【三菱 アウトランダーPHEV 長距離試乗 後編】ワインディング、オフロードで輝く「三菱SUVらしさ」…井元康一郎

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三菱 アウトランダー PHEV
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三菱自動車が昨年1月に市場に投入した、外部電源から車載バッテリーへの充電が可能なプラグインハイブリッドSUV『アウトランダーPHEV』に試乗する機会を得たので、市街地、高速道路、ラフロードを含む山岳路での走行フィールについてリポートする。

市街地、高速道では“EVライク”な乗り味が特徴的だったアウトランダーPHEV。整備された舗装路では、その静粛性に驚くばかりか乗り味までもが滑らかになり、その走りはまさにプレミアムSUVといったところ。今回は、SUVが本来ホームグラウンドとする山岳路、未舗装路を走行、アウトランダーPHEVのSUV性能にフォーカスしその走行フィールを検証する。


まずは山岳路。ハイブリッド運転で急勾配を登る時には、エンジンも高回転・高負荷運転となる。そのさいのエンジン音はさすがに賑やかで、普通のクルマと変わらなくなる。

このステージで光ったのは、燃費やパワーフィールよりもむしろハンドリングのほうだった。伊豆といえば海というイメージが多いが、内陸部は標高こそ低いものの急峻な山地で、きついコーナーが連続するワインディングロードが至るところにある。重量の大きなSUVにとっては比較的苦手な交通環境なのだが、アウトランダーPHEVはそのようなワインディングロードをほとんど苦にしなかった。

その秘訣は、下手にロール剛性を上げず、思い切ってボディをロールさせるというサスペンションセッティングにあるようだった。コーナリング直前でしっかりブレーキをかけ、やや前傾姿勢でコーナー外側の前輪をきっちり沈み込ませながら旋回させるというSUVのスポーツドライビングのセオリーに従う運転をしさえすれば、タイトコーナーやS字カーブなどをリズミカルに走り抜けることができる。コーナリング速度自体はスポーティカーなどに比べれば遅いが、フィーリングはとてもアスリート的なものだった。

国道411号線旧道の天城峠や林道などの未舗装路も走ってみた。そのステージでは、アウトランダーPHEVは最も生き生きと走った。マッド&スノーでもない普通のサマータイヤを履いているため極端な無理はきかないが、グラベル(砂利道)程度では走りが破綻することはまったくなかった。

アウトランダーPHEVのパワートレインは前後のモータートルクをコンピュータ制御する電気式AWDなのだが、ラフロードでホイールスピンを伴うような走行を行っても、前後・左右輪の駆動力配分がちぐはぐにならず、車体をほぼ完璧に安定状態に保った。あまりにフィーリングが自然なので、電気式であるということすら忘れ、センターデフ式AWDに乗っているような気分になっていたほどであった。

緑豊かな大自然を走らせるなかで少々残念だったのは、シャーシ性能でもパワーフィールでもなく、ボディデザイン。三菱自動車はもともと『パジェロ』のように、ネイチャーに置いた時にも存在感を失わないボディデザインを得意としていたメーカー。90年代にはアウトランダーのように車高がやや低い『チャレンジャー』というSUVを販売していたことがあるが、これもパジェロ譲りのビジュアルインパクトを持つクルマだった。

それに対してアウトランダーPHEVは、ボディ全体にアクがなく、よく言えばクールだが、悪く言えば没個性的なスタイリング。自然の中でたたずまいを撮影するときも、風景に埋没しがちで、オフロード性能の高さを表現するような写真をモノにすることは困難だった。乗り味だけでなく、デザインでもヘビーデューティOKのSUVらしさを表現してほしいところだ。

湘南~伊豆の郊外路においては、平均燃費計の数値はおおむね16km前後に安定していた。エコカーとしてみれば不満は残るが、ミディアムクラスのSUVとしてみればある程度納得のいく数値と言えよう。

ちなみにテストドライブ中、天城の山中でたまたまアウトランダーPHEVで旅をしている初老の夫婦と出会った。彼らは愛知を出発し、いろいろな場所で適宜充電しながら格安ドライブを楽しんでいるのだと語っていた。こまめな充電は面倒ではないですか、と尋ねると「30分の間に本を読んだり、ディーラーさんではお茶も出してくれて。夫婦で楽しみながらやっていますよ。」と充電時間のある生活を心から楽しんでいる様子がうかがえた。もちろん充電できないところではハイブリッド走行をするのだろうが、そんなドライブも急速充電対応の大型バッテリーを搭載しているアウトランダーPHEVならではの楽しみなのだなと思われた次第だった。
《井元康一郎》

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