スバル WRX 専用設計スピーカーが純正DOPに登場…そのモノ作りに“究極のこだわり”を見た

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スバル WRX STI(ソニックデザインデモカー)
  • スバル WRX STI(ソニックデザインデモカー)
  • 富士重工業 スバル部品用品本部・用品開発部・開発推進グループ 宮下裕次氏
  • スバル WRX STI(ソニックデザインデモカー)
  • スバル WRX STI(ソニックデザインデモカー)
  • 宮下裕次氏(左)と河口まなぶ氏
  • ソニックデザイン 商品企画部部長の兼田弘喜氏
  • 河口まなぶ氏
  • 河口まなぶ氏

8月25日に発表された、スバル『WRX S4』『WRX STI』。ついに登場した新世代WRXは、S4の提案するスポーツセダンの新たな価値観、STIの高い性能に世界中から視線が注がれている。

そんなWRX S4/STIの純正オプションに今回、新たな動きがあった。既にご存知の方もいるかもしれないが、日本で唯一となるカーオーディオ専門メーカーである「ソニックデザイン」のスピーカーが採用されたのだ。

今回、モータージャーナリストの河口まなぶ氏がスバルおよびソニックデザインの関係者にインタビュー。純正オプションの採用経緯と専用開発のこだわりについてレポートをお届けする。

◆ソニックデザインのスピーカーがWRXシリーズの純正ディーラーオプションに採用

昨年レポートしたように、スバル『BRZ』にソニックデザインのスピーカーが純正オプションとして採用されたことを覚えている方も多いだろう。

そうした流れからすれば、今回の採用も大きなトピックではない…? と多くの人は思うはず。だが、今回新たな動きといえるのは、このソニックデザインのスピーカーが、WRX S4/STIのための専用開発品であるということ。そしてそのために、WRX S4/STIの開発段階から、専用設計が同時並行でなされたのである。

これは純正オプションとしては異例のことだが、こうした動きが実現された背景には、やはり昨年のBRZでの実績があったからに他ならない。

その辺りの経緯を今回、富士重工業スバル部品用品本部・用品開発部・開発推進グループの宮下裕次氏に伺った。

◆スバル独特の雰囲気にマッチするブランド

「実は私としては、BRZで採用されるまで失礼ながらソニックデザインさんを知らなかったのです。が、BRZで実際にソニックデザインさんのサウンドを聞いて、ナチュラルな音を体感したのです。それに先代のインプレッサの頃から、高級ブランド・オーディオ/スピーカーで試行錯誤してきた経緯がありました。そこにきてソニックデザインさんからもご提案いただいて、やはりウチ(スバル)独特の雰囲気にマッチする商品だと確信したのです」

宮下氏としても、ソニックデザインのスピーカーに、スバル・ユーザーへの親和性の高さを感じたという。その理由は…

「スバルは、クルマ好きのコアなお客様が多いブランドです。ですから当然、クルマそのものだけでなく、部品に対しての思い入れも深い。そういう志向にマッチするな、と。しかもソニックデザインさんの商品の場合、見えないところにこだわったスピーカーでもあります。そこが逆にスバルのコアなファンの心をくすぐるはず、と思ったのです。その上で、WRX S4/STIという、スバルブランドの中でも究極的に安心と楽しさを追求したモデルに相応しいものとして開発していただきたい、とお願いしたわけです」

◆車両の開発段階から参加できたこその専用設計

これを受けて、ソニックデザインの兼田弘喜氏は次のように語っている。

「今回、専用開発ということでウチとしても全力投球しました。開発から入らせていただくことで、製品を完全に専用設計できたことは大きいです。BRZの場合は、もともとウチが持っていたスピーカーを使ったわけですが、今回はもう構造そのものが違うのです」

しかも2ドアボディのBRZの時には、基本的には前のスピーカーのみの展開だったが、今回は4ドアセダン。これが音的にはとても有利に働いたのだという。

「4ドアセダンなので前後のスピーカーを全部エンクロージュアにすることで、よりクリアなサウンドを車内で完成させられるのです。そのためにエンクロージュアの容量をドア内で最大限確保できるよう特殊な形状の設計としました。ポート形状も3次元にしていますし、ポート径そのものも大きくして、より力強い低音が出せるような設計になっています」

また特に、STIで採用されることを十分に念頭においたキャラクター付けがなされた。

「特にSTIはマフラー音や走行音がそれなりに車内でも聞こえます。そのため低音がしっかりしていないと良い音にならないわけです。この辺りが従来よりも深いエンクロージュアを作った理由です。さらにウインドーが下がった位置を考えたキャビネット形状をもっているため、エンクロージュアはスペースを最大限活用して深くできました」

◆加工不要、ボルトオン/カプラーオンで交換可能

こうして独自のエンクロージュア構造を突き詰めたことで、通常であればデッドニング等が必要な他のスピーカーシステムと変わらぬレベルのサウンドがWRX専用のものとして完成された。しかもソニックデザインらしいのは、取り付けが極めて簡単だということ。

「純正品と同じ手順で、特別な技術を必要とせずに取り付け作業ができるように設計しています。ですのでどこのディーラーさんでも待ち時間の間に装着できます」

そして何より嬉しいのは、純正オプションとなっていることで、基本的にクルマと同じ保証が受けられることだ。

高い技術によって、“良い音を手軽に味わえる”。そんなソニックデザインの思想がこのプロダクトには徹底的に表現されていると言って良いだろう。

◆一聴して分かるクリアなサウンドと迫力

実際に視聴してみると、確かにBRZの時よりもさらに、クリアなサウンドを体感することができた。しかもソニックデザインのスピーカーに共通する特徴である“外に音が漏れない”点もしっかりと継承している。つまり装着すれば、クリアなサウンドを存分に堪能しても周りに迷惑がかからない。そんなインテリジェンスも魅力である。

そして最後に最も大切なのが価格。高品質を実現した専用設計のプロダクトでありながらも、その価格はフロントが6万円台、前後セットでも11万円台に抑えられている。

この製品、ディーラーでも視聴が可能なところもあるので是非一度聞いてみてほしい。その音を聞いてから価格を見ると、にわかには信じられないはず。そう考えると今回ソニックデザインのスピーカーは、WRXオーナーの多くが選ぶものになるのではないだろうか。

《河口まなぶ》

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