東京メトロ上場へ東京都と連携、北陸新幹線延伸の環境アセスは難航 国交相会見

京葉線や東西線の混雑緩和を図るために計画されている有楽町線豊洲~住吉間延伸は、住吉から半蔵門線を利用して押上までの乗入れが企図されている。写真は半蔵門線の車両群(向かって右から18000系、08系、8000系)。
  • 京葉線や東西線の混雑緩和を図るために計画されている有楽町線豊洲~住吉間延伸は、住吉から半蔵門線を利用して押上までの乗入れが企図されている。写真は半蔵門線の車両群(向かって右から18000系、08系、8000系)。
  • 2016年の交通政策審議会第198号答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」に示された地下鉄延伸計画と新線構想。
  • 構想されている北陸新幹線敦賀~新大阪間の延伸ルート。

赤羽一嘉国土交通大臣は7月16日に開かれた定例会見で、7月15日に交通政策審議会から受けた答申「東京圏における今後の地下鉄ネットワークのあり方等について」(第371号答申)に関して記者の質問に答えた。

第371号答申では、国と東京都がほぼ半数ずつ保有する東京地下鉄(東京メトロ)株を半数ずつ売却し東京メトロの上場、完全民営化を達成すること、東京メトロ有楽町線豊洲~住吉間の延伸、白金高輪~品川間の「都心部・品川地下鉄」構想、秋葉原~東京~銀座~臨海部間の「都心部・臨海地域地下鉄」構想の早期事業化が提言されている。

これについて赤羽大臣は「長年の課題を同時に解決する道筋を示していただいた、大変重要な答申」とした上で、小池百合子東京都知事と面談を行ない、連携して必要な支援や手続きを行なっていくことを合意。この答申を大きな節目と考え、「こうした懸案が前進するということで、首都東京の競争力強化、地下鉄ネットワークの利便性向上等、大きな成果が期待できるものと思っております」と述べた。

このほか会見では、北陸新幹線敦賀~新大阪間の延伸問題も取り上げられた。

これについては7月12日に大阪府などが北陸新幹線の「早期全線開業実現大阪協議会」を開き、2023年度当初の着工を決議しており、与党の与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム(与党PT)でも同様の方針を決めている。

現在は環境影響評価(環境アセスメント)が行なわれているが、一部に環境への懸念が出ており、調査が行なわれていない箇所もあるという。

赤羽大臣はこれについて「この他にも、京都駅や新大阪駅の施工上の課題、地下水への影響に関する課題、発生土の処理に関する課題など、着工に向けて乗り越えなければならない課題が山積しており、これらの課題について、当然ではありますが、目途を立てることが重要であると考えております」と述べ、環境アセスメントが難航していることを示した。

その状況を考慮しながらも、まずは着工5条件(安定的な財源確保、収支採算性、投資効果、JRの同意、沿線自治体からの並行在来線経営分離についての同意)について早期解決を図り、与党PTと緊密に連携しながら、関係自治体とも情報共有していきたいとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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