ヒョンデは、燃料電池車『NEXO(ネッソ)』の新型を2026年初頭に世界市場で発売すると発表した。
新型NEXOは、パワートレイン技術において大きな進化を遂げた。燃料電池(FC)とパワーエレクトロニクス(PE)システムの両方に大幅なアップグレードが施されている。
新開発のPEシステムは、バッテリー出力を40kWから80kWへと2倍に向上させた。これに加えて、水素燃料電池スタックの効率も改善され、最大総出力は従来の95kWから16%増の110kWを実現。正味システム出力も85kWから11%増の94kWとなった。これらの改良により、総システム出力は135kWから190kWへと大幅に向上している。
この出力向上により、新型電動モーターは150kWを発揮し、0-100km/h加速時間は従来の9.2秒から7.8秒へと短縮された。力強い加速性能と安心感のある追い越し性能を提供する。
5分間の水素充填で、WLTPモードにおいて826kmの航続距離を実現する見込みだ。水素システムの貯蔵容量は、先代モデルの6.33kgから6.69kgへと増加したが、キャビンスペースは犠牲にしていない。水素貯蔵密度の向上と燃費効率の改善により、NEXOの全電動航続距離における競争力がさらに強化された。
その他の改良点として、低温作動性の向上、より耐久性の高い膜構造、セルの均一性向上などが挙げられる。新しい「ウェイクアップ」凍結防止機能などの最適化により、寒冷地での信頼性の高い性能と年間を通じた運転の安心感を確保している。
新型NEXOは、空力性能の向上も図られている。アンダーボディの最適化と空気流管理の改善により、抵抗を減らし効率を最大化した。先進的なNVH(騒音・振動・ハーシュネス)性能は、アクティブノイズコントロールロード(ANC-R)ノイズキャンセリング技術や吸音タイヤなどの機能によりさらに向上し、特に加速時や不整路面での静粛性と洗練された乗り心地を実現している。
運転性能は、革新的なeハンドリングシステムによってさらに最適化されている。このシステムは、モータートルク制御を使用してグリップ、安定性、ステアリングレスポンスを向上させる。路面状況に応じてモーター出力を動的に調整することで、精密なハンドリングと全体的な性能向上を実現している。
新型NEXOには、ドライバーの負担を軽減し、よりスムーズな走行を促進するスマート回生システム(SRS)も搭載されている。このインテリジェントシステムは、ナビゲーションデータと前方車両との距離に基づいて回生ブレーキを自動調整する。また、地図情報を活用して速度カメラや減速帯などの道路特性を考慮し、惰性走行中の減速を管理することでドライバーの介入を減らす。距離設定はドライバーの好みに応じてカスタマイズ可能だ。
さらに、欧州仕様の新型NEXOには、新たな機能としてけん引能力が追加された。最大1000kgのけん引能力を持つNEXOは、このレベルの機能性を提供する初のFCEVとなり、その汎用性と魅力をさらに拡大している。
新型NEXOには、利便性を高めFCEVの運転体験を簡素化するための消費者志向のイノベーションが搭載されている。コラム式シフトレバーにより室内空間が確保され、センターコンソールの収納容量が増加した。
コネクテッドカーナビゲーションコックピット(ccNC)は、2つの12.3インチ曲面ディスプレイを組み合わせ、ドライバー情報とインフォテインメント制御をシームレスに統合している。OTAアップデートとワイヤレスのアップルカープレイおよびアンドロイドオートに対応し、生成AI搭載の音声認識機能や、最大14スピーカーを備えたバング&オルフセンのプレミアムサウンドシステムも搭載している。
ヘッドアップディスプレイ(HUD)は、速度、自動運転データ、安全警告などの重要な運転情報をフロントガラスに直接投影し、注意散漫を軽減する。その他の便利機能として、高速スマートフォン充電、NFCベースのデジタルキー2機能によるキーレスエントリーとスタート、15W出力のUSB急速充電などがある。
ヒョンデのバッテリー電気自動車と同様に、新型NEXOには車両から負荷への給電(V2L)機能が組み込まれており、高電圧バッテリーを介して車内外の電子機器に電力を供給できる。外部V2L機能は、追加のアダプターを必要とせず直接プラグイン可能で、多様な電源オプションを確保している。
視認性向上のため、新型NEXOは一部市場でデジタルセンターミラー(DCM)とデジタルサイドミラー(DSM)システムを搭載し、従来の光学ミラーに代わるものとなっている。これらのシステムは、より広い視野、優れた死角検知、低照度や悪天候下での視認性向上を提供する。DCMには後方カメラの鮮明さを維持するクリーニングシステムが含まれ、DSMは車線変更時の視認性向上のためブラインドビューモニター(BVM)と統合されている。










