【商用バン 徹底比較】トヨタ プロボックス / サクシード vs 日産 AD / ADエキスパート…スペックから分かる違い

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トヨタ プロボックス/ サクシード
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12年ぶりにモデルチェンジしたトヨタの商用バン『プロボックス』/『サクシード』(以下プロサク)。ボディ後半は従来モデルがベースなので、同社では「マイナーチェンジ」と呼んでいるが、ボディ前半やパワートレイン、インパネ等は一新されており、実際にはほぼフルモデルチェンジに近い。

そんな新しい“プロサク”にとって今や唯一のライバル車が、日産の『AD』/『ADエキスパート』だ(以下ADバン)。こちらはOEM車としてマツダ『ファミリアバン』、三菱『ランサーカーゴ』としても販売されており、今年上半期の市場シェアはプロサクが約6割、ADバンとそのOEM車が約4割という状況になっている。今回はそんな両モデルを、カタログスペックで比較してみた。

外観デザイン…プロサクは専用ボディ、ADバンはウイングロードがベース

商用バンで重要なのはあくまで機能性だが、やはり見た目も気になるところ。取引先を訪れるのに高級感やカッコよさは要らないが、好感度は高い方がいい。プロサクの場合、グリルレスになった新しい顔については、今のところ賛否両論あるようだが、質感は先代よりも明らかに高まったし、ひと目で新型と分かるのも長所と言えるだろう。そして好評だったスクエアなアッパーボディや広い荷室は従来通りとなっている。

対するADバンは、乗用車の3代目『ウイングロード』(2005年発売)がベース。ゆえに特徴的なヘッドライト形状や波のようにカーブするルーフなど、商用バンらしからぬ個性的なデザインが特徴だ。ADの場合、前後バンパーが無塗装となるのも、デザインのうちだろう(ADエキスパートはボディ同色)。

なお、プロサクのボディカラーにはホワイト、シルバー、ブルーといった定番色に加えて、ブラックマイカ、ボルドーマイカメタリック、ライトグリーンメタリックと、プライベート利用者も想定した全6色が用意されている。一方のADバンはホワイト、シルバー、ブルーの3色のみだ(ウイングロードには6色用意)。

ボディサイズ…全長はADバンの方が長いが、小回りは得意

プロボックス / サクシード
全長4245mm×全幅1690mm×全高1525mm(4WDは1530mm)
ホイールベース2550mm

AD / ADエキスパート
全長4395mm×全幅1695mm×全高1500mm(4WDは1545mm)
ホイールベース2600mm

全長は先代プロボックスが4195mm、サクシードは4300mmだったが、新型はボディが共通になり、中間値の4245mmに統一された。全高は機械式立体駐車場にも対応する1525mm(4WDは1530mm)。最小回転半径は、プラットフォーム前半が変更されたことに伴い、先代より0.1メートル増えて4.9メートルになった(『カローラアクシオ』や『フィールダー』と同じ)。

ADバンの場合、全長は新型プロサクより150mm長く、ホイールベースも50mm長い。ただし最小回転半径は4.7メートルに収まっており(4WD車は5.2メートル)、意外と小回りは得意だ。

インテリア・便利装備…プロサクはインパネに工夫満載、ADバンは助手席側の折畳式テーブルが売り

新しいプロサクで何と言っても魅力的なのが、徹底的に機能が追求されたインパネ。先代でシフトレバーがあった場所には1リットル紙パック飲料が置けるセンタートレイを設置。また、先代にもあった引き出し式のテーブルも拡大され、ノートPCやお弁当が置けるなど格段に実用性が上がった。他にも携帯電話などが置けるマルチホルダー、A4バインダーを横向きに置ける棚、シート横にカバンを置くスペースなど、ビジネスマンにとっては至れり尽くせりの仕様になっており、「全てを手が届く範囲に」というコンセプトを具現化している。

一方のADバンにとって最大の武器は、助手席の背もたれを水平に倒すと現れる助手席シートバックパソコンテーブル。A4サイズのノートパソコンが置ける大きさが魅力だ。もう一つ興味深いのが、インパネ中央に標準装備されるホワイトボード。とっさにメモを取ったり、マグネットで書類を挟んだりすることができる(裏側は小物入れ)。また、プロサクは上級グレードでも普通のリモコンキーだが、ADバンではキーを携帯するだけでドアの施解錠やエンジン始動ができるインテリジェントキーを装備できる(ADはオプション、エキスパートは標準装備)。

積載性…ボディサイズの小さいプロサクが健闘

先代プロサクは、前身がそれぞれ『カローラバン』と『カルディナバン』だったので、荷室長と最大積載量も差別化されており、先代プロボックスは1810mmと400kg、先代サクシードは1830mmと450kgだった。しかし新型では1810mmと400kgに統一。先代サクシードと比べると積載容量は若干ダウンしたことになるが、新型でも従来プロボックス同様に、みかん箱なら38個、A4コピー用紙箱なら89個まで積むことができる。

