【フィアット 500e 新型試乗】日本にマッチする「5ナンバーサイズのEV」…諸星陽一

日本にマッチする5ナンバーサイズのEV

きつめのコーナーでのフィーリングは特に気持ちがいい

小さなボディで航続335kmを実現

10万円高のオープンがお得?

フィアット 500e
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フィアット『500』のEVモデル『500e』が登場した。見た目のキュートさやデザインの共通性から500のコンバージョンかと思われがちだが、プラットフォームから新設計の正真正銘の新型である。

フィアット初の電気自動車がこの500eであるとされているが、フィアットは1990年代に『パンダエレトラ』や『チンクエチェントエレトラ』といった鉛バッテリーを搭載したEVを製造。当時の資料画像には充電設備も写っているので、フィアット初はこの1990年代のモデルで、現代版では「本格的EV」といった表現が正しいと思う。

1990年代にフィアットが製造したEV『パンダエレトラ』1990年代にフィアットが製造したEV『パンダエレトラ』

さて、500eだが、これが日本の道路事情とはじつにマッチするモデルに仕上がっている。まず、ボディサイズは全長が3630mm、全幅が1685mm、全高が1530mmの5ナンバーサイズ。これだけでかなりの使い勝手のよさとなる。なにしろ『アクア』よりも小さいのである。イタリアも地方にいけば、ビックリするぐらいに道は狭く、そうした土壌がチンクエチェントや『パンダ』、『プント』などを生んできた。だから、こうしたクルマが求められるのは納得だ。そもそも、欧州には軽自動車がないのだから、小さいクルマのニーズにはこのクラスが応えてきたのだ。

きつめのコーナーでのフィーリングは特に気持ちがいい

フィアット 500eフィアット 500e

駆動用バッテリーを床下に収めるというEVとしては当たり前の手法となるパッケージングだが、このパッケージングが500の名に恥じないキビキビした走りを与えた。初代の500は「トッポリーノ」という愛称が与えられた。これはハツカネズミという意味で、ハツカネズミのようにちょこまかと走る姿がそう言わしめたのである。2代目の500、日本ではこのモデルがもっともメジャーで人気だが、これはルパン三世に登場するあのモデルである。崖っぷちを片輪を持ち上げて走るようなイメージを持つ俊敏さとやんちゃさを想像させるモデルだ。500eのこうしたヒュンヒュン走る感覚は、バッテリーを床下に収めたから生まれているのである。

モーター出力は118馬力/220Nmで車両重量は「アイコン」グレードで1330kg、「オープン」グレードは1360kg。トルクと車重の関係からいえば、十分にトルクフルと言える。そして前述の低重心、2320mmという短めのホイールベースとの組み合わせが生み出す走りは、じつに快適だ。とくに気持ちいいのが、首都高のようなきつめのコーナーでのフィーリング。古びた表現ではあるがまさにタイヤがしっかりと大地をつかんでいるような感覚でコーナーをクリアしていく。

小さなボディで航続335kmを実現

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走行用バッテリーはリチウムイオンで容量は42kWh。普通充電とCHAdeMOでの急速充電に対応。500eの車両側コンセントはコンボタイプだが、CHAdeMOとの変換アダプターを介して対応するとのこと。すでに開発は終了しているが量産はまだとのことで、試乗会では見ることができなかった。急速充電は85kWに対応するそうなので、かなり実用性は高いといえるだろう。WLTCモードでの走行可能距離は335kmなので、この部分での実用性もそこそこ高い。

走行モードは「ノーマル」、「レンジ」、「シェルパ」の3つ。ノーマルはアクセルペダルを戻した際にコースティングモードになるモードで、回生でしっかり減速(つまり1ペダル走行が可能)なのはレンジとなる。EVならレンジモードがデフォルトと考えるほうが普通だ。シェルパモードは航続距離を稼ぐモードで、最高時速が80km/hに制限され、エアコンもカットする。ただし、アクセルペダルを強く踏み込めば、80km/h以上への加速も可能だ。

10万円高のオープンがお得?

フィアット 500eフィアット 500e

ボディタイプは3ドアハッチとキャンバストップの2タイプで、もちろん3ドアハッチのほうがユーティリティ性が高く、キャンバストップのほうが遊び心にあふれている。価格は500eの価格はベーシックモデルのポップで450万円、アイコンで485万円、オープンで495万円。装備を考えるとアイコンかオープンが現実的だが、絶対的な価格は高い。しかし、オープンが10万円高というのは比較としてみればお得感もある。

とはいえ、現状では500eは購入という形は取れず、任意保険込みのサブスク、もしくはカーリース(任意保険は別途加入)のみという状況となっている。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

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