【ジープ グランドチェロキー 雪上試乗】実はクラスでベストセラー、その理由を確かめた…中村孝仁

ジープ グランドチェロキー
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ジープを輸入するFCAジャパンが、北海道で雪上試乗会を開催した。持ち込んだクルマは『レネゲード』を除くジープ全モデルと、アルファロメオのSUV『ステルヴィオ』。改めて雪上におけるジープの強さとある衝撃の事実を知ることになった。

実はセグメントでダントツのベストセラー


ある衝撃の事実とは、『グランドチェロキー』のことである。現行グランドチェロキーは、コードネームWK2と呼ばれる第4世代のモデル。投入されたのは実に2011年だから、今年で誕生から8年を迎える。勿論途中でマイナーチェンジも施され、最後に受けた大きなものは2014年だから、そこから数えてもすでに5年が経過。とっくにモデルチェンジしていてもおかしくない古いクルマである。そんなモデルが今、日本市場では人気らしい。

昨年のこのセグメントの販売データによれば、何とグランドチェロキーがダントツでベストセラーだというのだ。正直、俄かには信じられない。2018年はおおよそ1600台ほどのグランドチェロキーが販売されたそうだ。ではライバルは何?ということになるのだが、FCAの説明によれば、ライバルはポルシェ『カイエン』でありBMW『X5』、メルセデス『GLE』やボルボ『XC90』ということだ。どれも都会では良く見かけるモデルで、グランドチェロキーと比べても遥かに見る機会が多い。にもかかわらずグランドチェロキーはこれらのライバルを押しのけてベストセラーなのだという。

しかも2位につけるポルシェ カイエンの販売台数を500台ほど上回っているのだというから、なおのこと驚きなのである。つまり1600台のグランドチェロキーに対し、500台の差ということはカイエンの販売がおおよそ1100台ほどということになり、これならダントツと言って過言ではない。

雪にめっぽう強い、グランドチェロキー・サミット


雪上で試乗したグランドチェロキーは「サミット」というグレードで、昨年新たに追加された驚異の性能を誇る「トラックホーク」と、従来からある高性能モデル「SRT8」に次ぐ、ある意味ではノーマル・グランドチェロキーの最高峰のモデルだ。搭載するエンジンは3.6リットルペンタスターV6。パワーは290ps、347Nmと、まあそこそこの性能を持つモデル。トランスミッションは8速ATで、これは最新鋭といえるものだが、ベストセラーに輝くほどの秀逸さは正直感じられないスペックである。

ただし、雪はめっぽう強い。今となっては稀少価値さえある4Lモードを持つクォドラトラック2と呼ばれる4輪駆動システムを装備する。これが強さのポイント。近年のオンデマンド4WDでは得ることのできない卓越した低ミュー路やオフロードでの走行性能を実現しているのである。

トラクションコントロールをカットして雪道を攻めても面白い。トルク配分は非常に適切で、アイスバーンでない限りはかなり痛快なハンドリングとダイナミックな走りを楽しめる。この4WDの強いところはたとえ駆動輪が1輪になっても走破出来ること。そんなクルマ、今時ジープを除いてない(輸入車ではメルセデスGクラスが例外か)。そのジープでも、現状日本ではこのグランドチェロキーとさらに走破性能の高い『ラングラー』だけである。

今もってトップレベルの快適性能を持ち合わせている


もっともそこまでオフロードや雪上の性能なんて要らないという人がほとんどだから、最近では4Lやセンターデフ付きのモデルが少なくなっているのだろう。ならばオンロード性能はどうかということで、早速北海道から帰って東京近郊を数日乗り回してみた。その結果わかったことは、今もってこのクルマがトップレベルの快適性能やサスペンション性能を持ち合わせているということだった。

基本骨格は現行のメルセデスGLEと共通である。これはダイムラー・クライスラーという、メルセデスの親会社とクライスラーが合併していた時代の置き土産みたいなもの。まず驚かされたのは見事なほどの静粛性だ。このクルマ、北海道から帰ってきたばかりでまだスタッドレスタイヤを履いていたのだが、それでもタイヤのパターンノイズなどはほとんど耳に届かない。

そして足回りはフロントにダブルウィッシュボーン、リアにマルチリンクを使い、高い剛性を持つ骨格は極めてフラットな乗り心地と、衝撃を一発で吸収する懐の深さを持つ。これが、グランドチェロキーの魅力であろう。

とはいえ古さを感じさせるのは、例えばペダル踏み込み式のパーキングブレーキ。これのおかげで全車速対応のACCが付かない。それにメータークラスターは相変わらずアナログメーターが鎮座するなど、時代に即していない部分があるのだが、ジープの知名度と抜群の走破性能はベストセラーに押し上げるに十分なポテンシャルを持っているということである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

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