7月始めに発売されて以来、日本では納車が1年~1年半待ちと言われるほど人気が過熱中の新型『ジムニー』。ジャカルタで開催中のインドネシア国際モーターショー(GIIAS)2018に来てみると、スズキは日本で発売されているシエラを『ジムニー・コンセプト』として出展していた。
プレスデーが開催された8月2日は、遠くからもハッキリと視認できるイエローのジムニー・コンセプトを、いちばん目立つ一角に出展。当然ながら注目度は抜群となり、大勢のプレス関係者が詰めかけた。
特に注目を集めたのは、GIIAS2018のオープニングセレモニーが終了後、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領が会場内を訪問していた時だ。商用車館を訪問後、乗用車館に入るとトヨタ~三菱を訪問し、スズキのブースに差し掛かった大統領はジムニー・コンセプトの前で足を止め、しばし関係者と話したのだ。
あとでスズキ関係者にそのときの様子を聞くと、大統領は免許を取って最初に乗ったのが初代ジムニーだったと言い、そこからいろいろと話が膨らんだという。
プレスカンファレンス終了後もジムニー・コンセプトに対する質問が相次いだ。司会者が、今回新たに「SUZUKI SPORT」をコンセプトにしたバリエーションとして揃えた『イグニス・スポーツ』『エルティガ・スポーツ』『バレーノ・スポーツ』への質問を振り向ける配慮を見せたほど。スズキとしてはコンセプトカーへの質問より、販売につながる車種への質問が欲しかったということだろう。
「日本ではジムニー人気が過熱して入手が難しくなっている。インドネシアは日本、インドに続く第三の生産の柱なわけで、そこでジムニーを生産するという手もあるのでは?」と私が質問すると、スズキのインドネシア販売会社スズキ・インドモービル・セールス(SIS)の板山誠次社長は「GIIASで新型ジムニーを公開したのはあくまで参考出展。インドネシアの皆様のご意見を伺うため」としたが、一方で反応次第では(インドネシアで)販売はあり得ると回答した。
そして、一般公開デーとなった翌3日、スズキのブースに出向くと、そこにはもう1台、ジムニー・コンセプトを追加して出展。計2台を出展する熱の入れようだ。関係者によれば「車両は日本で販売されているシエラをそのまま持ってきたもの」というが、後ろに貼ってあったエンブレムは「JIMNY」。つまり、シエラのボディに「JIMNY」のエンブレムを貼ったレアモデルとなる。
インドネシアには4WD車に対して高額な課税がされるという税制があり、そのまま日本から輸入したのでは通常の高額な関税も加わる。少しでも安くジムニーをインドネシア国内で提供するなら、国内生産は避けて通れない。今回のジムニー人気で、スズキがどう動くかが注目される。