今回は9月に発売したスズキの『DR-Z4SM』と『DR-Z4S』にそれぞれ試乗してきました。20年ほど前に販売された『DR-Z400』シリーズを知らない世代の私ですが、今回フルモデルチェンジで登場した2台は、スペックだけでなく見た瞬間から「これは楽しそう!」と思わせてくれる存在感がありました!
◆足がつかない不安も、走り出せば忘れる
スズキ DR-Z4SMと小鳥遊レイラさんまずはデュアルパーパス寄りのDR-Z4SMから試乗していきます。
車両に跨ってみると、まず驚いたのがシート高。ストリートモデルとは思えない790mmという高さで、身長160cmの私では予想通り、いや想像以上に足がつかない…。両足プランプランで、モトクロッサーに跨ったときと同じ感覚です。それでもこういうマシンは腰をずらして気合いと根性で乗り降りします(笑)
もちろんメーカー純正で30mmダウンのローシート(DR-Z4SMのみ)も用意されているので、街乗りでももう少し安心したい方は選択肢に入れてみてもいいと思います。
スズキ DR-Z4SM
今回はクローズドコースでの試乗ということで、DR-Z4SMではオンロードのショートコースを走行。いざ走り出してまず思ったのは、とにかく軽快で旋回しやすいということ。400cc単気筒らしい下からの力強いトルクとキビキビした軽快感で楽しい。足がつかない不安なんて、走り出したらすっかり忘れていました。
普段はスーパースポーツでのサーキット走行が多く、デュアルパーパスでのオンロード試乗は初めてだったので、今回はスーパーモトの走り方ではなくリーンインのフォームで走行。最初はハンドル幅の広さとアップライトなポジションに慣れず、少し大回りになってしまう場面もありましたが、周回を重ねるほど自然に車体が倒れていきます。身体も一緒に倒していくとどんどん車両の内側に身体が入るので、気づいたらコーナーの外側の足が宙に浮いていてマモラ乗り(かつてのGPライダー、ランディ・マモラ選手が見せたコーナリング中に外側の足をステップから外す走り方)になっていました。
スズキ DR-Z4SM◆リアサスのセッティングで大きく変わる乗り味
走行中ある程度バンクしてもタイヤのグリップに安心感があったので確認してみると、純正でDUNLOP「SPORTSMAX Q5A」を装着していました。これがまたよくグリップします。切り返しの軽さと相まって、どのコーナーでも車体の向きが素直に変わってくれます。さすがに濡れた路面では慎重にはなりますが、純正タイヤでここまで安心して攻められるのはうれしいポイントです。
2本目の走行では、リアサスペンションを2段階硬めにセッティング変更してもらい再度コースへ。これがまた大正解で、コーナリング中の踏ん張りが一気に増して、さっきまでよりもラインが安定。アップライトなポジションでも車体の芯がしっかりしていて、「もう少し倒してもイケるかな?」という前向きな気持ちにさせてくれます。純正サスペンションでここまで変わるなら、ライダーのレベルや好みに合わせて幅広く遊べるはず。
スズキ DR-Z4SMまた、「スズキドライブモードセレクター」でA・B・Cの3モードを走りながら比較。
・Aモードはとにかくレスポンスが良くて、今回のようなショートコースでは一番楽しい。
・Bモードは街中にぴったりの自然なパワー感で、個人的に一番使いやすく感じました。
・Cモードは雨の日や渋滞時、のんびり走りたいときにちょうど良さそう。
そして今回新しく搭載された「G(グラベル)モード」ですが、こちらは後ほどDR-Z4S側で紹介します。
◆初心者でもオフを楽しめる懐の深いマシン『DR-Z4S』
スズキ DR-Z4Sと小鳥遊レイラさんさて、次はいよいよオフ寄りのDR-Z4Sへ。こちらは前21・後18インチで、サスペンションストロークも長めの本格オフロード仕様。今回の試乗コースは、一般的なモトクロスコースのような砂ではなく、玉砂利のような石がメインのかなり滑りやすい路面。普段オフロードを走るのは年に1~2回の私にとっては、難易度の高いシチュエーションです。あくまでオフロード初心者のインプレッションとして見てください。
走り始めは「転ばないように走る」ので精一杯で、DR-Z4Sの本領を試す余裕なんてまったくありませんでした。でも、周回を重ねるごとに身体が少しずつ慣れてきて、リアが滑ってもアクセルワークで立て直しつつ走っていると、今回の注目「Gモード」がしっかり介入してくれました。
これは未舗装路での走行時にトラクションコントロールを適切に働かせ、パワーを落としすぎずに前へ進む力を確保してくれる電子制御です。滑りやすい路面でリアが流れたときも、電子制御が邪魔をする感じがなく、アクセルに対して素直に駆動力が出てくれるので、安心感が段違い。
スズキ DR-Z4Sメーターを見る余裕が出てきた後半では、コーナリング中にTCランプが頻繁に点滅していて、「あ、助けられてるな」と実感。それでも違和感は一切なく、電子制御の“介入してます感”が薄いのはすごいポイントだと思います。もっと登りの急坂などで試せればさらに違いがわかりやすかったと思いますが、今回の走行でも十分にそのありがたみを感じることができました。
DR-Z4Sはナンバー付きながら、本格的なオフロード走行ができるポテンシャルをしっかり備えているモデルです。私のようなオフ初心者でも、電子制御の助けを借りながら楽しめる懐の深いマシン。モトクロスコースでガッツリ走らなくても、ツーリング先で未舗装路が出てきたときに怯えず進んでいける、そういう頼もしさがあります。
ただし、シート高は890mmと相当高いので、街乗り中心の人はその点だけ注意が必要ですね。
スズキ DR-Z4SMと小鳥遊レイラさん■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★
足着き:★
オススメ度:★★★★
小鳥遊レイラ|愛称:ことりちゃん
レースクイーンに憧れてモータースポーツ業界へ。しかしMOTOR STATION TVでの出演をきっかけに走る方に目覚めてしまい、いきなり大型二輪免許を取得。現在では2輪4輪共にサーキットを走り、一昨年に4輪のレース参戦のためJAF国内A級ライセンスを取得。先日、MFJロードレース国内ライセンスを取得して、今年は2輪でもレースに参戦予定。イベントMCから2&4輪の耐久レース参戦まで楽しむモータースポーツ女子。身長は160cm。
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