対するADバンは最大荷室長が1830mm、最大積載量は450kg(4WD車は400kg)と先代サクシード並みにあり、この点は現行プロサクを上回る。ただし荷室幅に関しては、プロサクの1420mm(2名乗車時)/1415mm(5名乗車時)に対して、それぞれ1285mm/1305mm(荷室床面幅は最大1366mm)と少し狭い。荷室高はプロサクが935mm、ADバンが940mm(4WDは945mm)とほぼ互角だ。

サイズで計ることができないものとして、開口部の形状がある。プロボックス/サクシードは開口部、リアゲートまでスクエアであるため、ギリギリまで荷物を積むことができる点がメリットだ。いずれにせよ、積載するものが事前に想定できるのであれば購入前に実際に試してみるといいだろう。

パワートレイン…いずれも1.5リットル車はCVT。プロサクはVSC&TRCを装備

新型プロサクは、1.3リットルエンジン(95ps、12.3kgm)と1.5リットルエンジン(2WD車の場合は109ps、13.9kgm)を採用。ミッションは、従来の4ATと5MTが廃止され、全車CVT(無段変速機)になった。車重は2WD車なら排気量に関係なく1090kgに収まっている(4WD車は1170kg)。

これに対して、ADバンのエンジンは排気量が大きめで、1.5リットル(111ps、15.1kgm)、1.8リットル(124ps、17.6kgm)、そして4WD車が1.6リットル(109ps、15.3kgm)と、3本立てになる。車重はそれぞれ1140kg、1170kg、1270kgで、プロサクより50~100kg重いが、その分エンジンは強力というわけだ。ただし、ADバンは1.5リットル車のみがCVTで、他は4ATになる。

なお、両モデル共にダブルエアバッグやEBD(電子制御制動力配分システム)付ABSは標準装備だが、プロサクにはさらにVSC&TRC(横滑り防止装置とトラクションコントロール)が全車標準になる。

燃費性能(JC08モード)…全グレードでプロサクがリード

プロボックス / サクシード
1.3リットル・2WD車 17.6km/L
1.5リットル・2WD車 18.2km/L
1.5リットル・4WD車 15.8km/L

AD / ADエキスパート
1.5リットル・2WD車 17.4km/L
1.8リットル・2WD車 13.0km/L
1.6リットル・4WD車 13.0km/L

JC08モード燃費は、2WD(FF)か4WDかで事情が異なる。まず、2WD車は、プロサクの1.3リットル車が17.6km/リットルで、1.5リットル車が18.2km/リットル。それに対してADバンは1.5リットル車が17.4km/リットル。つまり後発のプロサクが、若干ながらADバンを上回っている。ちなみにADエキスパートにある1.8リットル・2WD車は4ATで、JC08モード燃費は13.0km/リットルに留まる。

差が開いたのが4WD車だ。プロサクの4WD車(1.5リットル)はCVTの恩恵で15.8km/リットルだが、ADバンの4WD車(1.6リットルの4AT)は13.0km/リットルに留まる。あくまでJC08モード燃費での比較だが、4WD車同士の比較ではプロサクに軍配が上がる。

ちなみに燃料タンク容量は、プロサクが全車50リットルの大容量。ADバンの2WD車も52リットルと大きいが、4WD車は42リットルになる。航続距離を気にする場合は、ここもポイントだ。

価格…プロサクは131万7600円からスタート

プロボックスの場合、1.3リットル車のスタート価格は131万7600円で、商用バンクラスでは最も安い。新型はCVTのおかげで燃費も良いはずなので、維持費の点でも一番お金の掛からない選択と言える。また、1.5リットル車は143万7382円~、4WD車は165万2400円~。VSC&TRCが全車標準であることも考えると、価格バリューは総じて高い。また、プロサクは全車エコカー減税対象であることも見逃せない。

一方でADバンは、メーカーHPによると1.5リットル車で149万3640円~。ただし販売会社が用意している価格表には、プロサクの1.5リットル車と並ぶ143万9640円のエントリーグレードも設定されていた。そしてAD エキスパートの1.8リットル・4AT車が174万9600円~、1.6リットル・4AT・4WD車が172万2600円~。プロサクとは装備や排気量が異なるほか、エコカー減税の適用も違うので一概には比較できないが、車両価格そのものはプロサクより高めという印象だ。ただし、実際の販売現場では値引きなども行われるはず。まずは見積もりを取って、営業マンから良い条件を引き出してみるといいだろう。

《丹羽圭@DAYS》

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