【ルマン24時間 2016】残り3分の悲劇…トヨタ中嶋一貴「チームの皆にありがとうと言いたい」

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最後の数分で止まってしまった#5 トヨタ(コクピット内は中嶋一貴)。勝利のチェッカーフラッグは、まさにすぐそこ、だった。
  • 最後の数分で止まってしまった#5 トヨタ(コクピット内は中嶋一貴)。勝利のチェッカーフラッグは、まさにすぐそこ、だった。
  • #5 中嶋一貴(レース前)
  • 優勝確実と思われた#5 トヨタ。
  • #5 中嶋一貴(レース前)
  • #5 TOYOTA TS050 HYBRID
  • 総合2位となった#6 トヨタのクルーたち。左からコンウェイ、可夢偉、サラザン。
  • トヨタの悲願は来年に持ち越された(写真はレース前日、レーシングスーツの人物はレースドライバーとは別人。ほぼ中央にシャツ姿の中嶋一貴)。
  • 今年もルマンは多くの観衆の声援で沸いた(スタート前)。

18~19日に決勝が開催された「第84回ルマン24時間レース」。残り数分でトラブルにより優勝を逃すという悲劇を味わったトヨタ陣営の公式談話が入ってきた。コクピットで悲劇の時を迎えた中嶋一貴は「まず、チームの皆にありがとうと言いたい」と気丈にコメントしている。

首位を走り、トヨタ悲願のルマン総合初優勝を確実なものとしていたはずの5号車「トヨタTS050ハイブリッド」がスロー走行に入ったのは、24時間レースが残り5~6分となった局面だった。そして最終周に向かうはずのホームストレートで5号車が実質的に息絶えたのが、残り約3分の時点。優勝は、最後まで同一周回で争ってきた2号車「ポルシェ919」のもとへと転がり込んでいった。

A.デビッドソン、S.ブエミとともに#5をドライブしてきた中嶋一貴は、まさに“その時”をコクピット内で迎えた。しかし彼は、気丈かつ冷静に、なおかつ情熱を込めたコメントを残している。

5号車 中嶋一貴のコメント
「まず、チームの皆にありがとうと言いたいと思います。TS050は運転しやすく、すべてはうまく行っていました。レース終盤、わずか20秒後ろを#2(2号車)ポルシェが追い上げて来ましたが、うまくペースを作ることができており、心配はしていませんでした。

しかし、2周を残したところで万事休す。トロフィーを手にすることができなくなりました。最終周に、私がTS050で(再び)走リ出すとマーシャルやファンはとても暖かく迎えてくれて、感情が高ぶるのを覚えました。来年こそトロフィーを獲得しに帰って来ます」

5号車はなんとか走行を再開するも、2位で完走認定を受けるに至らなかった。いずれにせよ、日本人ドライバーが日本メーカーのマシンに乗ってのルマン総合初優勝は来年以降にお預け、である。

佐藤俊男 トヨタGAZOOレーシング・チーム代表のコメント
「昨年から今回のルマン24時間レースに向けて必死に努力を重ねて来たチームをとても誇りに思います。また、トヨタ東富士研究所、ケルンのTMG関係者の方々には深く感謝を申し上げます。昨年の雪辱を果たすために皆が短時間で競争力のある新型シャシー、パワートレーンを開発して来たことには胸が熱くなりました。

我々はチーム一丸となって今年もルマン24時間レースに臨みました。今日の結果については言葉に表すことができません。ひとことで言えば“無念”かもしれませんが、我々は勝利への固い決意のもとに、さらに強くなってここに戻って来ることを誓います」

5号車のストップにより、周回数的に離れた3番手を走っていた僚機 6号車(S.サラザン/M.コンウェイ/小林可夢偉)がトヨタ勢通算5回目となるルマン総合2位でフィニッシュした。

6号車 小林可夢偉のコメント
「残念ながら2位という結果は、望んでいたものではありません。我々は勝つためにここに来ているので、満足はしていません。

TS050の高いパフォーマンスを証明し、決勝レース中のファステストラップもマークできました。#5(5号車)についてはドライバー、スタッフ、エンジニアの悔しさはとてもよく分かります。彼らは序盤のトラブルを克服して上位争いに復帰し、勝利に値するレースを戦いました」

夢の実現に向けて捲土重来を、とか、2017年のルマンはもう始まっている、などと言うのも軽々しく思えるほどの悲劇ではあったが、トヨタ陣営の来年の再挑戦、そして悲願成就に期待したい。

《遠藤俊幸》

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