前作そのものが「最良か、無か」を社是としたメルセデスの変節を知らせる製品だった。これはその市場評価のネガを対策し、コストダウンによる収益性増加を図る、という目標のもとに作られた製品。先代は、少なくとも衝突安全性という論理から出発してはいたが…。
新型『Aクラス』に搭載されるエンジンは直4で1.7リッターと2リッターの2機種。いずれもSOHCで動力性能は平均レベル。A170の動力性能は85kW/155Nmだが、最大トルクを発生する回転数が低くて幅広いので、日常シーンで扱いやすく、アクセルを踏み込んだときの加速の伸びもまずまず。
20cm以上も長くなった新型『Aクラス』。おかげで後席にまともに座れるようになった。そのいっぽう「あんな偉そうな名門が、こんな小型車まで!」と世間を驚かせた先代のような事件性はない。あちらを立てればこちらが立たず、ツラいところだ。
2代目のスタイリングも、さすがに納得のゆくものだ。ショートノーズのモノボックスをかっこよくデザインしてしまうあたり、メルセデスの実力を感じる。
3.6mの全長で何ができるか……という初代モデルが掲げた崇高なコンセプトはいったいどこへやら(!?) ボディ大幅延長で当然、そのぶん後席レッグスペースにもタップリとした余裕が生まれたのが2代目の『Aクラス』だ。
『Aクラス』も、みるからにひと回り大きくなって車格を増した。メルセデス流の高質感も注がれている。
初めてステアリングを握った直後は、なんだかベンツのダシガラみたいなクルマだなぁと思った。けれども、数日乗っていると、いいクルマだなぁと感じるようになった。
何のためにハイブリッド化するのか? このクルマの場合は「狭い領域に限定されるにせよ、エネルギー効率が向上する」というハイブリッド動力システムの本質を求めてのものではない。
現行『5シリーズ』から、BMWのクルマづくりは大きく変質し、一気に伝染しつつある。
エクステリアデザインもなかなかよいが、メーターパネルなどインテリアデザインもいかにもハイブリットカーらしく、ハイテク感があっていい。