【ルマン24時間】豊田社長「強さを得るためチームが辿り着いた考え方は、やはり『改善』でした」…初優勝トヨタ祝談

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トヨタが1-2でルマンを制した。
  • トヨタが1-2でルマンを制した。
  • トヨタが1-2でルマンを制した。
  • 優勝した#8 TOYOTA TS050 HYBRID。
  • 優勝クルーのアロンソ、中嶋一貴、ブエミ。
  • ルマン24時間レースの表彰式。
  • #8 TOYOTA TS050 HYBRID(総合優勝)
  • #7 TOYOTA TS050 HYBRID(総合2位)
  • #3 Rebellion R13(総合3位)

16~17日に決勝が実施されたルマン24時間レース(2018/19WEC第2戦)、悲願の総合初優勝を達成したトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)陣営から“祝談”があがってきている。

豊田章男トヨタ社長は、無念の敗戦を味わった昨年の談話、選手たちへの「思いっきり走らせてあげられなくてゴメン」とは“対”をなす「思いっきり走ってくれてありがとう!」という言葉から、喜びと感謝、深く熱い想いを語った。そのなかには、昨季限りで同じ土俵(LMP1クラス)からは去ったライバルへの感謝も含まれている。そして、トヨタ伝統の考え方の徹底こそがチーム再起の原動力だった旨も。

豊田章男社長のコメント
「『思いっきり走ってくれてありがとう!』 20回目の挑戦にして誰より長い距離を走ってくれたドライバーたち、みんなに向けてこの言葉を送ります。同時に、388ラップ、5300キロ余りを走りきったクルマたちにもこの言葉をかけてあげたいと思います」

「そして、『思いっきり走らせてくれて、ありがとう!』 ずっと、この戦いを支えてくださったファンのみなさま、ともにクルマを作り上げてきたパーツメーカーのみなさま、心ひとつに戦ってきてくださったパートナーのみなさま、そして現場で戦い続けたチームのみんなに今、伝えたい言葉です。みんな本当にありがとう!」

「19回、一度も勝てなかった我々は、ただひたすらライバルたちの背中だけを見て、それより速く走るクルマを作れば勝てるだろうと、新しい技術に挑み続けていました。しかし19回繰り返しても勝てない。『クルマを速くするだけではルマンには勝てないんだ! 我々には“強さ”がない! 強いチームにはなれていない!』 昨年のレースの後、私は思わずチームに声を荒げました」

「チームはゼロからのやり直し、“なぜ強さがなかったのか?” それを考えるところからの再出発となりました。そしてチームが考え、辿り着いたのがトヨタが大切にし続けている『改善』という考え方です」

「クルマをつくるひとつひとつの作業…走らせるためのひとつひとつのオペレーション…それに向かう一人一人がどうしたらミスが起きないかを考え、それを徹底する。そうするとまた次にやるべきことが見つかっていく。欠けていた強さを身につけようと1年間ひたすらに改善を繰り返し、積み重ねてきました」

「思えば、敵わなかったライバル、ポルシェは、もとよりそうした強さを身につけていたのだと思います。今年、直接、競い合うことはできていませんが、それに気づかせてくれたポルシェなど、偉大な過去のライバルたちにも、あらためて感謝いたします」

「レースの前、チームの一員から私にメッセージが届きました。『今年はドキドキが止まりません。ただひたすら改善を重ねてきましたが、それで分かったことは、改善に終わりはないということでした。それを知ったことがドキドキの原因だと思います。足りない部分が、まだどこかにあるはず…ゴールの瞬間まで仲間と、もがき続けます。モリゾウさん、見守っていてください』 これを読み、このチームは“強さ”を身につけ始めたと感じることができました」

「ゼロから作り直してきたチームだからこそ、今回はなんとしても結果を残してほしい…。だから、今年は現場にいられずとも全力で見守ると決め、そして一緒に戦うことができました」

「このレースで戦うクルマを今、我々は、将来の市販車にしていこうとしています。改善に終わりはない、というトヨタの現場では当たり前の言葉をモータースポーツの現場の彼らが身をもって理解し、勝利に結びつけたことで、実現に向けた大きな一歩を踏み出せたと思います」

「悲願だったル・マン24時間レースでの勝利を、我々はようやく手にすることができました。この瞬間を、諦めずにずっと待ち続けてくださったファンのみなさまと、今日は心からの笑顔で一日を過ごしたいと思います。しかし、これはまた次の戦いの始まりであり、次なる改善が始まります。改善に終わりはありません。明日から、次の夢の実現に向け、また一緒に戦っていただければと思います。また最高の笑顔で過ごせる日を目指して、引き続き、トヨタGAZOOレーシングを、よろしくお願いします」

トヨタは1980年代からルマンに断続的に挑戦してきた(挑戦回数についてはチーム体制に関する解釈等で異説も)。リザルト面では過去に総合2位が5回あり、内容面では特に直近2年、状況はそれぞれ異なるながらも悔しい逸勝が続き初優勝への足踏み状態にあったわけだが、今年、日本メーカーとしては1991年にマツダが初めて勝って以来となる総合優勝(2社目)をついに達成した。

ハイブリッドマシンでLMP1クラスを戦う自動車メーカーが自分たちだけとなり、己との戦いが中心になるなか、トヨタはほぼ完璧な内容でそれをやり遂げ、日本メーカー初のルマン24時間レース総合1-2フィニッシュを飾っている。

優勝は中嶋一貴らの8号車TS050 HYBRID、2位は小林可夢偉らの7号車TS050 HYBRID。日本人選手のルマン総合優勝は関谷正徳(1995年)、荒聖治(2004年)に続き中嶋が史上3人目だが、日本メーカーのマシンで日本人選手が総合優勝したのは今回が初めてだった。

《遠藤俊幸》

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