一大ブームを巻き起こした初代の記憶がまだ鮮やかなので、2代目が少し霞んでしまったマツダ『ロードスター』。それだけに3代目の商品企画も難しかったはずなのに、これ、かなりイケてるんじゃなかろうか。
全長、全幅を5ナンバー枠いっぱいまで使ったスクエアデザイン。『セレナ』は『ステップワゴン』とは対照的にサイズアップと内外装の質的向上で攻めてきている。
長く大きくで2代続いたスクエアデザインから一転、最近のホンダミニバン系の共通コンセプトでもある低床低重心設計のダウンサイジングを断行。単に広くてゆったりした箱から、日常的な使用パターンでの扱い勝手を追求しつつ変わらぬ広さと居心地のよさを兼ね備えたリビング感覚へとシフトしている。
何だこのスタイリングは! 初めてその姿を見たときには思わず顔をしかめてしまった。全長、全幅、ホイールベースともに大きく拡大されたボディは、ほぼ完全なるデザインコンシャス。ボンネットからスムーズにウインドシールド→ルーフラインとつなげるために思い切ったキャビンフォワードが成されている。
こりゃ『プリウス』のパクリじゃねぇの? 歴史観を欠くとそんな声も出かねない。5ドアハッチバックのプロポーションとインテリアの仕立てを見ると、たしかに『C4』には既視感を覚えるが、元を質せばこのスタイルは『GS』あたりに源流を見出せるシトロエン流。
前作そのものが「最良か、無か」を社是としたメルセデスの変節を知らせる製品だった。これはその市場評価のネガを対策し、コストダウンによる収益性増加を図る、という目標のもとに作られた製品。先代は、少なくとも衝突安全性という論理から出発してはいたが…。
新型『Aクラス』に搭載されるエンジンは直4で1.7リッターと2リッターの2機種。いずれもSOHCで動力性能は平均レベル。A170の動力性能は85kW/155Nmだが、最大トルクを発生する回転数が低くて幅広いので、日常シーンで扱いやすく、アクセルを踏み込んだときの加速の伸びもまずまず。
20cm以上も長くなった新型『Aクラス』。おかげで後席にまともに座れるようになった。そのいっぽう「あんな偉そうな名門が、こんな小型車まで!」と世間を驚かせた先代のような事件性はない。あちらを立てればこちらが立たず、ツラいところだ。
2代目のスタイリングも、さすがに納得のゆくものだ。ショートノーズのモノボックスをかっこよくデザインしてしまうあたり、メルセデスの実力を感じる。
3.6mの全長で何ができるか……という初代モデルが掲げた崇高なコンセプトはいったいどこへやら(!?) ボディ大幅延長で当然、そのぶん後席レッグスペースにもタップリとした余裕が生まれたのが2代目の『Aクラス』だ。