最近トヨタのハイブリッド路線は、世間の先入観をバリバリ塗り替え中。「燃費いいだけじゃなく、ガンガン走るんです」がそのテーマで、とうとうその波がSUV界にも及んできた。
なにしろ「ベンツ・ビーエム症候群」が蔓延している日本だから、ブランドがブランドだけに説得力あり。とりあえず無理にでも納得してしまう自分に気付く。
運転席に座ると、スピードメーターの左側はタコメーターかと思ったらkWの表示計がある。これだけでもハイブリッド車に乗ったというインパクトがある。
運転席のシートはこれまでよりちょっと大きくなり、シートバックも背が高くなって胴長の日本人でもシートの収まりはよいはずだ。リヤシートのシートも座りやすい。最近バックレストの上部が後ろへ逃げているクルマが多くなったが、『3シリーズ』はリヤシートでもバックレストが背中の上の方までカバーしてくれるから安心感がある。
エンジンと2基のモーター全開、パワーメーターが200kWに張り付いたままのフル加速が、とにかく圧巻。静かさに演出されるためか、ポルシェ『カイエン』、VW『トゥアレグ』、『レンジローバー』といったV8の高性能SUVよりもむしろ速く感じる。
乗ったのは2リッター4気筒の『320i』だけ。全幅が1.8mを超えたり、新世代BMWのなかでは保守的なデザインになったり、キーレス・スタート/ストップを採用したりと、目先はけっこう変わったが、乗った感じは旧型E46の4気筒系とそんなに変わらない。
これは単なる「手直し」にすぎない。市場データの表層に現れた弱点を対策し、外観も内装も「初代の姿カタチを引き継ぎつつ、新しく見えるように」修正し、コストはさらに削り落とす。これら作業項目を、各個に、かつ淡白に進めた結果は「デフォルメされた『ヴィッツ』」。
Vあたりから、人工的な旋回能力だけが突出し、操る実感欠如。暴力的なまでの速さばかりが突出して、よほどの熟達者でないと“危ない”クルマの1台だった。その方向を若干修正した印象、ではある。
外観は「足を踏ん張っている」印象だが、走るとタイヤが地面をうまく踏みしめてゆかない。跳ねる動き強く、とくに前後方向に揺すられるピッチングが速くて多い。
たしかに日本の平均的家庭がクルマを使う情景を観察し、「使いやすさ」を各所に作り込んでいる。だがほとんどが「止まっているとき」の機能。これは「多用途性」を打ち出す日本車に共通する発想だが。