【池原照雄の単眼複眼】米国市場のクリーンディーゼル化を担うのは日本勢

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三菱もTier II Bin5適合の『ランサー・ディーゼル』を投入

数年後の北米市場ではクリーンディーゼルが環境対応技術のひとつの柱になる姿が見えてきた。しかも、リードするのはディーゼル先進地域の欧州勢ではなく日本メーカーだ。

ホンダや日産自動車に続き、三菱自動車工業も開幕中のデトロイトモーターショーで、世界で最も厳しい米ディーゼル排ガス規制「Tier II Bin5」に適合したエンジンを搭載した『ランサー』を2010年に投入する計画を明らかにした。

三菱の北米向けディーゼルは、親会社の三菱重工業と欧州市場を念頭に共同開発しているものをベースとし、排気量は2.0−2.5リットル級。窒素酸化物(NOx)をガソリンエンジン車と同じレベルまで削減しなければならない米規制への適合を図る。

三菱によると、排ガス浄化システムはNOxトラップ(吸着)触媒とDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)を組み合わせる方式だ。燃料噴射は応答性の高いピエゾ式コモンレールを採用。出力を高めるターボチャージャーは、タービン流量とコンプレッサー流量をそれぞれ可変する2ステージシステムとする。

◆03年にEPAの評価試験をクリアしていた日産

「Tier II Bin5」への適合技術は、昨年9月にホンダがいち早く発表、福井威夫社長は09年までにこのエンジンを搭載したモデルを米市場に投入することも表明した。ホンダの浄化システムは排ガス中のNOxと水素を反応させてアンモニアを生成、そのアンモニアをさらにNOxと反応させて無害の窒素に浄化するという独自プロセスだ。

ホンダに続き、日産も昨年12月に発表した「グリーンプログラム2010」の中で、10年度から北米、日本、中国にそれぞれの規制に適合したクリーンディーゼル車を投入する方針を表明した。日産の排ガス浄化システムや搭載するターボは、今回三菱が発表したものと、ほぼ同じ構成だ。日産は03年の段階で、EPA(米環境保護庁)が実施した5万マイル(約8万km)走行の評価試験において「Tier II Bin5」をクリアしている。

◆ベールに包まれたトヨタも北米で大展開が確実

残るトヨタは、今のところ北米向けディーゼル技術や商品対応をベールに包んだままだ。しかし、トヨタも日産とともにEPAの評価試験に参画しており、技術的には何ら問題はない。「米国ではバイオエタノールも含め燃料の多様化が着実に進む」(幹部)というのがトヨタの分析。

いすゞ自動車との提携も、そうした市場動向を踏まえ、世界へのディーゼル供給力を高める狙いが背景にある。早晩、北米市場でのトヨタのディーゼル「大展開」構想が示されることになろう。この大市場でハイブリッドに続き、ディーゼルでも日本勢がイニシアティブを握る。

《池原照雄》

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