、アウトモビリ・ランボルギーニCEOのステファン・ヴィンケルマン氏へのインタビューが実現。今年60周年を迎えたブランドへの想い、なぜ今レースに焦点を当てるのか、そのねらいと意気込みを聞いた。

◆世界最高峰を戦うハイブリッドマシン「SC63」

ランボルギーニのLMDhマシン SC63ランボルギーニのLMDhマシン SC63

SC63は、世界最高峰のレースに参戦するためのプロトタイプカー規定「LMDh」に適合したマシンで、2024年より1台がルマンを含むFIA世界耐久選手権(WEC)の全レースに参戦するほか、2台目がIMSAシリーズの北米耐久選手権を競う。同年9月には、日本の富士スピードウェイも走ることになる。

エンジンは特別に開発した3.8リットルV8ツインターボエンジンで、ハイブリッドシステムを組み合わせた出力はLMDhの規定に抑えた500kW(680馬力)を発揮。ボディワークは、ランボルギーニのデザイン部門であるチェントロ・スティーレが担当し、レーシングプロトタイプ然としたシルエットながら車両前後のY字ライトなどにランボルギーニらしい要素が散りばめられている。

ランボルギーニは2021年に発表した戦略ビジョン「コル・タウリ」の中で2024年までに全モデルをハイブリッド化すること、そして2030年までに完全電気自動車を世に送り出すことを明言しており、今回のSC63もその戦略に沿って生み出されたものだという。

◆LMDh参戦はランボルギーニ史上最大のエンゲージメントだ

ランボルギーニCEO ステファン・ヴィンケルマン氏ランボルギーニCEO ステファン・ヴィンケルマン氏

60周年を迎えたスーパーカーブランドが変革の時を迎えている。新フラッグシップとしてハイブリッドHPEV(ハイパフォーマンスEV)の『レヴエルト』を投入したのを皮切りに「ブランドの歴史上、最も重要な年になる」と語るヴィンケルマン氏は、こう続ける。

「これから先を見据えた時にランボルギーニが強いブランドであり続けるために、2つ重要な要素がある。ひとつはブランドが健全であり、豊かであるということ。これを維持するということが大事だと考えている。そのためにはやはりいい商品、いいクルマをつくり、それを提供するということに尽きる」

「そして次のステップがやはりパフォーマンス。2030年までに全ての商品のラインアップが電動化車両へとアップデートされることになる。それと同時によりサステイナブルでなくてはならないと考えている。さらに、ビジビリティという言葉を使っているが、存在感をしっかり示すということが大事だ。それは社会的責任を果たすという意味でもある。商品という意味でも、会社という意味でも存在感を高めつつ社会的な責任を果たしていきたい」

その存在感を高めるための大きな鍵が、LMDhにある。世界最高峰の耐久レースであるWEC、そして北米のIMSAシリーズに参戦するということはすなわち、世界に対してランボルギーニをアピールし、販売上でのプレゼンスを高めることとイコールだ。

「創業者はスーパースポーツをつくるのにレースは必要ないと言っていたが、時代は変わり20年前にスーパートロフェオというワンメイクレースを始めて、今はGT3にも参戦している。この20年間いろいろと経験を積んで、今回満を辞してこのLMDhに参戦することになったが、これはランボルギーニの歴史上最大のエンゲージメントということになる」

◆隠しきれない「勝利」への情熱

ランボルギーニのLMDhマシン SC63ランボルギーニのLMDhマシン SC63

多くのモータースポーツファンやランボルギーニファンにとっても、LMDhへの参戦は喜ぶべきニュースとなるだろう。だが、なんと言ってもモータースポーツの醍醐味は「勝利」にあるのではないか。ルマンのトップカテゴリーでランボルギーニがチェッカーフラッグを受ける…そんなシーンに期待したくなるのも当然だ。

「勝利」への意気込みをヴィンケルマン氏に問うと、言葉を選びながら答える。

「私たちは今回、新しく開発したマシンで参戦する。しっかりテストをしてその間に経験を積んで学んでいきたいと思っている。私たちにとって最初のレースは来年の2月。初めはあくまでも学びの場という風に考えているが、この学習カーブがグッと上がってなるべく早く、しっかりと競争力がつけられればいいと思っている。それはドライバーもそうだし、バランスの取れたパフォーマンスという意味でもそうだが、できれば最初から強く、戦えるように最大限の努力はおこなっていく」

そう慎重にコメントしながらも、「ただ、社内では『もっとやれ、もっとやれ』とかなりタフなことを言っている。今回は初めての試みなので、やはり対外的にはもう少し慎重であるべきかなとは思っている」と笑顔を見せた。やはりファインティングブルの血統だけに、奥底に流れる勝利への情熱は隠しきれないようだ。

最後に、LMDhに込めた思い、そして日本のファンに向けたメッセージを頂いた。

「2024年の9月、WECの富士ラウンドで皆さんにお目にかかるのをすごく楽しみにしている。ランボルギーニのお客様にとっても、ファンにとっても、日頃支援してくださる方にとっても本当に大事なイベントになると思う。ただレース自体は2月のカタール戦からLMDhで参戦するので、富士の前から私たちの活動をフォローしてもらえたら嬉しい」

ランボルギーニのLMDhマシン SC63ランボルギーニのLMDhマシン SC63
《宮崎壮人》

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