日本デザイン振興会は10月1日、本年度のグッドデザイン賞の受賞結果を発表した。受賞件数は2013年度より46件多い1258件。鉄道の分野では、東京臨海新交通臨海線(新交通ゆりかもめ)の新型車両・7300系電車などが選ばれた。
本年度のグッドデザイン・ベスト100(金賞等特別賞候補)に選ばれたのは、ゆりかもめ7300系(ゆりかもめ社・三菱重工業)のほか、商業施設のマーチエキュート神田万世橋(JR東日本ステーションリテイリングなど)と輸送計画ICTソリューションSaaS(東芝)。ベスト100以外では、新幹線車両のE6系(JR東日本)やE7系・W7系(JR東日本・JR西日本)、鉄道車両用シートのG-Fit(三菱重工業)、JR西日本が進めている既存車両のリノベーション(体質改善)などがグッドデザイン賞を受賞した。
7300系は今年1月から営業運行を開始した、新交通ゆりかもめの新型車両。審査委員は「車両の基本部位を根本から見直すことで、車いす車両のためのスペースを生み出すとともに、風景を見通せる超広角視界のフロントフェイスを実現。オリンピック・パラリンピックを迎える東京臨海部の顔としての公共交通をリノベーションさせた素晴らしいデザイン」と高く評価した。
また、7300系の座席として採用されたG-Fitも「揺れの特徴を解析し、姿勢の安定保持の課題を抽出、背中のホールドポイントを最適化することで、利用者が自然な形で収まるシートをデザインすることに成功している」とし、公共交通用シートの「まさにスタンダードとなるであろうデザイン」と評価した。
中央線の旧・万世橋駅の遺構を活用した商業空間のマーチエキュート神田万世橋(東京都千代田区)は、「単なる改築にとどまることなく魅力的な商業施設として再生」されたことが評価された。JR西日本が進めている既存車両の体質改善については、「限られた輸送資源の中で、車両をより安全なものにリニューアルしていくために、長寿命化やライフサイクルの最適化に取り組むことで、リノベーションのトータルデザインを実現している」と評価した。