◆インホイールモーターなら実現できる
「ジャパンモビリティショー2025」でホンダが世界初公開した『EV OUTLIER Concept(イーヴィー アウトライヤー コンセプト)』は、2030年以降の二輪車の新しいあり方を提案する。
本田技術研究所の堤裕也氏は「電動車ならではのレイアウトの自由度の高さを生かし、前後両輪にインホイールモーターを採用しました」と言う。なんと、バイクでは珍しい二輪駆動だ!
2WDはヤマハが1985年から研究を進め、オーリンズとの共同開発でYZ250をベースにしたプロトタイプを1998年に完成させた。2004年のパリダカールラリーでは、エンジンの回転で油圧ポンプを動かして前輪を駆動するWR450F 2-Tracがクラス優勝を果たしてしている。
 ホンダ EV OUTLIER Concept(ジャパンモビリティショー2025)
ホンダ EV OUTLIER Concept(ジャパンモビリティショー2025)しかしその後、二輪駆動のバイクは製品化に至っていない。ただし、電動バイクなら、インホイールモーターの採用例は少なくないどころか、コミュータータイプでは主流でもある。EVスポーツでの二輪駆動実用化は、決して夢ではないのだ!!
ますますワクワクするではないか、アウトライヤー!! 堤氏からは、より詳細な技術解説を聞くことはできなかったが、リアタイヤが空転した時にフロントを効果的に駆動させるなど、電子制御が発達した今なら、さまざまなメリットを生み出せるだろう。
トレッドが3分割された極太のリヤタイヤも気になる。「後輪を太くすることで、よりパワーのあるモーターを組み込むことができます」と、堤氏が教えてくれる。電動ならではの強力なトルクをワイドタイヤで受け止めるのだ。
◆『レブル250』よりもっと低い!!
 ホンダ EV OUTLIER Concept 開発者のふたりと筆者(中央)(ジャパンモビリティショー2025)
ホンダ EV OUTLIER Concept 開発者のふたりと筆者(中央)(ジャパンモビリティショー2025)
デザイナーの横山悠一氏(本田技術研究所)は、「ダイナミックでロープロポーションなスタイルを実現しています」と言う。空気抵抗が少ないのだろう。フロントは透明なスクリーンで覆われ、ゴールドウイングのようなダブルウイッシュボーンのサスペンション機構が見える。衝撃吸収と転舵を分けた構造のため、路面からハンドルに衝撃が伝わりにくい。
大胆にまで低いライディングポジションも目を見張る。シート高はレブル250の690mmより「もっと低いです」と明かしてくれた。ステップはフォワードコントロールで、ペダル類は一切ない。車体姿勢を低くしているのは、リヤショックを車体の底で水平配置したレイアウトを採用していることも大きく影響している。
 ホンダ EV OUTLIER Concept(ジャパンモビリティショー2025)
ホンダ EV OUTLIER Concept(ジャパンモビリティショー2025)「車体をスリムにしたかった」ことから、スイングアームは両持ちになっている。片側だけでリアホイールを支持するプロアームにすれば、剛性を稼ぐために湾曲して張り出してしまうからだ。
メーターディスプレイはハンドルに沿うように長細く、これは低いアイポイントから見上げる新しい景色の妨げにならないよう配慮したもの。従来のバイクならタンクコンソールとなる位置にも、液晶ディスプレイがある。
◆『CUV e:』に続くか!?
 ホンダ EV OUTLIER Concept(左)とEV Urban Concept(右)(ジャパンモビリティショー2025)
ホンダ EV OUTLIER Concept(左)とEV Urban Concept(右)(ジャパンモビリティショー2025)アウトライヤーの隣には、昨秋のEICMA(ミラノショー)2024で発表した電動コミューター『EV Urban Concept(イーヴィー アーバン コンセプト)』が並んでいた。
横一文字のヘッドライトは、すでに市販化済みのEV原付二種スクーター『CUV e:』を彷彿とさせるもので、フロントカウルを兼ねるクリアなスクリーンとの組み合わせが先進的だ。
フロントに採用されたリムマウントのディスクローターも斬新としか言いようがない。ディスク径を稼げて、軽量化にも貢献する。リアのスイングアームは片持ち式で、ベルトドライブによってリヤタイヤを駆動。
 ホンダ EV Urban Concept(右)(ジャパンモビリティショー2025)
ホンダ EV Urban Concept(右)(ジャパンモビリティショー2025)横山氏は「電動化を通じて、今までにない新しい価値を生み出していきます」と話す。確かにあらゆる点で、既存のバイクと一線を画している。
ホンダは2040年代には、すべての二輪製品でのカーボンニュートラル達成を目標にしている。2026年までを市場参入期とし、以降を事業拡大期と位置付け、戦略的に電動二輪車の市場投入を推進していく。










 
     
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
          
 
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
           
          