なんと可愛らしい! 次に乗ったのは1962年製『ポートカブC240』。いま放送しているNHKの朝ドラ『ひよっこ』にも登場しているから、マニアの間ではちょっとだけ話題になっているのだ。有村架純演じる主人公(みね子)の叔父さん(宗男)が乗ってくる、あのバイクこそがこのポートカブ。前後17インチのスタンダードに対し、こちらは前後15インチで足つき性を良くし、レッグシールドを小型化するなど廉価版として売られた。なお、「ポートカブ」というネーミングの由来は、世界中の港へ輸出されるようにと願ったことからきている。スーパーカブ『C100』が5万5000円、セル付きの『C102』が6万2000円で売られていたのに対し、ポートカブC240は4万3000円だった。大学卒初任給が1万3100円で、国鉄初乗運賃10円、かけそば35円、映画入館料200円、カラーテレビ17インチ30万円の時代だ。給料半年分という高値でありながらもスーパーカブはこの年、生産累計200万台を突破し好調なセールスを続けていたのだから、どれほどみんながスーパーカブを欲しがっていたかってことがわかる。しかし、ポートカブは国内ではあまり売れなかったという。時代は高度成長期であり豊かになっていくとき。ウインカーとテールランプが省略されているなど、チープ感が否めず受け入れられなかった。しかし55年の時を経て、ホンダコレクションホールの職人の手によって完璧なまでに整備された車両に乗っていると、ノンビリ走れて楽しいばかり。スーパーカブC100譲りのOHVエンジンはソフトな乗り心地で気持ちいい。宗男のようにビートルズを口ずさみながら走っていると、なんだか元気が湧いてくる。2017年中には世界生産累計台数が1億台に達する見込みのスーパーカブシリーズ。160カ国以上で販売され、数え切れないほどの海外の港へ運ばれていき、そこで現地の人々の暮らしに根づいていることを思うと「よく、やったぞ!」と、ポートカブに労いの言葉をかけずにはいられなくなる。小径ホイールのカブといえば、いまも『リトルカブ』がラインナップされているが、コイツはそのルーツというわけだ。【ホンダコレクションホール 歴代カブ試乗】1. これが原点…1955年製 F型カブ2. 歴史的大ヒットも納得…初代スーパーカブC1003. ムンムンと漂う60'sホンダレーシング魂…スポーツカブC1105. ライフルを構えつつライド!?…ハンターカブ6. 静かで丈夫! 子どもの頃に慣れ親しんだスーパーカブの姿協力:ホンダ(試乗)青木タカオ|モーターサイクルジャーナリストバイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。
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