アクセルオンの瞬間からドカンと背中を蹴飛ばされ、そのままエンジンの回転数と無関係に続く息の長い強力加速感はちょっと異次元の快感。
なるほどこれなら「高回転にかけて伸びの物足りないディーゼルに魅力はないが、ハイブリッドならばウチのクルマにもふさわしいフィーリングが演じられる可能性はある」といっていたポルシェ社のヴィーデキング社長のコメントにも説得力が生まれる。というか、このクルマに乗ってみると近い将来の“カイエン・ハイブリッド”の誕生が、いよいよ現実的に感じられて仕方がない。
もっとも、このクルマの“死角”は動力性能には優れても、極端なフロント寄り荷重ゆえにハンドリングが冴えないこと。コーナーをちょっと追い込むと、フロントタイヤはたちまち悲鳴を上げて早々に仕事を放棄しようとする。
アメリカ市場最優先で開発されたゆえ、日本ではハンパに大きいボディサイズも、間伸び感が強くていまいちピンと来ない印象。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★☆☆☆☆
オススメ度:★★★☆☆
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。愛猫家なのに猫アレルギーが発症し、このところ辛い毎日……