【ホンダコレクションホール 歴代カブ試乗】これが原点…1955年製 F型カブ

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1955年製、Honda F型CUB
  • 1955年製、Honda F型CUB
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一生の想い出になるような、たいへん貴重な体験をさせてもらった。ツインリンクもてぎ(栃木県芳賀郡茂木町)内のホンダコレクションホールが動態保存するホンダ『F型カブ』を、あろうことか自ら走らせることができた。

昭和30年、1955年製の原動機付き自転車。博物館でしか見たことのないたいへん貴重なお宝であるのだから、それはもう、ただひたすら感動するばかりだった。

コレクションホールの職人たちが整備したF型カブは、高級通勤車と誇らしげなステッカーが貼られた、山口自転車工場製の自転車に取り付けられていた。

ホンダの創業者、本田宗一郎氏は人々の移動手段である自転車を少しでも楽な乗り物にするために、昭和27年(1952年)3月にF型を完成。6月に発売すると、たった5カ月間ほどで累計2万5000台を売る大ヒットとなる。

その人気の秘訣は経済性に優れるなど高性能だっただけでなく、販売方法にもあり、地元の顧客と固く結びついている全国5万5000軒の自転車屋さんでエンジンを取り付け、ユーザーのもとへデリバリーされた。その販売戦略は、当時としてはとても斬新であった。

キット内容は、赤いエンジンと水筒のような円盤形の白い燃料タンク、そして「Cub」(カブ)の刻印が入ったライト。排気量は49.9ccで最高出力は1馬力。後輪左側のシャフト部にエンジンを吊り下げ、チェーンを介して後輪を駆動させるので、自転車にもともとあるスプロケットやチェーンとは別に、補助付きエンジン用のチェーンと大きなスプロケを後輪に組み込む必要がある。

自転車を漕いでエンジンを押しがけ状態にして始動させると、あとは手元のレバーでスピードを調整する。当たり前ながら、自転車についているブレーキで停車し、カブの原点が自転車用の補助エンジンであることを改めて思い知ることができた。

走りは意外とスムーズで、なかなかにして速い。最高速は35km/hだ。

今回はまずF型カブの試乗記をお届けしたが、ホンダコレクションホールが動態保存する歴代カブをあと5機種ほど乗せていただいたので、今後順次その模様をレポートしていこうと思う。


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青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

《青木タカオ》

モーターサイクルジャーナリスト 青木タカオ

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。多くの専門誌への試乗インプレッション寄稿で得た経験をもとにした独自の視点とともに、ビギナーの目線に絶えず立ち返ってわかりやすく解説。休日にバイクを楽しむ等身大のライダーそのものの感覚が幅広く支持され、現在多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。

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