初代も2代目も簡潔なハコ形が人気だったが、さすが3代目もキープコンセプトでは苦しい。そこで設計者が「絶対にハコにはしたくなかった」とゼロから挑戦したのが、かえって強い存在感につながった。
こんな顔に大きなライオンの記章だから、初対面の印象は「4ドアのフェラーリ」。全体の輪郭もクーペ的だ。したがって、ミドルサイズにしては後席の広々感など犠牲になっている。その点はセダンだけでなく、豪華ワゴンのSWも同じ。単なる広さならモノスペース(ミニバン)に乗れということか。
ここんとこシトロエン、ちょっとずつ「らしさ」を取り戻しているようで嬉しい。クルマの中身なんて世界共通ともいえる現在、独自性を訴えるにはデザインが一番だから、ダブルシェブロンを強調したグリルなども効果的だ。
巷間よくいわれるような「アルテッツァの後継車」などではない。若者なんぞお呼びでない大人の本格スポーツセダンだ。というと、すぐ比較の対象とされるのがBMW『3シリーズ』だが、結論からいえばほとんど互角。
最初は印象希薄だが、見慣れるにしたがって存在感が濃くなる。内に秘めた静かな力量ということか。とにかく全体どこにも破れ目がない。さすがに、これまで培ってきたトヨタのクルマ作りの集大成だけのことはある。
一大ブームを巻き起こした初代の記憶がまだ鮮やかなので、2代目が少し霞んでしまったマツダ『ロードスター』。それだけに3代目の商品企画も難しかったはずなのに、これ、かなりイケてるんじゃなかろうか。
全長、全幅を5ナンバー枠いっぱいまで使ったスクエアデザイン。『セレナ』は『ステップワゴン』とは対照的にサイズアップと内外装の質的向上で攻めてきている。
長く大きくで2代続いたスクエアデザインから一転、最近のホンダミニバン系の共通コンセプトでもある低床低重心設計のダウンサイジングを断行。単に広くてゆったりした箱から、日常的な使用パターンでの扱い勝手を追求しつつ変わらぬ広さと居心地のよさを兼ね備えたリビング感覚へとシフトしている。
何だこのスタイリングは! 初めてその姿を見たときには思わず顔をしかめてしまった。全長、全幅、ホイールベースともに大きく拡大されたボディは、ほぼ完全なるデザインコンシャス。ボンネットからスムーズにウインドシールド→ルーフラインとつなげるために思い切ったキャビンフォワードが成されている。
こりゃ『プリウス』のパクリじゃねぇの? 歴史観を欠くとそんな声も出かねない。5ドアハッチバックのプロポーションとインテリアの仕立てを見ると、たしかに『C4』には既視感を覚えるが、元を質せばこのスタイルは『GS』あたりに源流を見出せるシトロエン流。