SUBARU(スバル)ラインアップのスタンダードモデル……メーカー自身のニュースリリースでもそう紹介のある『インプレッサ』。6世代目の現行モデルは2023年4月に登場、昨年2024年9月には装備まわりを充実するなどの改良が行なわれた。
試乗車はそのスタンダードなインプレッサの中でもまさしくベーシックな「ST」グレードのFWDモデル(AWDの用意もある)。ベース車両価格272万2500円と、文字通りホッとするような身近な存在といえる。
搭載するパワーユニットは水平対向の2リットルDOHC直噴で、そのスペックは113kW(154ps)/193Nm(19.7kgf・m)というもの。もちろんレギュラーガソリン仕様だ。ちなみにカタログ上では、このエンジン関連の紹介はサラッと済まされていて、ピストン&コンロッドの単体写真がポツンと載っている。

◆肩肘張らずに乗れるクルマだと実感
マグネタイトグレー・メタリックのボディ色にシルバー色のアルミホイールが組み合わせられた実車は、実にプレーンな雰囲気で個人的には好感が持てた。改めて、気負わず、肩肘張らずに乗れるクルマだと実感した次第。
とくに205/50 R17 89Vサイズタイヤ(BS・TURANZA T001 )は、クルマによくマッチしており、インプレッサのカドを立たせない穏やかで上質な乗り味に貢献。走行時の音や揺れの小ささに、我が家の柴犬のシュン(=乗り心地・NVH評価担当)も、後席で納得がいっていた様子。

スムースで穏やかな乗り味と安定感のあるクルマの挙動はステアリングの操舵フィールでも感じられ、そういう安心感の高さも魅力だ。最小回転半径は5.3mで扱いやすい。“仙骨”を中心に骨盤全体をスッと支えてくれる前席の着座感もいい。
◆適度な上質感をモノにしている
動力性能も十分で、通常はほとんど必要性を感じないほどだが、SI-DRIVEを“S”に切り替えれば、加・減速のキレ味が増す。今回は一般道をメインに普通の運転のしかたで試乗、燃費は13.3km/リットル(WLTCモード=14km/リットル)を確認した。

装備類は11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ(カーナビはメーカーオプション)、パドルシフトなどを備える。運転席まわりは、シフト周辺を始めとしてピアノブラックとシルバーの加飾があしらわれ、適度な上質感をモノにしている。歩行者保護エアバッグ、アイサイトアシストモニターなど、SUBARU車らしく日常の安心、安全を支える機能も充実している。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。